中華料理の読み方!メニュー名から調理法や材料が分かる!

これは何の料理?中国の食堂メニューを一緒に読み解こう!
ニャース

中国の街中の食堂(あるいは日本のガチ中華など)に入ると、中華料理のメニューがどんな料理を指すのか分からずに困ってしまうことがあると思います。

そこで今回の記事では中国の「江蘇省無錫市」にある2軒の食堂のメニューを手がかりに、メニューの解説とともに、調理法についても触れていきます。

中国の一般家庭料理の食堂メニュー①

中国の一般家庭料理の食堂のメニュー

一枚目のメニューは、一般の家庭料理の食堂のメニューです。料理がたくさん並んでおり、少し目まぐるしく感じるかもしれません。

一番上にある「人气菜品」「素菜」「汤羹点心」はカテゴリーを示していて、以下のような意味です。

  • 人气菜品(rén qì cài pǐn/レンチーツァイピン)人気のある料理
  • 素菜(sù cài/スーツァイ)野菜の料理
  • 汤羹点心( tānɡ ɡēnɡ diǎn xīn/タンゴンディェンシン) スープ(汤)+とろりとしたスープ(羹)+スナック(点心)

「人气菜品」は日本で言う「おすすめ料理」に近い言い方です。ほかに「招牌菜(zhāo pái cài/ジャオパイツァイ)=看板メニュー」という言い方もあります。

そして「素菜」は「素」が「野菜」という意味なので、「野菜の料理」の意味。反対語は「荤菜(hūn cài/フンツァイ)」(荤=肉+菜=料理)=肉の料理です。

余談ですが、なぜ「素菜」のカテゴリーはメニューにあるのに「荤菜」はないのか?地元民の私にもよくわかりません…

家庭料理ということもあり、メニューの中の料理はどれもよく食べられているものなので、どれを紹介しようか迷います。悩んだ末に私がよく食べるものの中からいくつかピックアップして、紹介します。

まずは「人气菜品(人気のある料理)」から。

毛血旺

毛血旺

「毛血旺(máo xuè wànɡ/マオシュエワン)」は四川料理で、「麻婆豆腐」と同じぐらい人気があります。

「毛血旺」の「毛」は「毛肚(máo dǔ/マオドゥー)」から縮められた語で、動物の胃袋という意味です。「血旺」は血豆腐という意味で、動物の血を固めたものです。なので、「毛血旺」は「動物の胃と血の料理」なのが分かりますね。

初めて見た時は「怖い!食べたくない!」と思いましたし、動物の胃と血が使われていると聞くと、なんだか食べるのを躊躇してしまいそうですが、辛い料理が好きな人にはぜひおすすめしたい一品です。

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辞書では「毛血旺」の発音は「máo xuè wànɡ」ですが、実際には「máo xuě wànɡ」と発音される事が多いです。誤読ですが、かなり広がっているようです。

水煮牛肉

水煮牛肉

水煮牛肉(shuǐ zhǔ niú ròu/シュイジューニウロウ)を分解してみると

水=水
煮=煮る、茹でる
牛肉=牛肉

「水で煮る牛肉」と読めるので、この料理は「牛肉の水煮」という、あっさりとした味の料理を想像されるかと思います。

ですがいざ頼んでみたら、「この真っ赤な見た目はなんだ!?」と思う方もいるでしょう!なんと「水煮牛肉」も四川料理なんです。四川料理というと、あの真っ赤な見た目と、舌がしびれるような辛さが特徴的ですよね。

写真からも分かるように、「ワタシハ、カライゾ!」とアピールしているかのように、「水煮牛肉」はしっかり真っ赤な見た目をしていて、見ただけで辛い料理だとわかります。

別に「牛肉の水煮」という解読が間違っていたわけではなく、同じ「水煮」でも四川の「水煮」と、他の省の「水煮」は違うんですね。

雪花鸡柳

雪花鸡柳

雪花鸡柳(xuě huā jī liǔ/シュエホア ジーリウ)を分解してみると

雪花=雪花(パン粉で揚げたもの)
鸡柳=鶏肉をスティック状に切ったもの

「雪花鸡柳(xuě huā jī liǔ)」はチキンスティックの唐揚げです。揚げ物なので「炸鸡柳( zhá jī liǔ)」とも言いますが、揚げたパン粉の衣が「雪花(雪の結晶)」のように見えることから、「雪花鸡柳」と名づけられたのだといいます。

油焖茄子

油焖茄子(yóu mèn qié zǐ/ヨウメンチエズ)を分解してみると

油=油
焖=きっちりと蓋をしてとろ火で煮込むこと
茄子=ナス

見て字のごとく「油焖茄子」とは、油でナスを「焖」という調理法で調理した料理なのがわかりますね。

「焖」とはきっちりと蓋をして、とろ火で煮込む調理法のことです。ちなみに「とろ火」は中国語では「微火(wēi huǒ/ウェイフオ)」と言い、ほかに火加減の強火/中火/弱火はそれぞれ次のように言います。

  • 強火:大火(dà huǒ/ダーフオ)
  • 中火:中火(zhōnɡ huǒ/ジョンフオ)
  • 弱火:小火(xiǎo huǒ/シァオフオ)
ニャース

電子レンジの火加減では「強火」は「高火(ɡāo huǒ/ガオフオ)」とも言います。

余談ですが「焖」のピンインを「mēn」だとずっと思っていましたが、辞書では「mèn」のようです。調理法の「焖」を正しい読みの「mèn」で読まれているのを聞いたことがないので、こちらも誤読が定着してしまった言葉のようです。

鱼香茄子

「鱼香茄子(yú xiānɡ qié zi/ユーシァン チエズ)」と聞くとあまり馴染みがないと思いますが、ユーシャンロースこと、「鱼香肉丝( yú xiānɡ ròu sī/ユーシァン ロウスー)」なら聞いたことがあるかもしれません。

そう、「鱼香茄子」は「鱼香肉丝」の仲間で、味と作り方がとても似ている料理なんです。

分解してみると

鱼=魚
香=香り
茄子=ナス

魚の香りがするナスの料理を表します。「魚」の字が入っているものの、魚は一切使われていません。「鱼香茄子」は「魚の香りがするナス」とあくまでナスなので、魚が入っていなくて当然といえば当然かもしれません。そして「鱼香肉丝」が何かというと、「魚の香りがする豚肉の細切り」なのが推測できますね。

百度百科(ウィキペディアの中国版)によると、「鱼香茄子」と「鱼香肉丝」はともに代表的な四川料理で、魚は使用せず、揚げたナス/豚肉に豆板醤や唐辛子等と一緒に炒めて作るのだそうです。

酸辣土豆丝

酸辣土豆丝(suān là tǔ dòu sī/スァンラートゥードウスー)を分解してみると

酸=酸っぱい
辣=辛い
土豆=ジャガイモ
丝=細切り

「酸辣土豆丝」はジャガイモの細切りにお酢と唐辛子を入れて炒めた料理です。家庭料理の中でもトップクラスの人気があり、食べたことがない中国人は恐らくいないと言っても良いかと思います。

ちなみに、「鱼香肉丝」のところでも一度翻訳がありましたが、「丝」とは「細切り」のことです。他に

  • 片(piàn/ピェン)薄切り・スライス
  • 块(kuài/クァイ)乱切り・塊状のもの
  • 丸子(wán zi/ワンズ)団子

なども料理でよく使うので覚えておくと便利です。

番茄炒蛋

番茄炒蛋(fān qié chǎo dàn/ファンチエ チャオダン)を分解してみると

番茄=トマト
炒=炒める
蛋=卵

「番茄炒蛋」は「番茄炒鸡蛋」とも呼ばれ、「酸辣土豆丝」と肩を並べるほど人気のある料理で、週に一度ぐらいは食べるイメージです。「番茄」は「西红柿( xī hónɡ shì/シーホンシー)」とも言うので、「西红柿炒(鸡)蛋」という別名もあります。

ちなみに「番茄炒蛋」を中国語の語順に訳すと「トマトで卵を炒めたもの」になりますが、「卵でトマトを炒めたもの=蛋炒番茄」ではダメなのか疑問に思ったことがあります。(どうやら、ダメらしいです…)

手撕包菜

手撕包菜( shǒu sī bāo cài/ショウスー バオツァイ)を分解すると

手=手
撕=ちぎる
包菜=キャベツ

「手でちぎるキャベツ」という意味です。食べやすい大きさにちぎったキャベツに片栗粉・酢・醤油・料理酒を入れ馴染ませておき、お酢と塩を入れた油に豚バラと一緒にささっと炒めたら完成です。香ばしくてちょっぴり辛い「手撕包菜」は、ほのかな酸味がアクセントになって、美味しいのはもちろん、ご飯との相性も抜群です。

中国の一般家庭料理の食堂のメニュー②

二軒目のメニューがこちらです。

中国の一般家庭料理の食堂のメニュー

カテゴリーを示す「炒菜」「另加配菜」「羹汤」「小吃」「白酒」「黄酒」「啤酒」「主食」はそれぞれ以下の意味です。

  • 炒菜(chǎo cài/チャオツァイ)=炒め物
  • 另加配菜(lìnɡ jiā pèi cài/リンジア ペイツァイ)=追加で頼むおかずや具材
  • 羹汤(ɡēnɡ tānɡ/ゴンタン)=スープ(羹=とろりとしたスープ 汤=スープ)
  • 小吃(xiǎo chī/シァオチー)=手軽な料理や副菜
  • 白酒(bái jiǔ/バイジウ)=白酒・パイチュウ
  • 黄酒(huánɡ jiǔ/ホァンジウ)=紹興酒
  • 啤酒(pí jiǔ/ピージウ)=ビール
  • 主食(zhǔ shí/ジューシー)=ご飯・麺類などの主食

まずは「炒菜」から紹介します。

孜然羊肉

孜然羊肉

孜然羊肉(zī rán yánɡ ròu/ズーラン ヤンロウ)を分解してみると

孜然=クミン
羊肉=羊肉

「孜然」というのは「クミン」のことで、つまり、「クミン入り羊肉」の料理です。中国で羊料理と言えばこれで、新疆料理の代表格でもあります。

作り方は羊肉にクミン、唐辛子、塩などを入れ、玉ねぎ、パクチー等と炒め合わせたら完成です。

香酥辣子鸡

香酥辣子鸡

香酥辣子鸡(xiānɡ sū là zǐ jī/シァンスー ラーズジー)を分解してみると

香酥=香ばしくてクリスピーな
辣=辛い
子鸡=丸鶏

揚げ物なので、「香ばしくてクリスピーな、辛い丸鶏の唐揚げ」という料理です。ケンタッキーのポップコーンチキンを辛く作ったものを想像するとイメージがつきやすいかもしれません。

作り方は鶏肉を食べやすい一口サイズにして衣をつけ揚げた後、唐辛子と香辛料等と一緒に炒めて出来上がりです。

糖醋里脊

糖醋里脊

糖醋里脊(tánɡ cù lǐ jǐ/タンツー リージー)を分解してみると

糖醋=砂糖とお酢を使った調理法。甘酢あんかけ
里脊=豚のヒレ肉

「糖醋里脊」は日本語に直すと「豚ヒレ肉の甘酢あんかけ」で、豚ヒレ肉を「糖(砂糖)」と「醋(お酢)」で味付けした料理です。

ニャース

「里脊」の発音は辞書では「lǐ jǐ」ですが、実際は「lǐ jí」と読まれることが多いです。

「糖醋里脊」のほかに「糖醋鱼(tánɡ cù yú/タンツーユー)」や「糖醋排骨(tánɡ cù pái ɡǔ/タンツーパイグー)」もあります。

  • 糖醋鱼=魚の甘酢あんかけ
  • 糖醋排骨=豚スペアリブの甘酢あんかけ

ちなみに日本でもよく食べられている「酢豚」も“糖醋”料理の仲間で、中国語では「糖醋肉」あるいは「咕咾肉(ɡū lǎo ròu/グーラオロウ)」と呼ばれています。

铁板日本豆腐

铁板日本豆腐

铁板日本豆腐(tiě bǎn rì běn dòu fu/ティエバン リーベン ドウフ)を見ると「日本豆腐って何?」と気になりますよね。

日本豆腐と言えば木綿豆腐や絹ごし豆腐がまず思い浮かぶと思いますが、中国で食べられている「日本豆腐」は出汁と卵を混ぜ合わせて蒸し固めた玉子豆腐のことです。

なぜ中国での日本豆腐は玉子豆腐なのかは私にもよく分かりませんが、中国で日本豆腐と言えばみんな揃って「黄色いつやっとした棒状の玉子豆腐」を思い浮かべるようです。

天津飯や杏仁豆腐は中国ではあまり食べられていないどころか、その存在を知っている人もあまり多くないにもかかわらず、日本では中華料理といえば「天津飯」と「杏仁豆腐」の名が上がるほど、天津飯と杏仁豆腐が有名なのと似た何かを感じました。

小酥肉

小酥肉

小酥肉(xiǎo sū ròu/シァオスーロウ)を分解してみると

小=小さい
酥=クリスピーな
肉=肉(ここでは、豚肉)

つまり小さくてクリスピーな豚肉料理ですね。「酥(クリスピー)」ということで、これも揚げ物です。おつまみに食べても、火鍋の素材に鍋に入れても美味しい、大人気の料理です。

作り方は豚肉をみじん切りにしてから卵、片栗粉、塩、砂糖等と混ぜて漬けこみ、油を入れて金色に揚げ、皿に盛り付けた後、花椒パウダーとネギをかけたら完成です。

红糖糍粑

红糖糍粑

红糖糍粑(hónɡ tánɡ cí ba/ホンタンツーバ)を分解してみると

红糖=赤砂糖・黒砂糖
糍粑=餅

「红糖糍粑」とは揚げ餅に赤砂糖のシロップときな粉をかけたスイーツです。「红糖」は「赤砂糖」、「糍粑」は「餅」のことです。

中国では赤砂糖がよく料理に使われ、「红糖糍粑」のほかに「红糖馒头(hónɡ tánɡ mán tou/ホンタン マントウ)=赤砂糖入り饅頭」や「红糖糯米饭(hónɡ tánɡ nuò mǐ fàn/ホンタン ヌオミーファン)=赤砂糖・ナツメ入りのもち米の炊き込みご飯」などもよく見られます。

ニャース

今回は実際に中国にある食堂のメニューを一緒に読み解いてみました。

中国のお店のメニューは漢字だらけで、ある程度予備知識がないと読むのがなかなか難しいと思います。今回一緒に読み解いた経験を活かして、今度中国の食堂のメニューに出会ったら是非読み解いてみてください!


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ABOUT US
ニャース
日本語・韓国語を独学で学んだ中国語ネイティブ。語学が大好きで、某語学学習アプリ制作会社で教材開発に一年半ほど携わった後、日本で留学をするために退職。趣味は翻訳、ゲーム、将棋など。「好きなことで生き、好きなことをやって人の役に立つ」がモットー。ライターとしても、学習者の役に立つことを強く意識して執筆、活躍中。