中国語を使って仕事をしている、キャリアを切り拓いている方へのインタビュー企画【中国語×キャリア】
第二弾のゲストにキミさんをお呼びし、中国語をはじめたきっかけから、それをお仕事・キャリアにどう繋げたのかについて、かなり深掘りしてお伺いしています。
中国語学習者のヒントになったり、モチベーションアップに繋がる内容になっているので、是非楽しみながら読んでみてください。
また、インタビューの一部は音声配信のカレラジでも聴くことができます。音声配信ではより温度感が伝わる内容になってますので、ぜひ聴いていただけると嬉しいです。(以下のバナークリックで音声配信サイトに飛びます)
キミさんの経歴は
- 高校3年時に参加したスタディツアーで中国語に目覚める
- 日本の大学在学中に北京に留学(中国語コースで1年)
- 卒業後、メーカーの技術部に6年間勤務
- 現在の仕事は中国との貿易、越境EC
まずはキミさんの中国語との出会いから見ていきましょう。
中国語と出会ったきっかけ
高校最後の春休みに、両親の勧めで参加したスタディーツアーで、雲南省に行きました。総勢15人ほどのツアーで、これが人生初の中国でした。
バスで雲南省をあちこち旅するのですが、途中立ち寄った農村の公衆トイレが、なんと、、、外壁だけでパーテーションがありませんでした。中は土の地面に穴が3つほど掘ってあり、見知らぬ人同士横並びで用を足す「超ニイハオトイレ」だったんです!
順番待ちの人はそれぞれの「穴」にしゃがんでいる人の目の前に並んで待ち、そこで私の前に仁王立ちしていた中国人の女性に何か言われました。何を言われたか分かりませんでしたが、「なんだこの国は」「何を言われたんだ」とそのことがすごく衝撃的でした。
また、ツアーに参加していたガイドさんや通訳の方含め、いい仲間に恵まれたことで中国への興味が爆発し、ツアー中から夢中で中国語を覚え始めました。数の数え方などはツアー中に覚えちゃいましたね。
現在のお仕事
現在は日中貿易、越境ECの仕事をしていますが、それまでは中国語と全然関係のない仕事をしていました。
大学卒業後はメーカーに就職。技術部で働いていたので、中国語は全く使わず、6年間働きました。中国語への熱は増すばかりだったので、会社の中国支店に行きたいと言い続けていましたが、なかなかチャンスがなかったですね。
退職後、看護学校に通っていた時期もあります(笑)3年間通って看護師免許を取り、1年ちょっと看護師として働きました。
その後、知り合いに声をかけてもらい、現在の職にいたります。
現在の仕事は日中貿易、越境EC
現在は、日中貿易、越境EC(中国→日本)の仕事をしています。
仕事内容としては、商材に関する情報をゲットしてまとめることと、細かい取引条件の交渉がメインです!他にも物流手配や在庫管理、日本の卸先への営業、オンライン店舗の画像作成もやっています。
仕事中は6割が中国語!
仕事中に中国語を使う割合は6割くらいでしょうか。主に中国語側との交渉の時に中国語を使います。新規の取引先もどんどん出てくるので、毎回1から大量のやりとりをします。なので中国語の方が多めです。
ちなみに口頭でのやりとりは比較的少なく、WeChatやDingTalk、Larkのようなチャットアプリでのチャットがメインです。
ビジネス中国語は仕事をしながら習得
中国語を使って仕事をしていると、「どれくらいの中国語力が必要か?」気になる方もいらっしゃると思います。私の場合、10年以上前に留学していた時にHSK5級を取って、そのままになってました(笑)
これは私の経験なんですが、初動は日常会話がちゃんとできるくらいでいいと思います。要は自分の言いたいことがちゃんと言えて、相手の言ってることがちゃんと分かるくらい。
特別な知識は必要なくて、ただ自分がどうしたいとか、こうして欲しいとかを失礼のない程度に言えればいいのかなと思います。特に語彙なんて単に知ってる知らないの話で、仕事をする中で後からどんどんついてきますから。
最初はビジネス中国語なんて分からないので、私は最初変えたことといえば「你」を「您」に置き換えたのと、とにかく「请」を付けるようにしたくらい。言い方が分からない時は、絵を書いて「こう!」って見せたりして、相手にその単語を言ってもらい「あ〜そう言うのね」って学んでました。
なので、取引相手全員が老師です。取引相手が使っているフレーズを丸暗記しています!
ただし、相手に言われた新しい語彙や表現がストンと落ちてくる、もしくは分からない時にちゃんと相手にいろいろ聞いて疑問解消できるくらいの中国語慣れは必要だと思います。なにげないやりとりが新出単語や新出表現の宝庫なんです。
今の仕事に就いて2年くらい経った時に、ふと思いつきでHSK6級を受けてみたら、何も対策してなくても300点満点中220点くらいは取れました。なので感覚としてはそのくらいのスコアだったら全然いけますね。
ちなみに私が働いている会社は中国語の資格を何も要求しないので、自主的にHSK6級を取っただけなんですが、仕事で外国語を使うなら、資格は持ってた方がいいですよね。
仕事は華人の友人からのお誘いで!
現在の仕事を始めたきっかけは、華人の友人が起業するので一緒にやらないかと誘われました。この友人は私が留学していた北京の大学の日本語学科の学生だった人で、卒業後お互い日本で就職した頃からの古い友人です。「中国語うまいし、健康そうだから」と言って誘われました(笑)
ちょっと話がそれますが、中国に年単位で留学していた人でも、帰国して時間が経ってちゃんと中国語を使える人って少ないんですよ。その点私は留学から帰った後、中国に関する仕事に就いてこそいませんでしたが、中国のことは愛してましたし、毎日何かしら中国語には触れていたので、そんなに中国語力が落ちることもなかったんですね。
毎日中国語を学習していたというよりは、中国・台湾・香港映画を当時のレンタルビデオ屋のツタヤで棚片っ端から借りて観るとか、中国人の友達や留学時代の韓国人の同級生たちと連絡取ったり、中国畑の友達とカラオケでC-POP縛りで歌ったり。
その他にも仕事で嫌なことがあった時にその悪口の言い方を中国語で考えてみたり、独り言を中国語にしたり(笑)。なので、前職では「みんなに分からない言葉で何か言ってるすごく嫌な奴」だったと思います。でもそれがアウトプットの機会になっていました。
ここでお伝えしたかったのは、今の仕事は友人からの誘いではあるんですが、ちゃんと中国語をキープしていたから巡り合ったツテだと思ってます!
これまで取り組んできた中国語学習
高校の卒業旅行で雲南省に行って以来、独学で勉強していました。(大学を決める時点で中国語に興味がなかったので、英米文学科でした)その後大学4年生の21歳の時に1年間北京に留学しました。
独学時代の学習方法
中国人留学生と話す
結論としてうまくいかなかった学習方法なのですが、、、中国人留学生と仲良くなろうと試みました。
大学の学祭で中国人留学生会の水餃子の出店に突進して、水餃子を買いまくって会長と顔見知りになりました。ですが、みんな日本語がうまい上に、下手な中国語で話しかけてもさらっと流暢な日本語で返されて終わり、あまり相手にされない、というケースが多かったです。
また、当時東京に留学してた人たちはすごく上品で、おそらくお金持ちの子女だったと思うんですよ。これは私の勝手なんですが、私の好きな「中国」はあの超ニイハオトイレのイメージだったので、そこに少し乖離があって、なんとなくポツンと取り残されたような寂しさを感じました。
地域のサークルで中国人の方を紹介してもらう
留学生とはあまりうまくいかなかったので、参加費100円の地域の語学サークルに参加して、日本語がほぼ話せない中国人のおばさんを紹介してもらいました。
彼女は旦那さんの仕事の関係で日本に来た方です。言葉が分からず寂しかったようで、すごく喜んでたくさん中国語で話してくれて、家にご飯を食べに行くくらい仲良くなりました。日本語を教えつつ、中国語もたくさんしゃべる機会になりました。
中国人の友人と電話で話す
週1くらいのペースで、中国の友人に国際電話をかけてしゃべりました。毎回辞書を引きながら台本を用意して、暗記して、一方的にしゃべりました(笑)
でも必死でしゃべっているのが伝わるのか、友人はかなり辛抱強く聞いてくれ、発音矯正までしてくれました。
歌詞やセリフを丸暗記する
台湾の音楽やドラマから、歌詞やセリフで使えそうなものをメモして、移動中やお風呂の中でブツブツ・・・使うシーンを妄想しながら何度も繰り返して、対訳ではなく「こういうシーンではこう言うもの」という方法で覚えました。
なので今でもかなり多くの中国語の歌をそらで歌えますし、私の中国語は「どこかで聞いたことがある文をちょっといじったもの」が大半です。
実際に先述してきたような丸暗記と体当たりで、独学でも半年くらいで簡単な日常会話はできるようになりました。また、独学で3年学習し、北京留学をした時には、留学2年目の人のクラスに入れてもらうことができました。3年間の独学で1年間留学したくらいのレベルですね。
留学中の学習方法
留学中は正直そこにいるだけで中国語のシャワーを浴びられるので、机に向かって勉強するのが苦手な私は特に何をしたということもないんです。ですが、配属されたクラスの関係で、日本人留学生とつるむ機会が少なかったことは良かったかもしれません。
留学中も私は丸暗記法で、見聞きした中国語を文章単位で丸暗記して「この料理はこうやって頼むのか」「値段交渉はこう言うといいのか」など、日常生活のたくさんのシーンを学び、覚えた一文を使う機会を虎視淡々と狙う日々でした。
なぜか分からないんですが、この時期の私は特にアウトプットに関して変なプライドがあって、いかに外人だとバレないかに命かけていました(笑)大半は聞いたことのある文を繋ぎ合わせてしゃべってました。
また、他の留学生が抱える問題に自ら進んで首を突っ込み、「対中国人係」のようなことをやり、いろんなシーンの蓄積をしてました。例えばA君の家の設備が壊れたから業者を呼んであげるとか、Bちゃんの銀行についていってコミュニケーションを手伝うなど。
勉強のためにやってるっていうよりは、見栄っ張りなのでクラスメイトにドヤ顔したいっていう気持ちが大きかったです(笑)
独学時代も留学時代も文法なしで中国語を習得
文法に関しては、独学時代、留学時代、その後も含め自分では一切やりませんでした。今思えば留学中の授業ではやったのかもしれませんが、記憶にないですね。
私はやり方が一文単位の丸暗記なので、「この単語の品詞って何だろう」とあまり考えたことないです。たまにピンと来ない言葉があっても、あまり深掘りしないでピンと来ないまま一旦受け取っておく。すると何かの拍子に別のこととリンクして急に分かったりするんですよ。その瞬間がめちゃくちゃ気持ちいいです。
学習の中で苦労したことと克服方法
私は机に向かって黙々と勉強すると挫折するタイプで、テキストなどは買ったことはあるもののほとんどできませんでした。コミュニケーションが目的の場合、黙々学習で飽きてしまったり、進歩を感じられなくなって嫌になってしまう人は多いんじゃないでしょうか。
なので、私は自分がやりたいことをやりました。外に出て人としゃべったり、音楽を聴いたり、ドラマを観たり。勉強する事や資格を取る事が目的ではなく、私は私の話したい人と話せればそれでよかったので。
語学を勉強だと思ってしまうと、勉強するために話す機会を探す感じになってしまうと思うんですが、あくまで目的は誰かと話すことだと思えば、話すために勉強するっていう逆の関係になると思います。
中国語を話すための環境
すでにだいぶお話ししてしまいましたが、とにかく日本語ペラペラじゃない中国人を探しました。私の大学時代はスマホなかったので、あくまでオフラインで探してましたが、今はHiNativeとかHelloTalkみたいなプラットフォームがあってすごくいいなと思います。
たくさんの人と話すのもいいですが、個人的にはさっき出てきた中国人のおばさんみたいに、特定の人と話し続けるのが安心できてやりやすかったです。回を重ねるごとに話の幅が広がりますしね。
最初に発音を学ぶのがおすすめ
中国語は文法が簡単な代わりに発音が難しくて、これをクリアしないといくら頑張って勉強しても結局通じない、という悲しいことになります。
私は当初ピンインも分からずに聞こえたまま試しに言ってみる、というのを繰り返していたので、本当に全く通じなかったり、なんか発音間違えてうっかり下ネタになっちゃったみたいなこともありました。
あと、自分が発音できないものはイコール音の構造が理解できていない、イコール聞き取れもしないし覚えられもしないので、やっぱり発音をちゃんとやるのが効率がいいと思います。
文法に関してはおそらく世界トップレベルに簡単だと思うので、個人的にはそんなに気合いを入れてやる必要はないと思います。
現在の学習方法
今は中国の取引先の人々が先生ですね。相変わらず黙々と勉強することができないので、いつも頼んでもないのにあれこれ難題をふっかけてきてくれて感謝です。「この表現使える!」と思ったらメモしておいて、あとで必ず使ってみます。
ちなみに私は翻訳や通訳の能力が低いので、今後は日本語に訳す練習をしたいです。
▼私の中国語学習法はこちらの記事も参考にしてみて下さいね。
学習者にむけてメッセージ
学習する上でおすすめしたいこと
みなさんにおすすめしたいのが「理解できない事を深堀りしないこと」と、「深堀りせずに繰り返すこと」。
深堀りが楽しいっていう方はもちろん深掘りしていいと思いますが、「ん?」って思ってしまったら、とりあえずその例文1文だけ覚えて1日1回、2日に1回でもいいです、何日か言ってみてください。ある時、突然わかるようになるタイミングがきます。
繰り返す時のポイント
繰り返すことに関しては、例えば1つのことを1日で覚えようとするより、5つのことを同時進行で5日で覚える方が楽で効率がいいです。アニメの主題歌とかって、別に覚えようとしなくても毎週日曜日の夜に聴いてたら、2〜3ヶ月くらいでフルで歌えるようになるじゃないですか。
1週間に1回しか聴かないのに、2ヶ月繰り返せばあんな長い文章とメロディーを覚えられるんですよね。頻度が低くても繰り返すことで脳に重要な情報だと認識させられるので、とにかく睡眠を挟みながら気長に繰り返すのが無理がなくていいかなと私は経験上思います!
中国語はあくまでもコミュニケーションのツール
ここからはモチベーションの話になりますが、語学を勉強だと思ってしまうと、勉強するためにモチベーションを探す感じになってしまいますよね。でも言葉はただのツールですから、「どう言ったらあの人にうまく伝わるかな」「こんなふうに言ったらあの人喜ぶかな」ってあれこれ考えて、実際に言ってみた時に何が起こるかを楽しんでいけたらいいのかなと思います。
やっぱり相手がいて初めて生きるツールですから、語学に限っては一人で黙々と勉強するには限界があるんですよね。だから勉強するためにがんばろうって思わずに、どんどん使ってインタラクションを楽しんだらいいと思います。
試験を見据えてテキスト開いて頑張るにしても、「この構文を使って何を伝えようかな」って考えると楽しくないですか?さらに、エアで、相手がそこにいるていで口に出してみたり。相手の返しも想像して、さらに返してみたり。その積み重ねはきっとずっと残りますよ。
迷わず、挫折せずに中国語を学びたいという方は、自分にあった学習方法をプロの中国語学習コーチに相談することがとても有効です。無料カウンセリングを実施していますので、ぜひ一度相談してみてください。
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無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。
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伊地知
超ニイハオトイレがきっかけで中国語への興味が爆発するとは・・・おもしろいですね(笑)