シャドーイングは、中国語の勉強法のなかでも効果が大きいものです。ただ、やり方を少し間違えるだけで、ほとんど意味のない口真似になってしまいます。
このページでは、中国語コーチングで受講生に実際に伝えている手順を書きます。あわせて、練習に使えるアプリも紹介します。
シャドーイングとは
流れている音声を、少し遅れて追いかけながら、声に出して言う練習です。似た練習と並べると、違いが見えてきます。
| やること | 期待できる主な効果 | |
|---|---|---|
| 音読 | 文字を見て読む | 発音・語順の定着 |
| リピーティング | 1文聞いて、止めて、言う | 記憶保持・文の組み立て |
| シャドーイング | 音だけを聞いて、追いかけて言う | 聞き取り・発音・速さへの慣れ |
シャドーイングの特徴は、文字に頼れないこと、そしてスピードについていく必要があることです。目で追えないので、耳で捉えた音をそのまま口に出すしかありません。また、ゆっくりであっても音源のペースに合わせて処理し続けないといけません。そのため、聞き取れていない音は、絶対に言えないので、「自分が何を聞き取れていないか」もはっきりします。
シャドーイングで鍛えられるのは、聞く力と話す力の両方です。聞く力を伸ばす練習の全体像は中国語リスニングのコツと勉強法、話す力は中国語スピーキングの勉強法で紹介しています。
「まだ難しい」と感じたら、リピーティングから
先に、つまずいたときのことを書いておきます。
シャドーイングは、同時にいくつものことをやらされる、負荷の高いトレーニングです。
- 流れてくる音を聞き取る
- その意味を理解する
- それを自分の言葉として口に出す
- しかも、次の音はもう流れてきている
これを止まらずに続けるので、どこか1つでも追いつかないと、全部が崩れます。最初からできなくて当たり前です。
やってみて「速すぎる」と感じたら、まずは0.5倍速など、減速再生からスタートしましょう。そこから段階的に速さを上げていきます。無理をしてもあまり効果的ではありません。筋トレで言うと、持てる重さのダンベルからはじめて、少しずつ重量を増やしていくイメージです。
また、「まったく歯が立たない」と感じたら、シャドーイングを繰り返すより、リピーティングに切り替えたほうが伸びます。1文聞く → 止める → 自分で言う、という練習です。止まる時間があるので、意味を取る余裕も、口を動かす余裕もあります。
目安
・音源を聞いて、8割くらい意味が取れる → シャドーイング
・半分くらいしか取れない、口がまったく回らない → リピーティング
リピーティングで文が口になじんでから、シャドーイングに移る。この順番が、遠回りに見えていちばん速いです。

中国語のシャドーイングが、英語より難しい3つの理由
英語学習でシャドーイングの効果があることはよく耳にしますが、中国語には中国語の難所があります。ここを知らずに始めると、「なぜかうまくいかない」で止まります。
① 声調がある
中国語は、同じ音でも高さの動きで意味が変わります。シャドーイングでいちばん崩れるのがここです。速さについていこうとすると、声調が真っ先に崩れてしまいます。自分では言えているつもりでも、録音を聴くと声調がめちゃくちゃになっている、ということが起こりがちです。
② 実際の会話と教科書の違い
まず、教科書で覚えた声調のまま話されるとは限りません。三声が続けば前の三声は二声になりますし、「一」と「不」は後ろに来る音で声調が変わります。軽声になって高さそのものが消える音もあります。
音声を聞いて「教科書と違う」と感じる箇所がありますが、シャドーイングは、この「実際にはこう言う」を体に入れるのに向いています。
③ 日本語にない音がある
そり舌音(zh, ch, sh, r)、ü の音、n と ng の区別。これらは聞き分けられていない音は、言い分けられません。何度やってもうまくならない箇所があるなら、発音練習に戻る合図です。
中国語シャドーイングのやり方(6ステップ)
中国語コーチングのセッションでもよくお話しするのですが、勉強とは「できないところを、できるように変えること」です。分かるところを何度流しても、時間が過ぎるだけで何も変わりません。以下の手順は、すべてそのための段取りです。
ステップ1 まず意味を取る
いきなり追いかけないでください。意味が分かっていない文をシャドーイングしても、音の真似にしかなりません。スクリプトを見て、分からない語を調べ、内容を把握してから始めます。
「シャドーイングは文字を見ない練習」なのはそのとおりですが、それは本番の話です。準備では見ます。
解像度100%で理解できるように、精読をしましょう。
ステップ2 速度を落として、1回通す
0.5~0.75倍くらいまで落とします。何を言っているか追える速さで、まず1回。ここで追えない場合、その音源は今のレベルに対して難しすぎます。教材を変えるか、リピーティングに切り替えましょう。
筋トレと同じで、自分が持てる重さから始めて、だんだん負荷を上げていくのが重要です。
なお、1.5倍速や2倍速でいきなり聞いたあとに通常速度に戻すと「聞きやすくなった」と感じることがありますが、あれは錯覚です。実力そのものが上がったのではありません。速さに耳が慣れただけで、聞き取れなかった音は聞き取れないままです。

ステップ3 追えないところを、繰り返して潰す
必ず何か所か、口が回らないところが出ます。文の途中で置いていかれる箇所です。そこだけを繰り返します。回数を決めないでください。「10回やる」ではなく「言えるまで」です。

ステップ4 録音して、必ず聴き返す
ここを飛ばしてしまう方がとても多いのですが、いちばん効くのはここです。
シャドーイング中は、自分の声を客観的に聞く余裕がありません。追いかけるだけで手一杯だからです。だから録音して、あとから聴いてください。聴き返すと、こういうことが分かります。
- 言えているつもりの箇所が、言えていない。音が出ていない、語尾が消えている、母音が曖昧になっている
- 声調が平らになっている。速さを追うと真っ先にここが崩れます
- 「口が回らなかった」の正体が分かる。難しくて言えなかったと思っていた箇所が、聴き返すとそもそも自分の発音が音源とかなり違っていただけだった、というのはよくある話です
最後のものが特に大事です。「速すぎて言えない」のではなく「違う音を出そうとしていたから言えない」という場合が、かなりの割合であります。音の作り方が違うから、口が追いつかなかったんです。これは聴き返さないと一生気づきません。

ステップ5 お手本と重ねて聴く/人に聴いてもらう
余裕があれば、お手本と自分の声を重ねて聴きます。ずれている箇所が、そのまま分かります。遅れているのか、速すぎるのか、音の長さが違うのか。文字で指摘されるより、耳で聞いたほうが速く直ります。
自分では判断がつかないときは、先生やコーチに録音を送って聴いてもらうのがいちばん確実です。「どこかおかしい気がするけれど、どこかは分からない」という状態は、独学でいちばん起きやすく、いちばん時間を溶かします。人に聴いてもらえば、たいてい30秒で片がつきます。
ステップ6 等速に戻して通す
最後に1.0倍で通します。ここまでで1セットです。同じ音源を数日に分けて繰り返してください。新しい音源をどんどん増やすより、1つを仕上げるほうが伸びます。
どの音源を何日続けたかは、the courage アプリに記録しておくと、積み重ねが目に見えるようになります。
シャドーイング用のアプリに必要な機能は3つ
普通の音楽プレーヤーでは、上の手順は回せません。必要なのは次の3つです。これが揃っているアプリでないと、効果的なシャドーイングトレーニングはできません。
① 速さを変えても、声が不自然にならない
普通のアプリで速度を落とすと、声が低くなって間延びした別人の声になります。それでは発音のお手本になりません。必要なのは、遅くしても声の高さが変わらないこと。話し手の声のまま、ゆっくりになる。それではじめて真似しやすくなります。
② 聞きたいところだけ、何度でも繰り返せる
つまずくのは、たいてい特定の1文、多くは文構造に慣れていない箇所です。そこだけを、指を動かさずに繰り返せること。これができないと、毎回シークバーを触ることになり、練習ではなく操作の時間になります。ABリピートがあるものを選びましょう。
③ 自分の声を録音して、聴き返せる
ステップ4があるので、これは必要な機能です。PCで音源を流し、別の録音アプリを立ち上げてやることもできますが、手間が増えるだけで、やりたくなくなります。同じ画面でできること、そして録音をそのまま人に送れることも大事です。
おすすめのアプリ:playner(プレイナー)
私たち the courage からリリースした、語学学習者のためのシャドーイング、リピーティングトレーニングのためのプレイヤーです。
以前このページで紹介していたアプリが配信終了してしまいました。また、Androidユーザーの方にはもともと勧められるものがありませんでした。
できること
- 速度を0.5〜2.0倍に変えられます。声の高さは変わりません
- A-Bリピート。聞きたい区間だけを、何度でも繰り返せます
- 自分の声を録音して、聴き返せます。お手本と重ねて聴く、コーチや仲間に送る、もできます
- 無音を見つけて、文ごとに自動で区切ります。リピーティングの練習がそのままできます
- 言えなかった音が赤く出ます。端末の中の音声認識を使って、聞き取られなかったところを表示します(中国語・英語・日本語)
- iPhone でも Android でも使えます
- 無料です。課金も広告もありません

点数やランクはつけていません。
できないこと
動画(映像)ファイルは取り込めません。取り込めるのは音声だけです。mp3、m4a、aac、wav の4つと、それらをまとめた zip。mp4 や mov は取り込めません。ドラマや映画を教材にしたい方には、現時点では向きません。
一方、教材の CD 音源、ダウンロード購入した音声教材、配信元が配布している音声ファイルで練習する方には、そのまま使えます。
以前ご紹介していた Speater について
このページでは長いあいだ、Speater というアプリを紹介してきました。
2026年9月現在、App Store で「Speater」と検索しても見つかりません。すでに入れてある端末では動く場合がありますが、新しく入れることはできず、機種変更をすればそこで使えなくなります。
上で紹介した playner では基本的な速度変更・区間リピート・波形表示・自動分割ができることに加え、自分の音声を録音することもできます。練習にお役立てください。
よくある質問
それでも続かないときは
正直に書きます。アプリを入れただけでシャドーイングが続く人は、多くありません。続かない理由は、やる気ではなく、たいてい次のどれかです。
- 教材が今の自分に合っていない(難しすぎる/簡単すぎる)
- 1日どこまでやれば良いのか決まっていない
- 自分の発音がどこまで通じているのか、自分では判断できない
もうひとつ、あまりにガチガチにやると、練習そのものが苦しくなります。ドラマなど楽しめる素材を使うときは、「1話ごとに5フレーズは使えるようにする」のように条件をゆるく決めて、楽しみながら進めるのがおすすめです。
3つめは、独学ではほぼ潰せません。自分の耳は自分の癖に慣れているからです。録音を聴いても、「何かおかしい」までは分かっても「どこがどうおかしいか」までは届きません。
the courage では、教材選びから毎日の分量、発音のチェックまでを一緒に組み立てています。録音を送っていただければ、コーチが聴いて、どこをどう直すかをお伝えします。無料の学習相談をやっていますので、独学で行き詰まっている方は一度お話ししましょう。
迷わず、挫折せずに中国語を学びたいという方は、自分にあった学習方法をプロの中国語学習コーチに相談することがとても有効です。無料カウンセリングを実施していますので、ぜひ一度相談してみてください。
無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。









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