TOEICのリスニングを聞き取れない理由と勉強法・対策を解説

TOEICはリスニングとリーディングが100問ずつ出題されるテストで、高得点をとるには、両技能をバランスよく伸ばす必要があります。

Taku

ブログをお読みの皆様は、リスニングについてどんなお悩みをお持ちでしょうか?

リーディングは取れるのにリスニングが取れない方もいらっしゃるでしょうし、そもそもリスニングが難しすぎてTOEICのモチベーションが下がっている、いくら聞いてもできるようにならない、などのお悩みもあるかと思います。

この記事ではTOEICを題材に、リスニングの技能について、仕組みや学習方法を紹介していきます。

TOEICのリスニングが聞き取れない原因

TOEICリスニングが聞き取れないという現象には、様々な理由が考えられ、多くの場合複合的にいくつかの要素が絡んできます。ご自身のパフォーマンスを顧みて、当てはまりそうなものを考えてみましょう。

単語や文法を知らない(スクリプトを読んでもわからない状態)

もしご自身が英語の勉強を始めて間もない、あるいはまだ自信がないという状態でしたら、単純に”知らないから聞けない”という段階である可能性が高いです。

「リスニングをしても聞き取れず、スクリプトをみたら知らない単語だった」
「読んでも構造がわからず、文として理解できないものだった」

このような経験が当てはまる方はリスニングのができないのは単純な知識不足の可能性があります。音からの学びに拘らず、まずは基本的なインプットをしていくことで、リスニングもリーディングもどんどん伸びていく段階と言えます。

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ちなみにスクリプトは英語の音声を文字に起こしたもので、会話のリスニングであれば、英文が書いてある台本のことを指します。

音がわからない(単語の発音、音のつながりがわからない)

リスニングで歯が立たない文もスクリプトをみるとスラスラ意味がわかるという場合は、英語の音声に関する知識がないことが原因です。

この場合問題になるのは、意味や構造の知識ではなく、発音の知識と運用です。日本語と英語はそもそも全く違う言語であり、音声体系も根本的に異なります。

日本語の世界で使う音で英語を聞こうとしても、そもそもルールが違うので、囲碁のコマで将棋ができないのと同じで難しいのです。英語のリスニングをするには、英語の発音やルールを学び、英語音声の世界で使われる音を認識する必要があります。

スピードについていけない

リスニングはできないが、スクリプトを読めばわかるという方でも、スクリプトをリスニングの音源と同じ速さで読んだら理解が追いつかない場合は、内容理解のスピードが課題になります。

リーディングと違って、リスニングは自分でスピードを調整できないので、出題される音声の速さに対応できるように理解のスピードを鍛えることが必要になります。

TOEICリスニングに関して言えば、一分間に160~220単語くらいの速度で読まれることが多いようです。このスピードを目安に、理解のスピードを鍛えるトレーニングをしましょう。

推測ができない

英語力のレベルによらず必要になるのが、推測のスキルです。どれだけ単語、文法、発音の知識と運用が身についていても、当然聞こえない部分や聞き逃す部分はあります。ここで必要になるのが、聞こえない部分を周りの情報から補う推測の力です。

シャドーイングやディクテーションを機械的に続けているだけでは、文脈からの判断は身につかない危険性もあります。しかし、推測のスキルは意図的に練習することも可能です。

TOEICにおいては問題文やアナウンスに推測のヒントになる要素が散りばめられていることがありますので、聞こえない部分を補う推測のスキルをつけて挑みましょう。具体的にどのように鍛えていくべきかは、次のセクションで説明していきます。

TOEICのリスニングが聞き取れない原因に対しての勉強法

ここでは、前セクションのそれぞれの項目に対して、どのように勉強していけばいいかを説明していきます。

単語や文法を知らない場合の勉強法

単純に単語や文法を知らない方は、文法書や単語帳で英語の基礎力を身につけることが重要です。

この段階ではリスニングに特化した問題練習は重要ではありません。逆にリスニングで出てくる省略表現などによって、文法に対する心理的ハードルが上がってしまう可能性もあります。基礎力をつけることに集中した方が、結果的な伸び方は早いでしょう。

勉強する上でのポイント

この段階からなるべく音源があるものは音を聞いておくことです。音声を無視した学習では、日本語の音声を代用して英語を学ぶため、せっかく学ぶ英語の知識をすべて日本語の音で覚えてしまうことになります。こうなると、実施の英語を聞いた時に、持っている知識と実際の発音が結びつかず、結局聞こえないという状態に繋がりかねません。

音がわからない場合の勉強法

スクリプトを見ればわかるのに音声が聞けないという方は、発音に特化した練習をしましょう。読めるのに聞けないものは、端的にいって間違った発音で脳にインプットされてしまっている状態です。

先述のように英語と日本語はそもそも音声体系が全く別なので、これまで覚えてきた単語や文法の発音をすべてゼロから覚え直すつもりで、発音の知識と運用を鍛えましょう。

この段階では、発音練習、ディクテーション、シャドーイングなどが有効になってきます。英語の発音について全く学んだことがない場合は、発音練習から始めてみて下さい。

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完璧に発音できるレベルまであげていく必要はないです。「RとL」「TH」など主要な音は単体レベルで理解して、聞き分けられるようにしておきましょう!

ある程度英語の発音について理解が深まったら、ディクテーションが有効です。簡単に理解できる文を聞いてすぐ書き出す作業によって、聞き取りを強化しましょう。

シャドーイングは音声の中でもプロソディ(リズムやイントネーション、強調など)という側面を鍛える練習です。Part4など長いものを聞くと重要な部分が把握できないという場合に有効です。

学校ではあまり勉強しないところですが、文の意味理解に深く影響する部分で、非常に重要な部分です。シャドーイングではリズムやイントネーション、強調などに着目してそれをしっかり真似できるように練習してみましょう。

スピードについていけない

自分のペースで読めば読めるのにリスニングだと難しく感じてしまう場合は、理解のスピードを強化しましょう。理解のスピードとはすなわち、既知の文法や単語の運用スピードのことです。

知識として知っていることと、実際に運用できることは全く違うスキルで、自動車の交通ルールの理解と運転技術の関係に似ています。運用を鍛えるには、運用を練習するしかありませんので、この段階では文法書などを触るよりも、すでに知っていることを駆使して、文法形式ではなく意味に触れる練習が必要です。

具体的には、多読、多聴(ポッドキャストやYoutubeなど)を丁寧に積み重ねていくことが有効でしょう。その他、しっかり意味を把握しながら行うという前提を守っていけば、音読、シャドーイングを積み重ねることによってもスピードをあげていくことができます。

また、特定の文法の習得が弱い、まだ考えながら使っているものがあるという場合は、パターンプラクティスや瞬間英作文も非常に有効になります。

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パターンプラクティスは、文法を正確に使えるようにするために、同じパターンを繰り返し練習する方法のことです!

WPM(一分間に読める単語の量)を測って目標タイムを決めてスピードをあげていく方法もありますが、文法や文構造の理解がしっかり固まらないうちはWPMだけに着目した練習は読み飛ばしの癖をつけてしまう危険性があり、注意が必要な学習方法と言えます。

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WPMに着目する場合は、TOEIC800点以上の実力があるのに時間内に解き終わることができないなど、ある程度のレベルが確保できてからが良いと思います。

推測ができない場合の勉強法

話の展開の予想が全くできない会話についていくのはとても難しいものです。

文法、表現の単位でいえば、「この文は過去の話だから過去形だろう」「前にregardがあったから、ここは聞き取れなかったけどasだろう」などの推測、文章単位の視点からは「この先に必ず逆説がくるだろう」「この例が終わったら結論がくるだろう」など、ある程度の推測をしながら聞くことは非常に重要なストラテジーです。

私たちも日本語を聞く時に、自然と次の展開を予測しながら聞いているものですし、ネイティブも自然にこのストラテジーを使っています。

予測のストラテジーを独学で鍛えるためには、予測しながら英語のインプットをしていくことが一番です。たとえば、Part4のスクリプトを途中でとめて、どんな話の流れになるのかを考えてみることや、Part3の会話を先々の展開を隠しながら読んでいくことなど、普段の学習に取り入れて工夫できることがあると思います。

先のセクションでお伝えした多読、多聴は予測のストラテジーにも有効です。様々な英語に触れておくことによって、聞いたことがある単語の羅列のサンプルが無意識に頭に入っていきます。これによって、「こうきたら次はこうなりそうだな」という予測が自然に立つようになっていきます。

TOEICのリスニングでスコアアップするためのコツ

ここまでは自習の方針として、課題とそれについての対策をご紹介してきました。このセクションでは視点を変え、試験本番で覚えておきたい効率的な問題の解き方を紹介します。

パート1はメインのものだけでなく、隅々まで写真を見ておく

パート1では、写真を見ながら音声を聞き、写真の描写としてふさわしいものを選びます。

パッと目に入る写真の内容をまず把握してから細かい部分に目を向けましょう。パート1では特に細かい時制や受け身などで描写とずれる文言が出題されますので、注意して細部を観察してください。

パート2は疑問詞だけで短絡的に選ばない

part2は問題文や選択肢が印刷されていないので、純粋なリスニング能力の高さが求められます。細部まで聞いた上で文脈による判断も必要になっているので、キーワードや疑問詞だけで短絡的に選ぶと引っかかってしまう可能性があります。

パート3・4の設問は先読みをする

パート3・4は問題の音声が流れる前に少し時間がありますので、その間に設問と選択肢を読んでおきましょう。(選択肢を読む時間がない方は設問だけでもOK!)

キーワードを拾えれば、流れてくる音声がどんな内容なのかの予測にも役立ちますし、注意して聴くべきポイントを事前に把握して聴くことができます。

TOEICのリスニングでおすすめの参考書

発音の教科書――日本語ネイティブが苦手な英語の音とリズムの作り方がいちばんよくわかる

英語学習の書籍は大変出版数が多く、一般的に書店に置かれている発音の書籍の中には、”英語のプロ”の方が主観に基づいて書いたものも見受けられます。

ですが、この本の作者は英語教育学の博士号を持ち、大学で教鞭をとっている方です。内容に非常に信頼性があり、発音を正しく覚えていきたいという方に向けて日本人のための順番、難易度の設定で学べる一冊です。

英語リスニングのお医者さん


長い歴史を持つNHKラジオ英会話の人気講師、西蔭浩子先生によるリスニングの教材です。

日本人の苦手な音の変化やカタカナ英語が原因になるリスニングの難しいポイントがまとめられています。思っている聞こえ方と違って驚いたことがあるという方は、ぜひ一度確認しておきたい内容です。

新形式問題対応 改訂版 CD2枚付 世界一わかりやすい TOEICテストの授業(Part 1‐4 リスニング)

大人気講師関正生先生によるリスニングの教材。TOEICのPart1〜4までの問題の出題形式、出題傾向、勉強の仕方、問題の解き方が網羅されています。TOEICに向けてリスニングを独学していく初めの一冊におすすめの一冊です。

おわりに

今回はTOEICリスニングの全体像について触れました。リスニングは入り口として、耳から入った音声を認識する段階、聞こえた音を単語として認識し、文法能力によって意味を繋げていく段階を経て、全体の理解をしていくマルチタスクです。

Taku

自分がリスニングのどこの段階で引っかかっているかを明らかにして、段階に応じた対策を講じていきましょう。


the courageの英語コーチングでは、経験豊富なコーチがあなたの課題を分析し、それに応じた対策を立ててオリジナルのカリキュラムを組んでいきます。無駄な学習なく納得感を持った学習をしたい方は、ぜひ無料の相談会に足を運んでみてください。

ABOUT US
須藤拓
国際基督教大学 国際教養大学専門職大学院にて言語教育を専攻。オーストラリアやデンマークの教育機関でコースデザイン(カリキュラム設計)、日本語指導を経験。帰国後は2022年春まで大手英語コーチングスクールにて、90日でTOEIC490点UPなど屈指の業績を残すだけでなく、社員向けの教務研修も担当。