【レビュー】『はじめよう中国語音読 初級編』(中級編も!)中国語コーチングのプロが正直レビュー

こんにちは、中国語コーチングthe courageでコーチをしている伊地知(@taroijichi)です。

今までカリキュラム作成のために100冊以上の文法書に目を通してきましたが、そうした経験も元に、みなさんが「買ってみたいけど、どんなテキストなんだろう」と気になるテキストについて、私も気になるので、レビューをしていきたいと思います。

おすすめの文法書についてはこちらの動画をご覧ください。

今回レビューするのはこちらのテキストです!

[CD2枚付] はじめよう中国語音読 初級編

今回なるべく詳細を書いたつもりですが、他にも知りたいことなどあればぜひお気軽にご連絡ください。それでは早速見ていきましょう!

どんなテキスト(教科書)なの?

中国語は発音が大切だと言われますが、その指導方法の多くは単語単体での発音指導に偏りがちです。単語単体できれいに発音できることは絶対に必要なのですが、このテキストでは、それに加えて、文で読んだ時の自然さを大切にしています。

そして、文で読んだ時の自然さを出すために、このテキストでは意味のカタマリ(チャンク)毎に読むということをおすすめしていますし、チャンク毎の音源も収録されています。

中国語を学ぶ外国人にとって、この文の切れ目というのはなかなか把握が難しいところなので、こうした点を意識した作りは話す目的の人にはとても意味がありますね。

私は恩師の教えから「焦らず弛まず」を大切にしていますが、この本も「毎日少しでも」という継続を大切にしています。

特徴①発音部分は動画とセットで練習がしやすい

テキストはPart1〜Part4に分かれていますが、その前に「ウォームアップ準備体操」という項目があり、そこで「❶声調❷音節❸チャンク」について学びます。

こうした発音などの音声に紐づいたトレーニングは、音源がついていてもわかりにくいことが多いのですが、このテキストはYouTubeの動画と連動させることで、そのわかりにくさを解消してくれています。

著者の先生が動画で説明してくれるので、より臨場感を持ってその後の学習を進めることができそうだなと感じます。以下は実際のYouTube動画です。(先生優しそう!)

https://www.youtube.com/watch?v=nFIQD6_uPhU

なお、音源については付属のCDを使うことも可能ですし、audiobookで、シリアルコードを入力することでダウンロードも可能です。

スマホしかない場合、audiobookのスマホアプリを使って再生しても良いですが、「Clipbox Zip」などのアプリを使ってダウンロードしても便利です。

特徴②音読トレーニングを意識した絶妙な文章量と内容

[CD2枚付] はじめよう中国語音読 初級編の文章量は80字程度の文が60編収録されているというものです。この80字にしているのは、1回の音読がしやすいようにと考慮されている量です。

ザックリいうとテキストの1ページの半分に満たないくらいの量ですが、確かにネイティブらしい話し方を意識して、何度も反復して声に出すことを考えると、この文章量は絶妙に良い!と思いました。

また、内容としても以下の通り初級者にとって必要な内容について幅広く触れられているので、不足を感じることはないと思います。

Part1:自己紹介について
Part2:趣味や仕事について
Part3:生活や食事について
Part4:健康やファッションなどについて

例えばPart3の「生活や食事について」であれば「食べ放題」について、Part4の「健康やファッションなどについて」では「チャイナドレスについて」「着物について」「浴衣について」など、実際に中国語を勉強している人が中国人と会話する時に「話したいけど意外と単語がわからない」などと感じそうな内容です。

特徴③巻末にはチャンクトレーニング素材もついてる

巻末には「チャンクトレーニング400+」という、本文から抜粋された短い意味のカタマリのフレーズ集がついています。

これらをちゃんとカタマリで音読する練習をすることで、このリズムから外れると気持ち悪いと感じる状態に持っていくことができます。

これは意味のカタマリとして捉えるという効果の他に、単語を文で覚えようという効果も狙っているということです。その効果を狙う場合は、一度本文の音読を終えた後に取り組むと良さそうですね。

また、一度文でチャンク読みをマスターしても、忘れないようにこの「チャンクトレーニング400+」で復習をするというのも効果的です。

もっとこうだったら良いのに

目的が明確でとてもトレーニングしやすいテキストだと思うので、特に「もっとこうだったら…」は感じないのですが、本当に強いて言えば、全文通しでの音源と、チャンク分けの音源がそれぞれ別トラックであると扱いやすいかなとは思いました。(ただ、これも一長一短で、おそらく1トラック内に収めることを選択されたのだと思います。)

そして、もし使いにくい場合はアプリの力で十分対応・解決可能です。おすすめのアプリについてはこちらをご覧ください。

おすすめのレベルと効果的な勉強法(スケジュール例付き)

ここではおすすめのレベルと、このテキストを使った勉強法について説明します。

こんな人におすすめ

このテキストはこんな人におすすめです。

  • HSK4級合格相当以上の方(基本的な文法知識がある方)
  • 学習歴が半年以上だけど、発話がすごくたどたどしいと感じてる
  • 1つ1つの単語の発音はできているのに文になると不自然になる/不自然だと指摘される

このテキストは単語や文法を身につける(インプットする)ことを目的とはしていないので、まずは基礎知識をインプットして、その後に使うとより効果的なアウトプット向けのテキストです。

また、こうした文をたくさん読む「多読」は自分が少し易しいと感じるレベルのものを選ぶと効果的と言われています。もっというと、チャンクで読むという目的があるテキストなので、わからない単語や文法が多いと感じてしまうと、そこが気になってしまい、本来の目的であるチャンクの意識がしにくくなるので、しつこいですが、まずは基礎単語・文法のインプットを行ってからが良いです。

HSK4級合格への道のりについてはこちらの記事をご覧ください。

効果的な勉強法

もしthe courageでこのテキストをカリキュラムに入れるとしたら、HSK4級合格の後、スピーキングとリスニングを強化するコースで取り入れます。スピーキング強化では『改訂新版 口を鍛える中国語作文-語順習得メソッド【初級編】[音声DL]』などを使って、短い文を瞬間的に口から出せるように、中国語作文を行います。これがある程度できるようになったら(重複するタイミングで)少し長い文章のスピーキングやリスニングを導入すると良いので、こちらのテキストを使用し、スピーキング及びリスニングを鍛えます。

おすすめの勉強方法としては「精読→チャンク読み→シャドーイング(2段階)」を行います。

精読

本文中に不明な単語や文構造が多いと、意味のかたまり毎に読むというチャンク読みの妨げになるので、まず初めてに精読(リーディング)を行い、不明な単語や文構造があれば、それは調べてクリアにしておきます。

チャンク読み

以下の手順でチャンク読みを行います。

  1. ウォームアップの箇所で声調含め正しい発音を確認する
  2. チャンクで切れている音源を使い、チャンク毎に音読する(これがこのテキストのすごく良いところ
  3. テキストを見ながら❸で音読した感覚を意識しながら、音源に合わせて音読をする(オーバーラッピング)

シャドーイング

以下の手順でシャドーイングを行います。

  1. テキストを見ずに音源を聞いて、少し後追いで真似して発話する(シャドーイング①)
  2. テキストを見ずに音源を聞いて、少し後追いで、自分のセリフのように感情を込めて発話する(シャドーイング②)
  3. シャドーイングのスピードを徐々に上げて、1.3倍速でも問題なく感情を込めてシャドーイングができる状態に仕上げる

❶と❷の段階でスピードに追いつけないと思ったら、必ず減速再生をしてから、徐々にスピードを上げるようにしてください。

再生スピードを変えるアプリについてはこちらの記事をご覧ください。

もし独学で進めるとしたら、他のテキストなどに手を出さずにこれに絞ったとして、事前の精読で1時間、その後の音読とシャドーイングで1時間、翌日も同じ範囲をシャドーイングするとして、2日で1つの文章を丁寧に仕上げて良いかと思います。

ただ、1度できたものも忘れてしまうので、必ず前日までにやったものの復習の時間を作るか、あるいは効率を考えたら、一度シャドーイングが完成した文については巻末の「チャンクトレーニング400+」を復習用として活用すると良いです。

[CD2枚付] はじめよう中国語音読 初級編

【中級編】はどんなテキスト?

この「はじめよう中国語音読」には中級編もあります!初級編とは何が違うのか、どういう人に向いているのかについてを簡単に紹介します。

はじめよう中国語音読 中級編

初級編と同じ点

基本的なコンセプトや音源の形式は全て初級編と同じです。Part毎に文章のテーマが変わり、一番最初にある「ウォームアップ準備体操」という項目で「❶声調❷音節❸チャンク」について学ぶことができます。

また、60の文章が収録されている点も初級編と同じなので、学習方法についても同じように進めることができます。

初級編と違う点

初級編ではPart1~4に分かれていましたが、中級編はPart1~5に分かれています。

各文章のボリュームについて、初級編では約80文字ですが、中級編では約130文字になっています。

また、内容についても以下のようにより深い内容となっています。

Part1:日本の概要を説明してみよう!
Part2:日本の文化を紹介してみよう!
Part3:日本の飲食文化について話してみよう!
Part4:日本の社会問題について話してみよう!
Part5:日中異文化コミュニケーションについて話してみよう!

宗教について、終身雇用について、ハラスメントについてなど、本当に実践的と感じられる内容、しかも言えそうで言えない内容も多いと感じたので、中上級者にとってはとても良いと思います。

中級編はどんな人向け?

初級編を終えた人は中級編に進むと絶対に楽しめます。また、すでにHSK6級や中検準1級など取得している方は中級編からはじめても良いかと思います。


迷わず、挫折せずに中国語を学びたいという方は、自分にあった学習方法をプロの中国語学習コーチに相談することがとても有効です。無料カウンセリングを実施していますので、ぜひ一度相談してみてください。

無料学習相談受付中

無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。

無料学習相談受付中

無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。

ABOUT US
伊地知太郎中国語コーチングスクールthe courage代表コーチ
大学在学中、中国の北京師範大学に留学し、1年で中国語力をビジネスレベルにまで高める。帰国後、三菱重工業株式会社にて海外人事・資材調達業務を経験。その後、語学コーチングスクールPRESENCEにて700名以上の受講生の語学学習をサポート、コーチの育成や中国語コースの立ち上げを経て、語学コーチングスクールthe courage(カレッジ)を設立。