TOEICで集中力が続かない!仕組みと鍛え方をご紹介!

TOEICで集中力が続かない!仕組みと鍛え方をご紹介!
Taku

みなさんこんにちは。今回もTOEICに関する記事をお届けします。英語力の側面からの記事をこれまで書いてきましたが、今回は少し視点を変えて、TOEIC受験にあたって課題となる可能性がある”集中力”について考えてみましょう。

TOEIC本番で2時間集中力が続かない理由

TOEIC本番で2時間集中力が続かない理由

まずは心理学の視点も交えながら、TOEICの試験で集中力が続かない理由を考えてみましょう。

楽しさの役割

心理学者のミハイ・チクセントミハイは、「明確な目標を達成するために必要なタスクを楽しむときにのみ、私たちは集中力を強く持続できる」と論じています。チクセントミハイによると、タスクが楽しくない場合、私たちは気を散らすことを求める可能性が高くなるのです。

TOEICは社内評価、進学、転職などのために受ける場合もあり、受験する方は必ずしも英語が大好きで受けているわけではないでしょう。TOEICが楽しくて仕方ないという人も、一定数いることも事実ですが、少数派です。

大多数の人がTOEICを楽しいから受けているというわけではないことを考えると、楽しめる要素が少なくなってしまうことはある程度仕方ないことと言えるでしょう。まして、結果として点数を取らないといけないというプレッシャーもあると、なおさら楽しめなくなり、結果として集中力が発揮できないという事態に陥ってしまいます。

時間との戦い

次に、時間との戦いにも触れておきましょう。TOEICは、リスニング45分、リーディング75分で、各100問に取り組む必要があるテストです。リスニングに関しては流れてくる音声に従って回答していくため、時間調整の難しさはありませんが、リーディングは75分を自由に使えるため、時間の使い方も気をつけなくてはいけません。

75分は長いようで、100問の問題を解くには、一問にかけられる時間は1分以内になるため、焦りが生まれて集中できないという事態が生じます。時間のプレッシャーの中でまだ解いていない問題が気になってきて、目の前の問題への集中力を欠いてしまうというケースは想像に固くありませんし、時間がたりないプレッシャーが集中力に影響するのは当たり前のように思われます。

しかし、研究によると、時間が足りないという現象の理由になるのは、実際の時間が足りないことではなく、集中力が足りないことであることが多いようです。

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焦りが生じると、他の問題を気にしてしまったり、読んでいても目が滑ってしまったり、集中できないまま、あっという間に時間がすぎてしまったという経験がある方もおられるのではないかと思います。

実力と集中力

ここまでは楽しさ、時間配分の観点から、集中力が切れる原因について述べてきましたが、最後に、実力と集中力の関係についても触れておきましょう。

先述の心理学者、ミハイ・チクセントミハイは、「集中は、明確なゴールと能力があって初めて可能になる」と主張しています。集中を可能にする要素として、ゴールと能力が数えられています。つまり、能力があることは集中力を発揮するための条件なのです。別の言い方をすると、集中力が高まるから実力が発揮できるのではなく、実力があるからこそ、集中力が高まるということです。

これは、当たり前のように聞こえますが重要なことです。「集中力が足りない!」というお悩みの背景には、「実力不足」という根本的な原因がある可能性があるのです。

TOEIC本番で2時間集中するための対策

TOEIC本番で2時間集中するための対策

ここまで、TOEIC本番で集中力が続かない理由を、「楽しさの役割」「時間との戦い」「実力と集中力」の3つの観点からみてきました。このセクションでは、この3つの観点から、TOEICで2時間集中するための対策を考えてみましょう。

楽しさの役割

楽しめないと集中力が続かないという問題ですが、もちろん受験するまでにTOEICを大好きになれれば解決するのかもしれません。しかし、好きになれないものを好きになるのは、そう簡単なことではありませんよね。

そこで、ジョージア工科大学教授でありゲームデザイナーのイアン・ボゴストの考え方を紹介します。ボゴストによれば、楽しめないタスクでもその結果の報酬ではなく、そのプロセスを楽しもうとすることによって、集中力を保つことができるとのことです。人間には、タスクを捉え直して楽しいものだと考える能力が備わっています。

この考え方をTOEICに当てはめてみると、時間制限を逆にゲーム性として捉えてみることや、文法問題をパズルのようなゲームとして捉えることで、プロセスを楽しむ工夫ができるかもしれません。受験の結果何点取れるか、ということを考えるのではなく、TOEIC本番中は、目の前のタスクを解くことをゲームのように楽しむ工夫ができると、集中力が発揮できるでしょう。

時間との戦い

TOEICにおいて時間管理をするには、目安となる時間を知り、75分の時間の使い方をしっかり計画するのが一番でしょう。自分の時間のかかるパートや復習に必要な時間を含めて把握しておくことで、時間をより効果的に管理することができます。

代表的なTOEICリーディングパートの時間配分は、part5に10分、part6に10分、part7に55分をかけるのが目安だと言われています。これを目安に少しでも時間を管理できると、集中力を欠く要素を減らせると思われます。

そのためには模擬試験を実際のTOEICと同じ時間設定で解くことが有効です。苦手なパート、復習にかけたい時間が把握できるほか、疲れてくるタイミングも把握できます。英語力の測定以外にも、集中力を維持するための対策として、模擬試験は有効と言えるでしょう。

実力と集中力

タスクの難易度と集中力に関しては、集中力が高められれば実力が出せるのではなく、実力があるから集中できるという学説を紹介しました。日々の英語学習を続けて実力をあげていくことは、本番で発揮できる集中力に直結しているということがわかりました。

後ほど紹介するポモドーロ・テクニックや瞑想などでいくら集中する力がついても、英語力が足りなければいい結果が残せるとは言えませんよね。英語力を地道につけていくからこそ、TOEIC本番で集中力が継続するし、いい結果も残せるということですね。日々の学習を継続していくのが、一番の近道なのかもしれません。

日ごろの学習で集中力を鍛える方法

日ごろの学習で集中力を鍛える方法

さて、ここからは、TOEIC本番や日々の学習において集中力を発揮するために実践できる日常の習慣や学習方法をお伝えしていきます。

学習継続

上のセクションでも見てきたように、集中力は実力がついて初めて発揮されるものであるならば、TOEICの集中力をあげるためには日々の学習継続によって実力をあげることが必要になります。以下の項目で、集中力自体をあげるテクニックもいくつか紹介しますが、集中力だけをあげるだけではなく、あくまで日々の学習継続が一番の対策であることを頭に入れておきましょう。

ゴールを明確にする

学習継続、TOEIC本番にも共通して使える対策としては、ゴールを明確に設定することが挙げられます。明確で魅力的なゴール設定は、具体的な行動とモチベーションに結びつきます。

例えば、実現可能な範囲でTOEICの目標点数を設定しておくことは、集中力を高めるためにとても有効な手段になります。また、進捗がみられるように記録をすることで達成感と次のステップへの意識が生まれ、これはモチベーションを高く維持することに繋がります。

さらに進捗の管理は、コース修正や戦略の調整を可能にするため、日々新たに修正した学習計画を実行していくことで、プロセス全体に一貫性が出てくることも利点の一つです。

自分で決める

学習に限らず、自己決定による意思決定は人間の幸福度に強く影響することが明らかになっています。

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神戸大学の研究によると、自己決定によって進路を決定した者は、自らの判断で努力することで目的を達成する可能性が高くなり、また、成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなるという結果が出たそうです。

教育学の分野でも、学ぶ人を中心に考える学習者中心主義という考え方があり、ゴールや学習方法を学習者自らが決めると、主体的に学びやすくなる、個人が持っている様々な経験を学びに活かせる、仕事などに直接活かせる学習内容を組み立てやすいなどのメリットがあるとされています。

自分の学習に自分で責任を持って進めていくことは、幸福度を高め、学習のプロセス全体を楽しむ姿勢を獲得し、集中力の向上につながるでしょう。

ポモドーロ・テクニック

ここから先は、集中力を高めるための具体的なテクニックや生活習慣を紹介していきます。まずご紹介するのは、有名な「ポモドーロ・テクニック」です。

1980年代にイタリア人の学生がトマト型のキッチンタイマーを使って開発したテクニックで、ビジネスにも学習にも、集中力を持続させる効果があるとして人気のある方法です(トマトは、イタリア語でポモドーロ)。

具体的には、作業と休憩のセッションを交互に繰り返すというシンプルなものです。

ポモドーロ・テクニックの方法

「25分間の作業→5分間の休憩」×4回→15~30分の休憩

25分間の作業セッションである「ポモドーロ」の後、5 分間の休憩を取ります。4回のポモドーロを繰り返したら、15~30分程度の長い休憩を取ります。

短時間の作業時間によって集中力が維持されるほか、長く使っていると、「ポモドーロ4回で単語が何個覚えられる」などの目安がついてくるので、学習計画がより効果的に立てられるようになります。

瞑想

日ごろの学習で集中力を鍛える方法

瞑想は、筋トレによって筋肉を鍛えるのと同じように、脳を鍛えて注意力を高め、より長い時間注意し続けることを可能にします。瞑想では雑念が湧いてきても意識的に注意力を呼吸などに止め続ける練習をするので、学習中の雑念の対処もできるようになる効果があります。

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エモリー大学の研究によると、毎日20分の瞑想を継続することで、脳の注意を司る部位の活動と接続性の変化が起き、注意散漫から離脱できるようになるとのことです。

世界的ベストセラーとなった『サピエンス全史』の著者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏も、著書『21レッスンズ』において瞑想に言及し、瞑想の実践によって得られた集中力と明晰さがなければ、『サピエンス全史』の執筆は不可能だったと振り返っています。

ハラリ氏だけでなく世界中の著名人や一流企業でも瞑想が多く取り入れられているところを見ると、瞑想が集中力に与える影響は、現実にパフォーマンスに影響するものであると考えることができるのではないでしょうか。

睡眠を十分に取る

睡眠不足が脳に悪い影響を与えることは、皆さんも経験的にご存じのことでしょう。睡眠不足は、正しい状況判断を困難にし、計画を立てること、計画通りに振る舞うことを難しくします。様々なところで聞くように、7~8時間の睡眠は集中力を高めるためにも必要なようです。

そもそも集中力とは?

集中しないといけない時に限って、集中力は続かないものですよね。そもそも、人間の集中力とは何なのか?そして、集中力が切れるとはどういう現象なのかについて、脳科学の知見から、簡単に確認しておきましょう。

MITの記事では視覚情報に関する研究から、集中に関する脳の働きが説明されています。こちらによると、集中したい対象に関する刺激は脳波の周波数が揃って音量が上がり、その他に関する刺激は背景ノイズとして音量が下がるように調整される仕組みが、私たちの脳には備わっているのです。

集中したい対象に関する刺激が際立つように脳が調整できると集中状態に入るのですが、この集中状態を途切れさせる仕組みも、やはり脳の仕組みで説明できます。

人間の脳には体の運動を抑制する働きを持つ視床下核(ししょうかかく)と呼ばれる部位があります。たとえば、エレベータを降りようとしたとき扉の向こう側に誰かが立っているのに気づいたら、私たち人間は瞬時の反応として降りようとする動きを止めることができますが、このとき、脳では視床下核が活躍し、運動の抑制に一役買ってくれているのです。

一方で、この視床下核ですが、実は身体の運動だけでなく、認知活動も一時停止する機能を持っていることが、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究で明らかになっています。この認知活動の一時停止は、現代生活では集中力を乱すという不利益につながっています。

特にTOEICなどの試験はプレッシャーもありストレスがかかるため、集中力も下がりやすい環境です。外からの様々な刺激、自分の内側で起きる身体の反応にもいちいち気を取られ、視床下核が認知活動にストップをかけてしまうというのは、脳の仕組みから見ると、とても自然な反応なのです。

おわりに

というわけで、今回はTOEIC受験に際して問題になってくる集中力に関して、脳科学、心理学的側面からまとめてみました。集中力が高まるから実力が発揮できるのではなく、実力があるから集中力が発揮できるというのは面白いですね。

ローマは1日にしてならず。TOEICに限らず、やっぱりいい結果を残すためには、日々の積み重ねによって実力をあげていくことが重要ということですね。

Taku

学習計画を自分で決めるのは集中力の観点からも効果的であるといえそうですが、一人で効果的なトレーニングを選択して管理するのはなかなか難しいこともあるかと思います。

the courageでは受講生一人一人に合わせて完全オリジナルのカリキュラムを提案し、受講生の意思決定をもとに学習計画を進めていきますので、集中力という観点でも密度の高い学習体験をご提供しています。ぜひ、無料相談会にいらしてみてください。

ABOUT US
須藤拓
国際基督教大学 国際教養大学専門職大学院にて言語教育を専攻。オーストラリアやデンマークの教育機関でコースデザイン(カリキュラム設計)、日本語指導を経験。帰国後は2022年春まで大手英語コーチングスクールにて、90日でTOEIC490点UPなど屈指の業績を残すだけでなく、社員向けの教務研修も担当。