速報!中国の2025年度10大流行語

ニャース

こんにちは!2025年の流行語の発表がありましたので、さっそく見ていきましょう。

ちなみに2024年の流行語はこちらでした→中国の2024年度10大流行語

2025年度の十大流行語
  • 1位:韧性(rènxìng)
    強靭さ、粘り強さ
  • 2位:具身智能(jù shēn zhìnéng)
    具身知能(Embodied Intelligence)という技術
  • 3位:苏超(Sūchāo)
    江蘇省の都市サッカーリーグ
  • 4位:赛博对账(sàibó duìzhàng)
    サイバー照合
  • 5位 数字游民(shùzì yóumín)
    デジタルノマド
  • 6位:谷子(gǔzi)
    グッズ
  • 7位:预制XX(yùzhì XX)
    事前に作られた/セットされたもの
  • 8位:活人感(huó rén gǎn)
    人間らしさ
  • 9位:XX基础,XX不基础(XX jīchǔ, XX bù jīchǔ)
    ○○がベーシックなら、○○はベーシックじゃないものにする
  • 10位:从从容容、游刃有余,匆匆忙忙、连滚带爬(cóngcóngróngróng, yóurènyǒuyú, cōngcōngmáng máng, lián gǔn dài pá)
    落ち着いていて余裕がある/慌てていて余裕がない

いくつ知っていましたか?

中国から離れて3年目の私は 7・9・10 は今年よく見かけ、1・3・4・5・8 は“聞いたことはあるかも”程度、2・6は完全に初耳でした。

以下にそれぞれの意味と例文を説明・紹介しますので、ぜひ一緒に勉強していきましょう!

韧性(rèn xìng)

“韧性”は直訳すると「強靭さ」「粘り強さ」で、困難な状況に直面しても折れずに、しなやかに対応しながら回復していく力のことです。

個人のメンタル面だけでなく、企業や社会、さらには都市や国家全体が持つ“回復力”“耐性”という意味で使われます。

本来は文学作品で使われる書き言葉なので、会話ではあまり聞かれません。

近年では、中国政府の公文書や政治・経済ニュースなどでは見ることがあります。

当经济遭遇外部冲击:提高国家韧性成当务之急
(Dāng jīngjì zāoyù wàibù chōngjī: Tígāo guójiā rènxìng chéng dāngwù zhī jí)
(ニュースの見出しで)経済が外的衝撃に直面するとき:国の強靭さ向上が喫緊の課題に


具身智能(jù shēn zhì néng)

“具身智能”はIT・AI分野の専門用語で、AIが身体を持ち、現実世界の環境と直接相互作用しながら判断・学習する能力を指します。

日本語でも「具身知能(ぐしんちのう)」という表現が用いられています。

具体的には、ロボットが周囲の状況を感知し、それに応じて行動を調整するような一連の知能的プロセスを指します。

こうした能力の実現により、ロボットは人間の生活空間により自然に溶け込み、柔軟で適応的な行動を取ることが可能になります。

この概念は近年のAI研究における重要な潮流として注目されていて、2024〜2025年には科学ニュースや技術系レポートで頻繁に取り上げられました。個人的には専門性が高く初耳でしたが、ロボット工学の進歩に伴い、一般メディアでも見かける機会が増えているようです。

具身智能的发展让机器人能够更自然地与人类交流。
(Jùshēn zhìnéng de fāzhǎn ràng jīqìrén nénggòu gèng zìrán de yǔ rénlèi jiāoliú.)
具身知能の発展によって、ロボットはより自然に人間とコミュニケーションできるようになりました。


苏超(Sūchāo)

“苏超”は“江苏省城市足球联赛(江蘇省都市サッカーリーグ)”の略称で、江蘇省の都市クラブが参加する地域リーグを指します。

2024〜2025年にかけてSNSや動画プラットフォームで話題となり、試合関連の動画が高い再生数を記録しました。

私自身はサッカーに詳しくありませんが、ビリビリ動画では数百万回再生されている試合もあり、ネット上でかなり注目されていたことがうかがえます。地域のクラブが見せる真剣なプレーや、地方色の強い応援スタイルが人気の理由として語られています。

今年的苏超比赛再次吸引了大量观众。
(Jīnnián de Sūchāo bǐsài zàicì xīyǐn le dàliàng guānzhòng.)
今年の「苏超」の試合は再び多くの観客を惹きつけました。


赛博对账(sàibó duìzhàng)

“赛博对账”は、「サイバー(cyber)」の音訳と“对账(帳簿の内容を照合する)”を組み合わせた新造語です。

今年、SNS上で中国とアメリカの物価や生活コストを並べて比較する投稿が急増し、こうした一連の動きが「赛博对账」と呼ばれるようになりました。

その後、比較の対象は物価や生活コストにとどまらず、住宅事情、交通、税金、さらには文化や生活習慣にまで広がり、ほぼあらゆる分野で“ネット越しの照合”が行われる現象として話題になりました。

这几天,中美网友在小红书上的“赛博大对账”越闹越热,话题也从月薪消费扩展到住房出行、税收理财、民俗文化,几乎无所不包。
Zhè jǐ tiān, Zhōng-Měi wǎngyǒu zài Xiǎohóngshū shang de ‘sàibó dà duìzhàng’ yuè nào yuè rè,huàtí yě cóng yuèxīn xiāofèi kuòzhǎn dào zhùfáng chūxíng, shuìshōu lǐcái, mínsú wénhuà, jīhū wú suǒ bù bāo.
ここ数日、小紅書(RED)では中国とアメリカのネットユーザーによる「サイバー大照合」がますます盛り上がっており、月収や消費の比較から、住宅・移動、税金・資産運用、さらには民俗や文化まで、ほとんどあらゆる話題が取り上げられています。


数字游民(shùzì yóumín)

“数字游民”とは、場所にとらわれず、インターネットを利用して働く「デジタルノマド」を指します。

パソコンとネット環境さえあれば仕事ができるため、都市から地方、さらには海外まで、さまざまな場所を移動しながら働くライフスタイルとして注目されています。

特に中国では近年、動画配信やSNSの運営を仕事とする“自媒体(個人メディア)”が急速に広がっていて、“数字游民”の主要な収入源として定着しつつあります。

企業に雇われるわけではなく、自分の発信力を武器に、好きな観光地やカフェ、コワーキングスペースを拠点に撮影・編集・投稿を行うという働き方が一般化してきました。

こうした、旅と仕事を組み合わせた高い自由度の生活スタイルが、若い世代を中心に支持を集めています。

越来越多的年轻人成为数字游民,到不同城市一边旅行一边工作。
(Yuèláiyuè duō de niánqīngrén chéngwéi shùzì yóumín, dào bùtóng chéngshì yìbiān lǚxíng yìbiān gōngzuò.)
デジタルノマドとなった若者がますます増えており、彼らはさまざまな都市を旅しながら働いています。


谷子(gǔzi)

“谷子”は、英語 goods に由来する音訳語で、主にアニメ・ゲーム、あるいは「推し文化」に関連する「グッズ」を指す言葉として使われます。

私はこの表現を今回初めて知ったのですが、私の世代ではグッズを“周边(zhōubiān)”と呼ぶのが一般的だったため、「今の若者は“谷子”とも言うのか」と、少しジェネレーションギャップを感じた言葉でもあります。

谷子经济,为何火热?
(Gǔzi jīngjì, wèihé huǒrè?)
(動画のタイトルで)グッズ経済は、なぜこれほど盛り上がっているのか?


预制XX(yùzhì XX)

“预制XX”とは、本来「事前に作られた/セットされたもの」を意味し、もともとは“预制菜(調理済み食品)”に使われていた言葉です。

ところが近年ではネットスラングとして用法が広がり、次のような派生語が生まれています。

・预制歌(yùzhì gē)
→ 既成のメロディに歌詞をあてて“量産的に”作られた歌

・预制孕妇照(yùzhì yùnfù zhào)
→ 妊娠していないのに妊婦のふりをして撮った妊婦写真(演出写真)

・预制人(yùzhì rén)
→ 常識がなく、理解力が低い人

最後の“预制人”は少し理解しにくいかもしれません。

中国では過去の食品安全問題の影響で“预制菜”=「調理済み食品」に対して不信感を抱く人が多く、“预制”には「品質が悪い、信用できない」というネガティブなイメージがつきがちです。

そこから“预制(品質が悪い)”+「人」が組み合わさり、“预制人”=「常識や理解力が欠けた質の低い人」というネットスラングとして使われるようになりました。

こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。https://newspicks.com/news/10268366/body

最近的外卖预制菜太多了,很多人开始自己做饭。
(Zuìjìn de wàimài yùzhì cài tài duō le, hěn duō rén kāishǐ zìjǐ zuòfàn.)
最近のフォードデリバリーの料理は調理済み食品が多すぎるので、多くの人が自炊を始めています。


活人感(huó rén gǎn)

“活人感”とは、SNSや日常の中に見られる、「人間らしさ」を指す言葉です。

過度に加工された写真や、AI が作成した整いすぎた文章があふれる現代では、完璧な投稿よりも、ちょっとした欠点や不器用さ、揺らぎがそのまま残った表現のほうに、むしろ強い魅力を感じる人が増えています。

具体的には、
・写真を投稿するときにフィルターを盛りすぎず、光のムラや影をそのまま残す
・多少の誤字やぎこちなさがあっても、自分の本音を書いた文章を投稿する
・生活感のある机や、本が積み上がった棚の写真をそのまま載せる
──といったものが“活人感”の例として挙げられます。

中国では近年、周囲との競争に勝つために過剰な努力を続けたり、自分を実像以上に「強く見せる」人が増えていますが、その一方で、こうした競争や演出に疲弊する人も少なくありません。
その反動として、完璧さよりも“活人感”、つまり生きた人間の温度や不完全さがむしろ求められるようになっているのではないでしょうか。

这段视频虽然简单,但很有活人感,让人觉得很亲切。
(Zhè duàn shìpín suīrán jiǎndān, dàn hěn yǒu huó rén gǎn, ràng rén juéde hěn qīnqiè.)
この動画はシンプルですが、人間らしさが感じられてとても親しみを感じます。


XX基础,XX不基础(XX jīchǔ, XX bù jīchǔ)

“XX基础,XX不基础(XXがベーシックなら、XXはベーシックじゃないものにする)”は、あるファッション系インフルエンサーの発言から広まったネットミームです。

彼女は動画の中で、「コーディネートに“見どころ”を作るには、全身をベーシックアイテムだけで固めないことが大事」と説明していました。

たとえば、
・下身基础,上身就不基础。
下がベーシックなら、上はベーシックじゃないものにする。

・上下都基础,配饰就不基础。
上と下どちらもベーシックなら、アクセサリーはベーシックじゃないものにする。

といった具合に、「どこか一箇所はベーシック以外でアクセントをつけるべき」というルールを述べたのが発端です。

この考え方が面白がられ、やがて「XX基础,XX不基础(○○はベーシック、△△はベーシックじゃない)」という文型自体がネット上で広く使われるようになりました。

长相基础,穿搭就不基础
(Zhǎngxiàng jīchǔ, chuāndā jiù bù jīchǔ.)
外見が地味なら、コーデは地味じゃないものにする。


从从容容、游刃有余 / 匆匆忙忙、连滚带爬(cóngcóngróngróng / yóurèn yǒuyú / cōngcōng mángmáng / lián gǔn dài pá)

“从从容容、游刃有余/匆匆忙忙、连滚带爬”は、台湾・台北市議員の王世堅氏が議会での発言中に使ったフレーズです。

彼は非常に身振り手振り豊かで、感情のこもった話し方をすることで知られており、このときも表現力の強いジェスチャーを交えながらこの言葉を口にしたため、大きな話題となりました。

フレーズ自体は、

・本来是从从容容、游刃有余:元々は落ち着いていて余裕があった

・现在是匆匆忙忙、连滚带爬:今は慌てふためき、転げ回るように必死になっている

という、対照的な状態を表す言い回しです。

この強烈な対比と、王世堅氏の印象的な語り口がネットユーザーの間で注目を集め、やがてこのフレーズをもとにした楽曲《没出息》が制作され、さらに人気を博しました。

本来应该从从容容游刃有余
现在是匆匆忙忙连滚带爬

(Běnlái yīnggāi cóngcóngróngróng yóurèn yǒuyú,
xiànzài shì cōngcōngmángmáng lián gǔn dài pá.)
(『没出息』の歌詞で)元々は落ち着いていて余裕があったはずが、
今では慌てふためき、転げ回るように必死になっている。

ニャース

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

今年の流行語も例年と同じく、政府が推したい印象のある“韧性”のような語から、私のように日本在住でも耳にするほど実際に流行していた“XX基础,XX不基础”のようなものまで、さまざまなタイプが入り混じっている印象でした。

個人的には、今年 SNS でよく見かけた“左右脑互搏(左脳と右脳が戦っている=考えが矛盾している)”や、“何意味?(どういう意味?)”といった表現のほうが選ばれてもよかったのでは?と思う部分もありますが、今回のラインナップもとても興味深かったです。

流行語を学ぶことは、単なる語彙を増やすだけでなく、その背景にある文化・社会・価値観に触れるきっかけにもなります。言葉を通してその時代の空気を感じられるのが、中国語学習の面白さの一つだと思います。

ぜひ、今回紹介した語のニュアンスや例文を活かして、今後の学習に役立ててください。

それでは、また来年お会いしましょう!


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ABOUT US
日本語・韓国語を独学で学んだ中国語ネイティブ。語学が大好きで、某語学学習アプリ制作会社で教材開発に一年半ほど携わった後、日本で留学をするために退職。趣味は翻訳、ゲーム、将棋など。「好きなことで生き、好きなことをやって人の役に立つ」がモットー。ライターとしても、学習者の役に立つことを強く意識して執筆、活躍中。