中国語の否定文を作る時、「不(bù)」と「没(méi)」という2つの否定詞を使うのですが、どちらも同じ「否定」ということで、使い分けが分からずに困っている方がたくさんいます。
そこで、この記事ではどんな時に「不(bù)」を使って、どんな時に「没(méi)」を使うのか、それぞれの意味はどう違うのか、使いわけまで学んでいきます。
今回の具体的な内容は
- 動詞を否定する時
ー不を使う場合
ー没を使う場合 - 形容詞を否定する時
ー不を使う場合
ー没を使う場合 - 「没」と「没有」
- 「有」の否定は「没」だけ
この記事で網羅的に学べるので、最後まで見て自信を持って使えるようにしていきましょう。
動詞を否定する場合
まず動詞を否定する場合、「不(bù)」と「没(méi)」の両方を使うことができます。ただ、それぞれの意味が異なるので、その違いを学びましょう。
不を使う場合
まず、動詞を「不(bù)」で否定する場合、「不(bù)」は意思の否定と習慣の否定に使います。不を使う場合を見てみましょう。
意思を否定する
意思を否定するというのは何かを「しない」「する意思がない」というのを表すことです。
例えば、「今日◯◯の家でパーティをするけど、あなたは行きますか?」と聞かれて「行かない」「行く意思がないよ」と答えるときは、行くという意味の動詞「去(qù)」に「不(bù)」をくっつけて「不去(bú qù)」と言います。
「你去吗?(nǐ qù ma?)あなたは行きますか?」と聞かれて「不去。(bú qù)行きません。」と答える感じです。
ちなみに、もしここでもう1つの否定「没(méi)」を使うとどうなるのか?後ほど詳しく説明しますが、「没(méi)」は動作の実現と発生を否定します。
「你去吗?(nǐ qù ma?)あなたは行きますか?」に対して「没去(méi qù)」と答えると「行かなかった」あるいは「行ってません」という意味になって、ズレた回答になってしまいます。
「没(méi)」に関しては後ほど詳しく説明するので、いったんここでは「そっか~、意味変わっちゃうんだ~」くらいでOKです。
習慣としての動作を否定する
「僕は普段サッカーしないんだよね」「私は普段朝ご飯は食べないの」というように、「サッカーをする」「朝ご飯を食べる」という習慣が無いんだということを伝える場合です。こうした習慣としての動作を否定するときも「不(bù)」を使います。
ちなみに「僕は普段サッカーしないんだよね」「私は普段朝ご飯は食べないの」はそれぞれ中国語ではこう言います。
我平时不踢足球。(wǒ píngshí bù tī zúqiú)
我平时不吃早饭。(wǒ píngshí bù chī zǎofàn)
「平时(píngshí)」は「普段(ふだん)」の意味です。「平时(píngshí)」 の他にも、「よく/しばしば」という意味の副詞「经常(jīngcháng)」も習慣を表す文とはすごく相性が良いです。
もしこの「平时(píngshí)」や「经常(jīngcháng)」という言葉を使わずに以下のように言った場合、
我不踢足球。(wǒ bù tī zúqiú)
我不吃早饭。(wǒ bù chī zǎofàn)
文脈無しにただこれだけを言うと、そういう習慣が無いんだなと受け取られるだけじゃなくて、そうする意思が無いんだなと受け取られる可能性も出てきます。
この「不(bù)」は意思や習慣の否定ということがわかりますよね。
ここで、よく間違えてしまうポイントについても説明しておきます。それは、「~をしていなかった」という過去の習慣を表す時の表現です。「~をしていなかった」という過去の習慣を表す場合もやっぱり「不(bù)」を使います。
例えば、「私はあの頃よく朝ご飯を食べなかった」は「我那个时候经常不吃早饭(wǒ nàge shíhou jīngcháng bù chī zǎofàn)」と言います。
ここでもし「没(méi)」を使うと、一応言いたいことは伝わる可能性はあります。ですが、「不(bù)」と間違えたのかな?あるいは「我那个时候经常【没】吃早饭就~~(あの時よく朝ご飯を食べていない状態で~した)」という別の文型と間違えたのかな?と思われてしまいます。
ですので、時制に関わらずこれが正しいです。
私はあの時よく朝ご飯を食べなかった
〇我那个时候经常不吃早饭。
×我那个时候经常没吃早饭。
少し難しいと思うので、習慣を否定する時は今のことでも過去のことでも「不(bù)」を使うと覚えておきましょう。
是と一部の心理活動を表す動詞の否定
ここまで意思の否定と習慣の否定の話をしてきましたが、動詞を「不(bù)」で否定するパターンとしてはもう1つあります。
それは「是(shì)」と一部の心理活動を表す動詞の否定です。
ちょっと難しそうに感じるかと思いますが、簡単に言うと「不(bù)」でしか否定できない、つまり「没(méi)」では否定ができない単語があるということです。具体的な例でみていきましょう。
まずわかりやすいのが「是(shì)」この「是(shì)」という動詞は「没(méi)」で否定することができません。たとえ過去の文脈でも習慣の否定と同じように「不(bù)」で否定します。
「私は学生ではなかった」という場合はこのように言います。
〇我不是学生。
×我没是学生。
「没(méi)」は過去の否定という説明を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、過去の話だったとして「昨日は月曜日じゃなかった」と言いたい時も
昨天(zuótiān)昨日/不是星期一(búshì xīngqī yī)月曜じゃない
〇昨天不是星期一。
×昨天没是星期一。
そして、心理活動を表す動詞の例としては、「好き」の意味の「喜欢(xǐhuan)」、「知っている」の意味の「知道(zhīdao)」、「(人を)知ってる」の意味の「认识(rènshi)」などがあり、これらの動詞は通常「没(méi)」で否定しません。
ちなみに心理活動を表す動詞というのは、物理的に身体が動いてるわけじゃない動詞ということです。
「私はあなたが好きではない」だったら
〇我不喜欢你。(wǒ bù xǐhuan nǐ)
×我没喜欢你。
「私は知らない」は
〇我不知道。(wǒ bù zhīdao)
×我没知道。
「私はあなたを知らない」は
〇我不认识你。(wǒ bù rènshi nǐ)
×我没认识你。
ただ、「わかる」「理解している」を表す「明白(míngbai)」「理解(lǐjiě)」「懂(dǒng)」は「不(bù)」と「没(méi)」の両方で否定することができて、それぞれで意味が異なってきます。
「没(méi)」の詳しい説明はまた後からですが、意味が変わってくる単語があるんだということだけおさえておきましょう。
また、あまり例外を多く伝えると混乱しちゃうので、今はサラッと聞いておくだけで良いですが、動詞が経験を表す助詞の「过(guo)」 や補語の「上(shang)」 と組み合わせて使われるときは「没(méi)」で否定することになります。
我没喜欢过你。(wǒ méi xǐhuan guo nǐ)私はあなたを好きになったことはない
我没喜欢上你。(wǒ méi xǐhuan shang nǐ)私はあなたを好きになっていない
これらは動詞を否定しているというよりも、その後ろの「过」や「上」を否定しているので、「没(méi)」を使うことになります。
ではここからは動詞を「没(méi)」を使って否定する場合について説明していきます。
没を使う場合
「没(méi)」は動作の実現と発生を否定する時に使います。実際の文を見ていくとかなり理解しやすいので、具体例を一緒に見ていきましょう。
動作の実現の否定
これは「その動作が実現していない」つまり、「その動作をしたいけど、まだできていない」あるいは「その動作が起きるのを望んでいるけど、まだ起きていない」という意味です。
例えば、「ご飯を食べましたか?你吃饭了吗?」と聞かれた時、「いや、食べてません」と答えたい場合はなんて言えば良いでしょう?
答えは「不吃(bù chī)」 ではなくて「没吃(méi chī)」
なぜかというと「吃(chī)」 食べるという動作をしたい、つまり食べたい、食べたいんだけど、まだそれができていないことなので、「没(méi)」を使って「没吃(méi chī)」にします。
動作の発生の否定
動作の実現ではなく発生を否定するというのは、「その動作が起きなかった」起きませんでしたという意味です。
「ご飯を食べましたか?/你吃饭了吗?(nǐ chīfànle ma)」と聞かれた時、「いや、食べてません」ではなく、「いや、食べませんでした」と伝えたい場合のことです。
ちょっとややこしいですよね。「食べてません」と「食べませんでした」は何が違うのでしょう?
「食べてません」は食べたい気持ちがあるけどまだそれができてないということ、「食べませんでした」は今後どうするかは関係なく、ただ事実として、食べていないということを伝えるものだと考えてください。
この「食べませんでした」というただ事実を伝えるのも、やはり「没吃(méi chī)」と言います。日本語ではこれから食べるつもりがあるかどうかで「食べてません」「食べませんでした」とわけます。
ですが、中国語では「~していない」と「~しなかった」はどちらも「没(méi)」を使って否定するので、これから食べるつもりなんだけど「食べていない」という時も、もう食べるつもりはなくて、事実として「食べなかった」と言いたい時でも「没吃(méi chī)」と覚えておきましょう。
ちなみに「ご飯を食べましたか?/你吃饭了吗?(nǐ chīfànle ma)」と聞かれた時、「不吃(bù chī)」と答えることはできません。意思や習慣を否定するのが「不(bù)」でしたね。
ですので「ご飯を食べましたか?/你吃饭了吗?(nǐ chīfànle ma)」に対して「不吃(bù chī)」 と言うと、「食べる意思がない」あるいは「食べる習慣がない」という意味になります。
食べる意思があるかどうかは聞かれていないし、「ご飯を食べる習慣がない」ということが特殊すぎて基本的にはないのでダメなんですね。
逆に言うと「朝ご飯食べた?/你吃早饭了吗?(nǐ chī zǎofànle ma)」のように、特定の時間帯の食事について聞かれた場合は、「朝ご飯は食べる習慣は無いんだよ」というのはありそうですよね。
この場合は「我不吃早饭(wǒ bù chī zǎofàn)」「私は朝ご飯を食べないんです/食べる習慣がないんです」と答えることは可能です。
ここまでで「実現の否定」と「発生の否定」はどちらも「没(méi)」で否定するんだということは理解できたかと思います。
実現の否定か発生の否定か区別の仕方
「じゃあ、どっちの意味で言ってるかわからない」と思う方がいるかもしれないので、区別の仕方についても説明しておきます。
まず、今後どうしたいの気持ちは置いておいて「食べなかった」と「食べていない」はどちらも「食べる」という動作が起きていないということを表します。多くの場合、中国語ネイティブには同じような意味に感じられます。
日本語でも自然に区別してるだけなので、普段そんなに考えてはないですよね。ですので、ほとんどの場合で、そこまで区別をする必要はないです。
ただ、区別して伝えたいというシーンもありますよね。その場合は、食べるつもりがあるけど「食べていない」と伝えたい時、「まだ」それをやってないというときの「まだ」を表す「还(hái)」を入れて、「还没吃(hái méi chī)/まだ食べていない」と伝えればOKです。
「还没吃(hái méi chī)」と伝えたら、間違いなく「食べたいけど、まだ食べていない」「食べるつもりがあるけど、まだ食べていない」という意味で伝わります。
この「还没(hái méi)+動詞」「まだ◯◯していない」という使い方をここで覚えておきましょう。これは、かなり使えます!
ここまでかなり情報量多かったですね。細かい話もたくさんしましたが、まずは幹をおさえるのが大切なので、大枠をまとめます!
「不(bù)」と「没(méi)」の具体例
最後に「不(bù)」と「没(méi)」それぞれの具体例を見てみましょう。具体例たくさん見ると感覚的にも分かってきます。
意思の否定
・我不去。(私は行きません)
・我不买。(私は買いません)
💡もし「没」を使ったら、実現・発生の否定になる。
・我没去。(私は行ってません/私は行きませんでした)
・我没买。(私は買ってません/私は買いませんでした)
習慣の否定
・我晚上不喝酒。(私は夜に酒を飲みません)
・我早上不吃早饭。(私は朝に朝ごはんを食べません)
💡もし「没」を使ったら、発生の否定になる。
・我晚上没喝酒。(私は夜に酒を飲みませんでした)
・我早上没吃早饭。(私は朝に朝ご飯を食べませんでした)
是と一部の心理活動を表す動詞の否定
・今天不是星期一。(今日は月曜日ではありません)
・昨天不是星期一。(昨日は月曜日ではありませんでした)
・我不知道(私は知りません/私は知りませんでした)
💡「是」と「知道」は「没」で否定することはできない。
実現・発生の否定
・我没吃早饭。(私は朝ごはんを食べませんでした/私は朝ごはんを食べていません)
・我没买西瓜。(私はスイカを買いませんでした/私はスイカを買っていません)
・我还没吃午饭。(私はまだ昼ご飯を食べていません)
💡もし「不」を使ったら、意思 or 習慣の否定になる
・我不吃早饭。(私は朝ごはんは食べません)
・我不买西瓜。(私はスイカは買いません)
・我还不吃午饭。(私はまだ昼ご飯を食べません)
💡「我还不吃午饭」は「まだ」という意味の「还」があることで、習慣の否定ではなく意思の否定になる。そして、意味としては「(食べるつもりだけど、今はまだタイミングじゃないから)私はまだ昼ご飯を食べない」という意味になる。
理解度チェック問題
イメージをつかめてきたかと思うので、ここで理解度チェック問題です。以下の単語を使って指定された文を作ってみてください!全部で6問出題します。
- 我(wǒ):私
- 超市(chāoshì):スーパー
- 咖啡(kāfēi):コーヒー
- 4月1号(sì yuè yī hào):4月1日
- 去(qù):行く
- 喝(hē):飲む
- 是(shì):前後がイコールであることを表す動詞
- 昨天(zuótiān):昨日
- 平时(píngshí):普段
- 不(bù):否定を表す副詞
- 没(méi):否定を表す副詞
- 还(hái):まだ
- 学生(xuésheng):学生
問題①
「私はスーパーに行きません」
「我不去超市」
問題②
「私は普段コーヒーを飲みません」
「我平时不喝咖啡」
問題③
「私は学生ではありません」
「我不是学生」
問題④
「昨日は4月1日ではありませんでした」
「昨天不是4月1号」
問題⑤
「私はスーパーに行きませんでした/私はスーパーに行っていません」
「我没去超市」
問題⑥
「私はまだスーパーに行っていません」
「我还没去超市」
形容詞を否定する場合
ここまでは動詞を否定する時の話をしてきましたが、ここからは形容詞を否定する場合について学びましょう。
基本的に「不」を使う
形容詞を否定する時は、基本的に時制問わず、「不(bù)」を使います。
例えば、今の話として「このりんごは美味しくない」という時でも、過去の話として「このりんごは美味しくなかった」という時でも、中国語では「不(bù)」を使って「这个苹果不好吃(zhège píngguǒ bù hǎo chī)」と言います。
「这个苹果没好吃(zhège píngguǒ méi hǎo chī)」と言うことはできません。ですので、形容詞を否定する時には基本的には「不(bù)」を使う、まずはこれを覚えましょう。
一部「没」を使うケースもある
ただ一部、形容詞でも「没(méi)」を使うケースがあるので、ここからおさえていきましょう。
「没」を使うケース①
形容詞は「美味しい」「細い」など、そういう状態を表すのですが、一部の形容詞は状態への「変化」を表すことができます。その変化が起きていないという否定をする場合には「没(méi)」を使います。
形容詞は基本的には「不(bù)」で否定をすると言った通り、「不(bù)」でも否定はできます。ただし「不(bù)」で否定した時は「形容詞が表す性質そのものを持っていない」つまりそういう状態じゃないということを表して、「没(méi)」で否定した場合は、その状態への変化が起きてないという意味を表します。
一緒に具体的な例で確認しましょう。
例えば、人の体型として「細い」「痩せている」という意味で「瘦(shòu)」という形容詞があります。この形容詞を使って、まず肯定文の「私は細い、痩せているよ」という文を作ると「我很瘦(wǒ hěn shòu)」になります。
否定するときは「不(bù)」も「没(méi)」も使えます。ただ、それぞれで否定した場合の意味が変わります。
我不瘦(wǒ bú shòu)
これは「私は細くない」、つまり「私は”細い”という性質を持ってない」そういう状態ではないという意味になります。
我没瘦(wǒ méi shòu)
「私は痩せていない(体重を減らすという変化が起きてない)」あるいは「私は痩せなかった」という意味になります。つまり「細い、痩せている」という状態への変化が起きていない、です。
日本語だと「痩せる」は動詞として使うのでちょっとわかりにくいかもしれませんが、中国語で形容詞の痩せているというのは、そういう状態になるという変化を表すので、動詞のような使い方ができるんだよというのも大きいポイントです。
もう1つ例を挙げますね。空などが「暗い」という意味の形容詞で「黑(hēi)」 というのがあります。まず肯定文で「空が暗い」という場合、空は「天(tiān)」と言うので、「天很黑(tiān hěn hēi)」と言います。
天不黑(tiān bù hēi)
「空は暗くない」というように、「暗い」という、そういう状態じゃないよという意味になります。
天没黑(tiān méi hēi)
「空は暗くなっていない」つまり「暮れていない」という意味。「黑(hēi)」という形容詞が「暗い」という状態と、「暗い」という状態になるという変化の両方を表すことができて、「没(méi)」はその変化を否定するということです。
「不(bù)」と「没(méi)」で形容詞を否定した場合の違い、だんだんわかってきましたね。注意したいのは、「不(bù)」はほとんどの形容詞を否定できますが、「没(méi)」は一部の形容詞しか否定できないということです。
例えば、「没瘦(méi shòu)」「没黑(méi hēi)」はできますが、「没好吃(méi hǎo chī)」「没漂亮(méi piàoliang)」は通常言う事ができません。これは一つ一つ覚えていきましょう。
「没」を使うケース②
もう1つ形容詞を「没(méi)」で否定するケースがあります。それは、動詞の「有(yǒu)」と「名詞」をセットにして「有◯◯」の形で形容詞的に使われるものがあって、それも「没(méi)」で否定します。
例えば
- 「面白い」という意味の「有意思(yǒuyìsi)」
- 「お金を持ってる」という意味の「有钱(yǒu qián)」
- 「時間がある」という意味の「有空(yǒu kòng)」
- 「我慢強い」という意味の「有耐心(yǒu nàixīn)」
などで、動詞の「有(yǒu)」を否定する時には「不(bù)」は使えず、いつでも「没(méi)」を使うというルールがあります。ここでもそれがちゃんと発動して、このような形容詞を否定する時にも必ず「没(méi)」で否定します。
そして「没有(méiyǒu)」の「有(yǒu)」は省略することが多いので、「没(méi)」だけで否定することもあります。
ですので、このようになります。
ただ、これらの形容詞を否定する時に「不有钱(bù yǒu qián )」のように「不(bù)」を使った場合、「有+名詞」で作られた特殊な形容詞とはいえ、セットで1つの形容詞として捉えてるということで、一応意味はちゃんと伝わります。
ネイティブでもたまに「没有钱/没钱」ではなく「不有钱」のように言ってしまうことがあります。ただ、その時は意味はちゃんと伝わるので、間違えていてもスルーされることがほとんどですね。
ここでも幹をおさえたいので大枠をまとめます。
「不(bù)」と「没(méi)」の具体例
最後にそれぞれの具体例を見てみましょう。
形容詞は時制に関わらず「不」で否定
・这个菜不好吃。(この料理はおいしくない/この料理はおいしくなかった)
・今天的电影不好看。(今日の映画は面白くない/今日の映画は面白くなかった)
💡「好吃」や「好看」のようなほとんどの形容詞は「不」でしか否定できないので、これらの例文の「不」を「没」に置き換えると間違った文になります。
変化を表す形容詞は「不」と「没」の両方使えるけど意味が異なる
・这杯水不凉。(この水は冷たくない)
・这杯水还没凉。(この水はまだ冷めていない)
💡一部の形容詞は「不」と「没」の両方で否定できて
「不」で否定した場合は「その性質を持っていない」、「没」で否定した場合は「その状態への変化が起きていない」という意味。
「有+名詞」で作られた形容詞は「没」で否定する
〇 这本书没意思/没有意思(この本は面白くない)
× 这本书不有意思
〇 我今天没空/没有空(私は今日空いていない)
× 我今天不有空
💡「有+名詞」の形容詞は「不」で否定すると間違いになりますが、意味は伝わる可能性が高いです。
理解度チェック問題
イメージをつかめてきたかと思うので、ここで理解度チェック問題です。以下の単語を使って指定された文を作ってみてください。全部で6問出題します。
- 今天(jīntiān):今日
- 昨天(zuótiān):昨日
- 菜(càii):料理
- 我(wǒ):私
- 这个(zhège):この
- 热(rè):暑い
- 凉(liáng):(飲食物が)冷たい、冷めている
- 有钱(yǒuqián):金を持っている、金持ちである
- 不(bù):否定を表す副詞
- 没(méi):否定を表す副詞
問題①
「今日は暑くない」
「今天不热」
問題②
「昨日は暑くなかった」
「昨天不热」
問題③
「この料理は冷たくない」
「这个菜不凉」
問題④
「この料理は冷たくなっていない(=冷めていない)」
「这个菜没凉」
問題⑤
「私はお金を持っていない」
「我没钱」or「我没有钱」
「没」と「没有」の秘密
ちょっと今さらではありますが、ここで「没(méi)」の秘密を1つ紹介。
実は「没(méi)」は、「没有(méiyǒu)」を省略した形なんです。なので、例えば「食べていない」という実現・発生の否定の場合、「没吃(méi chī)」という学びましたが、これは「没有吃(méiyǒu chī)」と言うこともできます。
基本的にどっちを使っても意味は同じです!
ただ、友達との会話みたいなカジュアルな場面では「没(méi)」を使うことが多く、大勢を相手にするスピーチみたいなフォーマルな場面では「没有(méiyǒu)」を使うことが多いと覚えておくと良いです。
「有」の否定は「没」だけ
最後にもう一つだけお話しておきたいことがあります。
所有・存在を表す動詞「有(yǒu)」を否定する時は「没(méi)」だけが使えて「不(bù)」は使うことができません。なぜかというと、、、「不(bù)」を使う3つのパターン(意思の否定、習慣の否定、一部「不(bù)」でしか否定できない動詞の否定)に該当しないからです。
あまり深追いはせずに、「有(yǒu)」を否定するときは「没(méi)」を使うんだと覚えるのが良いです。
ちょっと大事なポイントとしては「有(yǒu)」を「没(méi)」で否定すると「没有(méiyǒu)」になりますね。この「没有(méiyǒu)」の「有(yǒu)」は省略して「没(méi)」とだけ言うこともできます。
つまり「有」の否定の形としては「没有」か「没」になると覚えておきましょう。
具体例を見てみましょう。
💡「有」の否定
✕ 不有
◯ 没有
〇 没(省略形)
中国語の否定文のまとめ
本当にお疲れ様でした!最後に今日の内容をまるっとまとめます。
なかなか一回で理解するのは難しいと思いますが、この記事を繰り返し読んで、いったん全体像を頭にいれておきましょう。そして、今後中国語を見聞きしたり、自分で作る時に、「あれ、これは不と没のどっちを使うんだっけ?」とか「ここで不、あるいは没を使ってるのは何でかっていうと…」というのを考えてみてください。
この記事で知識は入っているので、スポーツで言うとルールを覚えたりフォームを知ったというところまで持ってこれています。あとはたくさん動いて、ミニゲームして、試合して、身体で覚えてスキルとして定着させるというところまで持っていきましょう。
迷わず、挫折せずに中国語を学びたいという方は、自分にあった学習方法をプロの中国語学習コーチに相談することがとても有効です。無料カウンセリングを実施していますので、ぜひ一度相談してみてください。
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無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。
大家好!the courageの伊地知太郎です。