こんにちは、中国語コーチングthe courageでコーチをしている伊地知(@taroijichi)です。
今までカリキュラム作成のために100冊以上の文法書に目を通してきましたが、そうした経験も元に、みなさんが「買ってみたいけど、どんなテキストなんだろう」と気になるテキストについて、私も気になるので、レビューをしていきたいと思います。
おすすめの文法書についてはこちらの動画をご覧ください。
今回レビューするのはこちらのテキストです!
今回なるべく詳細を書いたつもりですが、他にも知りたいことなどあればぜひお気軽にご連絡ください。それでは早速見ていきましょう!
どんなテキスト(教科書)なの?
1課から11課まで、全部で535ページというボリュームたっぷりの本で、「聞く」「話す」「読む」「書く」「訳す」という総合力をアップさせる学習書という位置付けです。『本気で学ぶ中国語』シリーズで、これは中級→上級→超上級という流れで一番難易度の高いものです。
それでは、ここから『本気で学ぶ超上級中国語 』の具体的な特徴を説明していきますね。
特徴①本文のボリュームがたっぷり
まず見た目からしてすごく分厚いです。「え!!辞書!?」と思うくらいの厚さがあります。全535ページで、厚さ3cm!!
1課から11課までありますが、それぞれの課の本文は1,000字どころか、1,500字超のものばかりで、音源も5〜10分と、一般的な中国語のテキストと比較してかなり長いです。
そして収録音源のトータル時間は7.5時間…な、長い。
ちなみにCDは付いていないので、音源はaudiobookで、シリアルコードを入力することでダウンロードします。
スマホしかない場合、audiobookのスマホアプリを使って再生しても良いですが、「Clipbox Zip」などのアプリを使ってダウンロードしても便利です。
特徴②テキスト内の文章が結構特徴的
これが1番大きな特徴だと思いますが、本文の内容が特徴的ということが挙げられます。具体的にどのように特徴的なのかを紹介していきます。
読んでいて勉強になる内容が書かれている
この本の本質がここにギュッと詰め込まれているように感じるのですが、「はじめに」の部分で著者の趙玲華先生が以下のように書いています。
2013年に『本気で学ぶ上級中国語』を執筆してからも、私は常に読書し、勉強してきました。社会学、哲学、文学、歴史の各分野の本を読み、人生に対してより多くのことを考え、新たな理解を得るようになりました。その結果、人生観がもっと闊達になり、私の中国語レベルも大きく飛躍しました。そこで私はその内容を中国語学習者の皆さんと分かち合いたいと思い、『本気で学ぶ超上級中国語』を書きました。
本気で学ぶ超上級中国語「はじめに」より引用
つまり、この本の内容は趙玲華先生が学んできて、人生観が変わったと感じたものを分かち合いたいという想いがあるので、自ずとその内容も人生に役立つような、深い内容になっているわけです。
「効果的な外国語の習得方法」などは、すでに中国語を学んでいる皆さんにとってすんなり入ってくる内容かと思いますが、それ加えて「良好な人間関係を保つ方法」や「思い通りにいく宇宙の法則」などのテーマが掲載されています。
本文後には筆者の(?)会話文が掲載
本文の後には、新出単語や文型・慣用句が掲載されていますが、その後に本文に近いテーマでの会話文が収録されています。
例えば以下のような形です。
本文:人は2つの母語を完璧にマスターできるか?
会話①:幼児は母語を通じて外国語を理解する
会話②:外国語の練習と解説
会話③:会話力をどのようにアップするのか
会話④:シャドウイングと模倣音読練習の違い
おそらく会話文は著者へのインタビューのような形で収録されているようなので、そうした意味でも、筆者の感じてきたことや考え方が色濃く反映されているテキストだと言えます。
私は語学学習、特にトレーニング方法も専門なので、こうした箇所については「ここで言ってるのはシャドーイングではなく、オーバーラッピングでは?」と少し異論を持ちながら読むなど、良く言えばのめり込んで読むことができる内容でした。
特徴③色々な形式での問題が掲載
各課の最後に「宿題」という項目があり、そこに様々な形式の問題が掲載されています。
本文の内容をもとに設問があり、その設問を中国語に訳したうえで、中国語でそれに対しての答えも書くというような問題です。
これは翻訳能力に加えて、本文を読むリーディング、そしてそれを自分の言葉でアウトプットするための要約&ライティングの力が必要になります。
独学でこのトレーニングを完成させるのは少し難しいかもしれませんが、こうした練習を行うことで、表面的な簡単な会話だけでなく、一歩踏み込んだ深い会話で自分の意見を言うことに繋がります。特に、1つ前の会話文でネイティブがどのように話しているかなどを真似しながら取り組むと効果が出そうです。
例えば、私もよく困るのですが、「中国語コーチングって、中国語を教えることがメインではなく、その人の中にある本当の気持ちを引き出すのがメインの仕事です。」とか中々伝わりにくいことを練習するのに良い!と思いました。
もっとこうだったら良いのに
わざわざ表紙にも音源「7.5時間収録」と書いてある通り、内容がとても充実しています。
一方で、テキスト(教科書)の目的が壮大で、全ての力を鍛えようとしすぎるあまり、目的が曖昧になってしまっているという印象があります。
特徴は先に挙げた通りですが、トレーニングのしやすさや、特定の能力を向上させるための工夫が少ないように感じるので、もっと目的やゴールをハッキリとさせて、そこに対して使いやすく編集されていると嬉しいなと思いました。
ここまで上級になると、これと言って説明が必要な文法事項があるわけでもないので、トレーニング本や参考書としての魅力というよりは、著者に共感する人が一番楽しめる内容と感じました。※『本気で学ぶ中国語』シリーズの上級までは文法や語法の参考書としても有用なものです。
多分、オンライン講座とセットと考えられているのかな、、、
おすすめのレベルと効果的な勉強法(スケジュール例付き)
ここではおすすめのレベルと、このテキストを使った勉強法について説明します。
こんな人におすすめ
このテキストはこんな人におすすめです。
- HSK6級合格や中検2級・準1級を目指している人
- すでにHSK6級合格や中検2級・準1級合格相当の実力があり、語学力を維持向上させたい人
- 本当は原文のニュースとかコラムとか読みたいけど、まずはテキストで肩慣らししたい人
- 一歩踏み込んだ深い会話で自分の意見などを伝えられるようになりたい人
テキストの内容は人生において役立ちそうなものが多いですが、チョイスは客観的というよりはかなり趙玲華先生の主観(人生観)が色濃く出ているので、このクセを楽しむと良いです。
効果的な勉強法
もしthe courageでこのテキストをカリキュラムに入れるとしたら、固定のコースでは取り入れません。目的が曖昧なテキストだからです。ただ、すでにHSK6級合格、あるいはそれ相当以上の実力がある方で、検定試験からは離れた勉強がしたい。そして、特に好きなドラマや小説などもないという方に個別カリキュラムとして提案します。
おすすめの勉強方法としては、シャドーイング&ネイティブとの実践会話練習
シャドーイング
以下の手順でシャドーイングを行います。
- 精読(リーディング)を行い、不明な単語や文構造がないことを確認
- 自分のペースで音読を行う
- テキストを見ながら音源に合わせて音読をする(オーバーラッピング)
- テキストを見ずに音源を聞いて、少し後追いで真似して発話する(シャドーイング①)
- テキストを見ずに音源を聞いて、少し後追いで、自分のセリフのように感情を込めて発話する(シャドーイング②)
- シャドーイングのスピードを徐々に上げて、1.3倍速でも問題なく感情を込めてシャドーイングができる状態に仕上げる
特に上記❹と❺では、スピードに追いつけないと思ったら必ず減速再生をしてから、徐々にスピードを上げるようにしてください。
再生スピードを変えるアプリについてはこちらの記事をご覧ください。
これだけ丁寧に完成度を上げるとなると、1日に2~3時間を全てこのテキストに充てても1日1課は難しいかと思いますので、目安としては、1週間で2課などクリアできると良いかと思います。
ネイティブとの練習
このテキストをシャドーイングするだけでは他のテキストでも良いとなってしまいます。各課の最後にある「宿題」の問題を利用して、本文の内容について要約して話せるようにしてみるなど、ネイティブとのトレーニングを入れると効果的です。
ネイティブとのトレーニングとして、もし文字ベースであれば、自分の書いた文章をHelloTalk(ハロートーク)などのアプリに投稿して添削してもらうのも良いです。HelloTalk(ハロートーク)についてはこちらの記事で詳細を紹介しています。
また、会話として話す力、聴く力に繋げたい方は、中国語のオンライン会話を利用して、先生にお願いしてこのテキストの内容に沿った形で練習したいと伝えてみましょう。本文&「宿題」の部分を使うとやりやすいと思います。
オンライン中国語会話についてはこちらの記事でまとめてますので参考にしてみてください。
ぜひ、トライしてみてください!
迷わず、挫折せずに中国語を学びたいという方は、自分にあった学習方法をプロの中国語学習コーチに相談することがとても有効です。無料カウンセリングを実施していますので、ぜひ一度相談してみてください。
無料学習相談受付中
無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。
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個人的には抵抗はありませんが、こうしたテーマが苦手な方にはおすすめしません。また、語学力を高めることにフォーカスする人も、このテキストでなくて良いと思います。こうしたテーマが好きで興味がある、あるいは筆者の考え方が好きという方にはすごくおすすめです。