どこよりもくわしく!「しかし」を表す接続詞【但是・然而・可是・不过・只是】の違いを説明!何が違うの?同じなの?

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”但是””可是””不过”などの逆接を表す接続詞はどれも「しかし」という意味ですが、それぞれ使い方や意味に違いがあります。それぞれの接続詞の意味、共通点と相違点を考えると理解しやすいです!

この記事では「しかし」を意味する「逆接の接続詞」について詳しく説明していきます。

記事で取り上げる「しかし」を表す接続詞は”但是(但)・然而(而)・可是(可)・只是・不过の5つです!

“但是(但)・然而(而)・可是(可)・只是・不过”の大まかな違い

まずは、これら5つの動詞の大まかな違いについて見ておきましょう。ざっくりと違いを知りたい方々はこちらの項目だけでも理解できます。

  • 逆接の強さが違う
  • 書き言葉か話し言葉かで違う
  • 省略する場合の言い方がある

逆接の強さが違う

これら5つの接続詞は逆接の度合いが異なります。

逆接度
但是(但)、然而(而)、可是(可):しかし
不过:ただ
只是:ただ、ただ…だけ

 さらに具体的な説明については、以下でくわしくお伝えしていきます。

書き言葉か話し言葉かで違う

これら5つの接続詞は、使える文体が書き言葉か話し言葉かで違います。

但是(但)話し言葉・書き言葉(”但”は書き言葉)
然而(而)書き言葉(”而”は書き言葉)
可是(可)話し言葉(”可”は書き言葉)
只是話し言葉
不过話し言葉・書き言葉

省略する場合の言い方がある

これらの接続詞は省略する言い方があります。

  • 但是→但
  • 然而→而
  • 可是→可

ただし、省略した場合しない場合とでは、表記する上で句読点を入れるかどうかで違いがありますので、その点については以下の項目で詳しくお伝えします。

“但是(但)・然而(而)・可是(可)・只是・不过”のよりくわしい説明

さて、ここからはよりくわしい説明を見ていきましょう。

  • 逆接とは
  • 品詞と使い方
  • 逆接の度合い
  • 接続の方法

逆接とは

まず、「逆接」とは何でしょうか。この記事で取り上げる5つの逆接の接続詞の意味の核となる部分を3つ取り上げていきましょう。

  • 二つの文/句の接続である
  • 先行文/句から順当に予想される以外の結果が示される関係をあえて結びつける
  • 後件がより核心的であることを表す

「逆接」は、また先行文から見て順当に(当然の結果と予想される)結果が、後件で起こらない場合に使われます。さらに、ほとんどの場合、後件がより核心的であることを表します。

このように見ると中国語の逆接の接続詞は、日本語の「しかし」や「ただ」ともかなり似た役割がありますね。

例えば以下のような場面では、日本語の「しかし」と逆接の接続詞は、ほぼ同じ意味に用いられています。

具体例

虽然昨天下雨,但是今天应该会晴吧。
昨日は雨だったが、今日は晴れるだろう。

この文章のポイントは、後半の「今日は晴れるだろう」の部分で、前半部分は後半を強調するための前置きのような役割です。このように逆接の接続詞には、後半(後続文)を強調する役割があります。

日本語では「しかし」「~が」のような接続詞をつかっていても、そのまま中国語には置き換えられない例もあります。
日:「すみませんが、郵便局はどの辺ですか?」
中:×「对不起,但是邮局在哪里?」
この「すみませんが」の「が」には特に逆接の意味はなく、「単純な接続」として使われています。中国語の場合には、このような「単純な接続」の場面で使うことができないので、注意が必要です。

品詞と使い方

品詞

これら5つの言葉の品詞は「接続詞」です。さらに言えば、「逆接の接続詞」とも言えます。では、この「逆接の接続詞」の使い方について見ていきましょう。

中国語の場合、場合によっては接続詞がなくても、文脈で逆接の意味を表すことが可能です。例えば以下のような文では、逆接の接続詞がなくても、「しかし」の意味を持ちます。

具体例

我问了他好几次,他不告诉我。
わたしは何度も彼に聞いた。(しかし)彼は私に言わなかった。

このように、逆接の意味のある文章で“但是”などが使われていない場合、逆接の接続詞が省略されているため、日本語にする時には補って読む必要がありますね。

使い方

使い方についてはおおまかに以下の2つの特徴があります。

  • 常に後続文の文頭で使用される
  • 後続文で”却””还是””仍然”などの副詞を伴う場合がある

5つの「逆接の接続詞」は、常に後続文の文頭で使用されます。以下の例文はすべて文法的に正しい文章です。

具体例

わたしは何度も彼に聞いた。しかし、彼は私に言わなかった。

〇 我问了他好几次,但(是)他不告诉我。
〇 我问了他好几次,(然)而他不告诉我。
○ 我问了他好几次,可(是)他不告诉我。
○ 我问了他好几次,不过他不告诉我。
○ 我问了他好几次,只是他不告诉我。

また、5つの「逆接の接続詞」は文章に”却”(・・・けれど),”还是”(それでも),”仍然”(やはり)などの副詞を伴う場合があります。

具体例

我问了他好几次,但是(然而、可是…)他却/还是/仍然不告诉我。

ここで重要なのは、逆接の副詞”却””还是””仍然”は文の接続機能がないため、文頭では使用されない、ということです。”却””还是””仍然”は副詞であり、接続詞ではないからです。
×我问了他好几次,却/还是/仍然他不告诉我。

逆接の度合い

次に「逆接の度合い」について見てみましょう。「逆接の度合い」とは、先行文との対比性/対立性とも言い換えることもできます。

それぞれの接続詞を、強>中>弱で逆接度を分けて順番に説明していきます。逆接度の違いをわかりやすくするために、以下に同じ例文を使って比較していきます。

逆接度「強」 “但是(但)・然而(而)・可是(可)”

最も逆接度が強いのは”但是(但)・然而(而)・可是(可)”の3つです。この接続詞の場合、話の重点は後続文になります。

具体例

他中文不错,但是/然而/可是发音有点不自然。
彼の中国語は上手です。しかし発音が不自然です

この文章の場合、重点は後半の「発音が不自然」です。例えばこの文が「彼に翻訳を担当してもらうのはどうか?」という質問に対する回答の場合、後に続く文には以下のような違いが出てきます。

具体例

○ 他中文不错,但是/然而/可是发音有点不自然。
  彼の中国語は上手です。しかし発音が不自然です

× 要不让他当翻译吧。
彼に通訳を担当してもらいましょう

○ 还是不要让他当翻译吧。
彼には通訳を担当させないでおきましょう

「逆接の接続」があるので、「発音が不自然」に重点があり、「彼は通訳としてふさわしくない」ということが文章の重点になります。

逆接度「中」 “不过”

逆接度が中程度なのは“不过”です。“不过”の場合、先行文の事実を部分的に修正したり、先行文の内容とは違う考え方を言ったりするときに使用します。

さきほどと同じ例文で確認してみましょう。

具体例

他中文不错,不过发音有点不自然.
彼の中国語は上手です。しかし発音が不自然です。

× 要不让他当翻译吧。
彼に通訳を担当してもらいましょう

○ 还是不要让他当翻译吧。
彼には通訳を担当させないでおきましょう

”不过”の場合も逆接度は中程度とはいえ、重点はやはり後半の「発音が不自然です」に来ますので、後に続く文章は「彼はやはり通訳としてふさわしくない」が正しいということになります。

逆接度「弱」 “只是”

最も逆接度が弱いのが”只是”です。この”只是”は、話の重点が後続分になる場合だけでなく、先行文になる場合もあります。さきほどと同じ例文を使って比較していくと以下のような文にもなります。

具体例

他中文不错,只是发音有点不自然(而已).
彼の中国語は上手です。ただ発音がちょっと不自然(なだけ)です。
※(而已)をつける場合は、重点は先行文にあります。

○要不让他当翻译吧。
彼に通訳を担当してもらいましょう

○还是不要让他当翻译吧。
彼には通訳を担当させないでおきましょう

“只是”だと、「彼の中国語はちょっと不自然なだけだから、やはり通訳を担当させましょう」となる場合もあります。また、後続文の「発音が不自然です」に重点がある場合は、「彼には通訳を担当させないでおきましょう」が続くこともありえます。

接続詞”虽然”、”尽管”の付加

さらに、逆接度の強さや弱さによって接続詞”虽然”、”尽管”をつけられるかどうかにも違いがでてきます。

逆接度の強い”但是(但)・然而(而)・可是(可)”の場合、先行文に譲歩(ある事実を認める文)接続詞「虽然」、「尽管」を付ける場合が多いです。

具体例

○ 他中文不错,但是发音有点不自然。  

○ 虽然/尽管他中文不错,但是发音有点不自然。

一方、逆接度が中程度の”不过”だと、接続詞「虽然」、「尽管」を付けると不自然な文章なります。また、逆接度が弱い”只是”は接続詞“虽然”、“尽管”はつけられません。

この点について以下の表でまとめましたので、参考にご覧ください。

但是(但)○ 虽然/尽管他很有钱,但是他不快乐。
然而(而)○ 虽然/尽管他很有钱, 然而他不快乐。
可是(可)○ 虽然/尽管他很有钱,可是他不快乐。
不过△ 虽然/尽管他很有钱,不过他不快乐。
只是× 虽然/尽管他很有钱,只是他不快乐。

接続の方法

“但是(但)・然而(而)・可是(可)・只是・不过”の5つの逆接の文章の接続方法についても見ていきましょう。

“但是”の場合、表記上“但是,他不快乐”と“,(コンマ)”を補うことができる(必要ではない)のに対し、“但”の場合は“但他不快乐”となります。話す場合には通常ポーズを入れません。

但是 他很有钱,但是,他不快乐。
× 他很有钱,但,他不快乐。
然而 他很有钱, 然而,他不快乐。
× 他很有钱, 而,他不快乐。
可是 他很有钱,可是,他不快乐。
× 他很有钱,可,他不快乐。
只是 他很有钱,只是,他不快乐。
不过 他很有钱,不过,他不快乐。

さらに接続詞によっては文頭ではなく、語や句に接続できるものと、できないものがあるので、注意が必要です。

【語・句に接続できる接続詞、できない接続詞】

但是 便宜但是好吃的料理。
便宜但好吃的料理。
然而× 便宜然而好吃的料理。
便宜而好吃的料理。
可是× 便宜可是好吃的料理。
× 便宜可好吃的料理。
只是× 便宜只是好吃的料理。
不过× 便宜不过好吃的料理。

今回は、「しかし」を表す”但是(但)・然而(而)・可是(可)・只是・不过”の違いについてまとめました。それぞれの接続詞の違いをしっかり理解して使っていきたいですね。


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ABOUT US
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中国浙江省金華市生まれ。CODA(Child of Deaf Adults)。中国手話、南部呉語、北京語を母語とする。中央大学大学院文学研究科Ph.D.取得(国語学)。現在、都内の大学で中国語科目の教鞭をとる。研究者としての専門分野は日本語学、中国語学、日中対照言語学、手話言語学など。日中両言語の文法の知識に加え、中国の社会や歴史など、様々な背景知識に精通している。