語学を始められた方や、出張・旅行に行かれる方は、まずこの3つだけは覚えたいと思う方も多いかと思います。今回は、実は奥が深い中国語の「ごめんなさい」についてご紹介します。
中国語と日本語の「ごめんなさい」の違い
日本は「和を以て貴しとなす」という言葉が代表するような協調を大切にする社会です。その為、私たちは様々な場面で色々な「ごめんなさい」を口にしています。
例えば、電車で肩と肩が触れ合って「すみません」、知らない人に道を聞く時に「すみません」、誰かに助けてもらった時も「すみません」、会社で上司に質問する時も「すみません」
改めて考えてみると謝ってばかりですね。日本社会では、相手との関係をスムーズにするために比較的気軽に「すみません」が使われます。
対して、中国は人口の多い競争社会。各種制度も日本ほど確立されておらず、「自分の身は自分で守らないといけない」という意識が強く、いつでも臨戦態勢。その為「相手に弱みを見せてはならない」という考えが根底にあります。
また、中国の文化ではメンツを非常に大切にするので、「謝る=自分の非を認める=メンツがつぶれる」という考え方もあります。その為、自分がよっぽど悪いことをした、と思わない場合は謝らない人が多いです。
对不起(Duì bu qǐ)はあまり使わない?
中国語の教科書でおなじみの「对不起(Duì bu qǐ)」。実は、中国であまり耳にすることはありません。それは上記で説明した文化の違いに加え、对不起(Duì bu qǐ)とは自分でよっぽど悪いことをしたと認識している場合に使う、心からの謝罪を表す言葉だからです。
例えば、中国でバスに乗っていて思いっきり足を踏まれてとても痛かった時でさえ、何の言葉もなかったことがあります。日本人の感覚ではびっくりですが、中国人の価値観として、よっぽどのことが無い限り、そのくらい謝るということはしないのです。
ただインターネットや旅行が気軽にできる今の時代、若者の感覚も変わりつつあるようです。20代前後の若い世代は、プライベートでは比較的日本人のような感覚で、謝罪の言葉を口にする人もよく見かけます。
一方でビジネス上では、明らかに相手に過失があった場合も、基本的には謝りません。言い訳をしてくるのが、中国のベーシックマインドです。
謝りすぎるのはプライドがないと思われる?
もう一つの理由として、中国では、自尊心を非常に大切にします。よっぽどのことが無い限りぺこぺこへつらわない、自分を大切にするという考えからきています。その文化を理解して、どうか「謝らないなんて、失礼」と思わないでくださいね。
中国語の「ごめんなさい」「すみません」
日本語ではお礼も何かを人に尋ねる時も、心からの謝罪をする時も「すみません」を使えますが、中国語では謝罪の程度によって使う言葉が異なります。具体的にどんな場面でどんな言葉を使うのか、ひとつひとつ見てみましょう。
一番よく使われる「すみません」
不好意思(bùhǎoyìsi) ブーハオイース
日本の感覚で、普段使いできるのが不好意思です。人にぶつかった時、何か軽い間違えをした時などに使います。
すみません、お先に失礼します。
不好意思,我先走了。
(Bù hǎo yì sī,wŏ xiān zŏu le)
ブーハオイースー、ウォシィェンゾウラ
頼みごとをする時に使う「すみません」
劳驾 (láo jià) ラオジャ
何か人にお願いをする時に使う言葉です。悪いことをした時の謝罪の意味は含まれません。ちなみに私は台湾に1年ほど住んでいましたが、耳にしたことはありません。台湾では、不好意思を使って道を聞いたりしています。日本の感覚に近いようですね。
すみませんが、あの本を取ってください。
劳驾,请把那本书递给我。
(Láo jià qǐng bǎ nà bĕn shū dì gĕi wŏ)
ラオジャ、チンバーナーベンシュディゲイウォ
何か聞きたいことがある時に使う「すみません」
请问 (Qǐng wèn) チンウェン
何か人に質問をしたい時や教えてほしい時には、请问を使います。この言葉は、質問以外に使う場面はありません。
すみません、ちょっとお聞きしたいのですが。
请问一下。(Qǐng wèn yí xià)
チンウェンイーシァ
軽く許しをお願いする時に使う「大目にみて下さいね」
包涵(bāohan) バオハン
大目に見てくださいという意味で、ビジネスの場で使われる言葉です。私はビジネスの場面でよく使いますが、中国、台湾の方が「包涵」を使っている場面に遭遇したことはありません。(私は中華圏とビジネスをして5年目です)中華圏のビジネスメールは簡素化されていて、日本のように形式ばっていません。丁寧な言葉で用件だけを伝えるものになっているため、大仰な単語はあまり使わないのかもしれませんね。
問題が多いですが、どうか大目に見てください。
问题太多,请多多包涵!
(wèntí tài duō,qǐng duō duō bāohan)
ウェンティータイドゥオー、チンドゥオードゥオーバオハン
許してほしい時に使う「許してください」
请 原谅!(Qǐng yuán liàng)チンユエンリャン
「请 原谅」は程度の高い過失を犯してしまった時や許しがほしい時に使います。日本語でも「許して」という表現はよっぽどのことが無い限り使わないと思いますが、中国語も同じです。中国語でもビジネスでもよっぽどのことがない限り、ほとんど耳にしません。
もう許してくれ。
原谅我吧( yuánliàng wǒ ba)
ユエンリャンウォバ
軽く謝罪する時の「ごめんなさい」
抱歉 (Bào qiàn) バオチィェン
少し改まった言い方の「ごめんなさい」になるので、友人間、プライベートではあまり耳にすることはありません。台湾のビジネス場面では、ちょこちょこ耳にする言葉です。「对不起」よりも程度が軽いごめんなさいという位置づけでしょうか。
あの日のことは本当に申し訳なく思っています。
我感到十分抱歉。
(Nà tiān de shì wŏ gǎn dào shí fēn bào qiàn)
ナーティェンデァシー、ウォガンダオシーフェンバオチィェン
本当に申し訳ないと言いたい時に使う「ごめんなさい」
对不起 (duìbuqǐ) ドゥイブーチー
先述したように自分に100%非がある場合、よっぼど悪いと認識している場合に使う言葉です。直訳すると「申し訳が立たない」「相手に顔向けができない」という意味で、非常に重たくなります。 そのため、日本語の感覚で友人に使うと、大げさなと驚かれますのでご注意を!
ごめんなさい、来るのが遅くなりました。
对不起,我来晚了
(Duì bu qǐ wŏ lái wǎn le)
ドゥイブーチー、ウォライワンラ
面倒をかける時に使う「すみませんが(悪いけど)」
麻烦 你 (Máfan nǐ) マーファンニィ
「申し訳ありませんが」「お手数おかけしますが」というニュアンスで使われる言葉です。この言葉はビジネス面では、中国台湾問わずよく耳にする言葉です。
申し訳ないけど、あのカバン取ってくれる?
麻烦 你,请 把 那个 包 递给 我。
(Máfan nǐ,qǐng bǎ nàge bāo dìgěi wǒ.)
マーファンニィ、チンバーネェガバオゲイウォ
お邪魔した時の「すみません」
打扰 (Dǎ rǎo)ダー ラオ
中国は日本ほど詫びを入れない文化なので、そこまで耳にすることはありません。例えば、会議中のところへ行って、緊急事項を伝えるため、相手の会話に割って入る場合などによく使います。自宅にお邪魔するときに、使うと大仰になってしまいます。
おじゃましました。
打扰你了。(Dǎ rǎo nǐ le)
ダー ラオ ニーラ
書面でお詫びをする時に使う「お詫び申し上げます」
歉意(qiànyì)
会社が何か過ちをしてお客様へ謝罪をしなければいけない場面などで、見かける言葉です。普段耳にすることや口に出すことはあまりありません。
心よりお詫び申し上げます。
表示 深深 的 歉意。
(biǎoshì shēnshēn de qiànyì)
ビャオシシェンシェンダチェンイ
「ごめんなさい」「すみません」に対しての答え方
では、相手から謝罪をされたらなんと答えたらいいでしょう?謝罪の表現と共にセットで覚えてしまいましょう。
気にしないで
别介意 (Bié jièyì)ビエ ジエ イー
少しフォーマルなかしこまった言い方です。プライベートではあまり耳にしません。中国、台湾の方から言われたことは、1度くらいしかありません。口語表現では、下記の2つをよく使います。
大丈夫だよ
没事没事(méishì méishì) メイシー メイシー
中国で一番耳にする「大丈夫」です。おおらかな国柄で、どんな場面でもよく「大丈夫だよ」と言われることが多いです。
おかまいなく
没关系 (méi guān xi) メイグヮンシー
「没关系」は台湾でよく聞く言葉です。逆に台湾では「没事」という言葉は使いません。通じますが、中国の言葉だなという認識になるようです。
なんともないよ
没什么(méishénme) メィシェンマ
こちらも中国でよく使われ、耳にする機会も多いですが、台湾では基本的に使われません。
しょうがないよ
算了吧 (suànle ba) スワンラバ
「もういいよ」「もうやめよう」という時によく使われます。「算了吧」は色々な場面で使われるので、覚えておくと便利です。
心配しないで
不要紧 (bù yàojǐn) ブーヤオジン
「不要紧」は人によってはよく使われます。「大丈夫だよ」「心配しないで」というニュアンスです 。「没问题」「没事」と比較すると頻出度は低めかもしれません。
問題ないよ
没问题 (méi wèntí) メィウェンティ
「没问题」は中国であらゆる場面で多用する便利なフレーズです。何かお願いされた時や感謝された時にも使えます。こちらも合わせて覚えておきましょう。
まとめ
中国語での様々なシーンで使える「ごめんなさい」「すみません」を紹介しました。謝罪の言葉を一つとっても、日本と中国の文化の違いが垣間見えて興味深いですね。
日本と同じ感覚で「对不起对不起」と多用しないように、場面によって上手に使い分け、周りの中国人に「なかなかやるなぁ」と思わせてしまいましょう。
皆さんの中国語ライフが、少しでも豊かになりますように。
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無料学習相談受付中
無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。
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日常でよく使う3つの言葉といえば「こんにちは」「ありがとう」「ごめんなさい」ですよね。