中国語には、日本語の「単位」のような存在である「量詞(りょうし)」というものがあります。
中国語を勉強していて、この「量詞」という壁にぶつかっている方も多いのではないでしょうか?私もその一人でした、覚えることが多くてくじけそうになっていました^^;
実は量詞は中国人の独特のイメージでもあるので、イメージでとらえてしまうのもおすすめの方法です。ネイティブである中国人でも「量詞」は本当にたくさんあって全部は覚えきれないと言っています。私たちも日本語のすべての単位を把握しているわけではないのと同じですね。
今回はよく使う量詞をピックアップはもちろん、中国人のもののとらえ方もイメージしてもらえるように、最後には「量詞から見える中国人から見た世界」をご用意しております。是非最後まで読んでみてください!量詞が身近に感じること間違いなしです♪
量詞とは何か〜日本語の助数詞・単位〜
量詞とは、モノを数える時の単位のことです。日本語でも「~本」、「~個」、「~枚」などがありますよね。私たちが普段自然に使っているこうした表現は「助数詞・単位」と言います。そし、中国語ではこれを「量詞」と呼んでいます。
[例文]
「三冊の本」と言いたいときは、以下のように「数詞+量詞+名詞」の順に中国語を組み立てます。
Sān | běn | shū |
三 | 本 | 书 |
数詞 | 量詞 | 名詞 |
中国語の量詞の種類
量詞は5つのカテゴリーに分かれています。順番に見ていきましょう。
メインで使われる「個体量詞」
一番良く使われる量詞で、1つ1つ数えられるものが対象になります。
例えば「本(běn)」、「张(zhāng)」、「匹(pǐ)」、「个(ge)」などです。
下にいくつか例文を挙げてみます。
一本书 | yì běn shū | 一冊の本 |
两张纸 | liǎng zhāng zhǐ | 二枚の紙 |
三匹马 | sān pǐ mǎ | 三匹の馬 |
四个苹果 | sì ge píngguǒ | 四つのリンゴ |
【ポイント】
日本語では「一冊の本」というように間に「の」が入るので、中国語の「の」に相当する「的」を入れたくなりますが、「一本的书」とは言えないので注意が必要です。数詞+量詞+名詞の構文そのままで使うようにしましょう!
複数をまとめる「集合量詞」
複数のものをまとめて数える時に使います。日本語でいうところの「セット」や「ペア」が近いです。
よく使うものに「套(tào)」、「双(shuāng)」などがあります。
[例文]
一套西服 | yí tào xīfú | スーツ1セット |
三双袜子 | sān shuāng wàzi | 三足の靴下 |
【ポイント】
「套(tào)」はまさに「セット」という意味があるので、例えばですが、ファーストフードのセットメニューや定食などは「套餐(tào cān )」なんて言います。「双(shuāng)」はその漢字からも想像がつくかもしれませんが、2つがセットで1つになるものに使います。なので、靴、靴下、お箸などに使います。
いくつかの数を示す「不定量詞」
「ほんの」や「少しの」など不定量を表す量詞を不定量詞といいます。不定量詞には「点儿(diănr)」や「些(xiē)」などがあります。
[例文]
一点儿水 | yì diǎnr shuǐ | 少しの水 |
一些人 | yì xiē rén | 若干の人 |
長さや面積を表す「度量詞」
長さや面積、重さや容積の単位として使われるもので、日本語の「グラム」や「メートル」などにあたります。「斤(jīn)」、「米(mǐ)」などがあります。
[例文]
一斤肉 | yì jīn ròu | 500gの肉 |
三米布 | sān mǐ bù | 三メートルの布 |
【ポイント】
「斤(jīn)」は500gを表します。「公斤(gōngjīn)」とすれば1kgですが、市場の果物や肉を量る時の重さや体重の重さなど、良く使われるのは「斤(jīn)」です。100斤と言うと50kgになるので注意が必要です。
体の一部や容器などを借りた「借用量詞」
個体として量れないもの、容器を表す名詞や関連動作を表す動詞が対象となります。例えば「撮(cuō)」、「杯(bēi)」、「瓶(píng)」などがあります。
一撮盐 | yì cuō yán | 一つまみの塩 |
两杯茶 | liǎng bēi chá | 二杯のお茶 |
三瓶酒 | sān píng jiǔ | 三本のお酒 |
名量詞と動量詞
量詞の分け方としてもうひとつ、大きく「名量詞」と「動量詞」の2つに分けることができます。
何が違うかというとその名の通り、名詞と組み合わさるケースもあれば、動詞と組み合わさるケースもあるということになります。早速見ていきましょう!
名量詞
名詞の前に置いて物事の数量を表します。一つ前の章「中国語の量詞の種類」で紹介した「個体量詞」、「集合量詞」、「不定量詞」、「度量詞」、「借用量詞」はすべて名量詞となります。
[例文]
一本书 | yì běn shū | 一冊の本 |
☝️押さえておこう:数詞+量詞+名詞
動量詞
動詞の後に置いて、その動作行為の数量を表します。
[例文]
去过一次 /一回 | qùguo yícì/ yì huí | 一度行ったことがある |
看过一遍 | kànguo yí biàn | 一通り見たことがある |
☝️押さえておこう:動詞+数詞+量詞
小休憩
今まで見てきた量詞の種類をまとめると下記のようになります。
【量詞の種類】
名量詞 : 名詞の前に置いて物事の数量を表す。
- 個体量詞 : 一番良く使われる量詞、1つ1つ数えられるもの
- 集合量詞 : 複数のものをまとめて数える。日本語のセット
- 不定量詞 : 「ほんの」や「少しの」など不定量を表す
- 度量詞 : 長さや面積、重さや容積の単位として使われる
- 借用量詞 : 個体としてはかれないもの、容器を表す
動量詞 : 動詞の後に置いて動作行為の数量を表す。
よく使う量詞35
No,1
【量詞】个 ge
【意味】~個
【対象】物、人、果物、問題など
【用例】一个房间yí ge fángjiān 一部屋
No,2
【量詞】本 běn
【意味】~冊、~つ
【対象】本、雑誌、小説など
【用例】三本杂志 sān běn zázhì 三冊の雑誌
No,3
【量詞】张 zhāng
【意味】~枚、~つ
【対象】きっぷ、入場券、紙
平たく広い面をもっているもの。
【用例】两张票 liǎng zhāng piào 二枚のチケット
No,4
【量詞】匹 pǐ
【意味】~匹
【対象】ロバや馬やラクダなど
【用例】三匹马 sān pǐ mǎ 三匹の馬
No,5
【量詞】只 zhī
【意味】~羽、~匹
【対象】猫、犬、鳥。比較的小さめな動物や昆虫など
【用例】一只狗 yì zhī gǒu 一匹の犬
No,6
【量詞】把 bǎ
【意味】~つ、~本
【対象】傘、椅子、包丁。取っ手のあるもの
【用例】一把雨伞 yì bǎ yǔsǎn 一本の傘
No,7
【量詞】条 tiáo
【意味】~本、~つ
【対象】道、川、ズボン、スカート、ネクタイ。細長いもの
【用例】一条裤子 yì tiáo kùzi 一本のズボン
No,8
【量詞】部 bù
【意味】~本、~つ
【対象】映画
【用例】一部电影 yí bù diànyǐng 一本の映画
No,9
【量詞】件 jiàn
【意味】~着、~枚、~つ
【対象】洋服、セーター、事柄
【用例】两件衣服 liǎng jiàn yīfu 二枚の服
No,10
【量詞】辆 liàng
【意味】~台
【対象】車、自転車、バス、タクシー
【用例】三辆自行车 sān liàng zìxíngchē 三台の自転車
No,11
【量詞】片 piàn
【意味】~枚、~つ
【対象】パン、肉、薬。薄く切られたもの、平らな形状しているもの
【用例】三片肉 sān piàn ròu 三枚の(薄く切られた)肉
No,12
【量詞】座 zuò
【意味】~つ
【対象】山、ビル、橋、銅像。大きく固定されているもの
【用例】两座山 liǎng zuò shān 二つの山
No,13
【量詞】套 tào
【意味】~つ、~セット
【対象】家具、スーツ、茶器、セット料理。組になっているもの、セット
【用例】两套茶具 liǎng tào chá jù 二セットの茶器
No,14
【量詞】双 shuāng
【意味】~セット
【対象】手、足、靴、靴下、箸。二つで一セットのもの
【用例】两双鞋 liǎng shuāng xié 二足の靴
No,15
【量詞】群 qún
【意味】~群れ
【対象】人や動物が群れを成している
【用例】一群羊 yì qún yáng 一群れの羊
No,16
【量詞】杯 bēi
【意味】~杯
【対象】コーヒー、紅茶、コップに入った状態
【用例】两杯茶 liǎng bēi chá 二杯のお茶
No,17
【量詞】壶 hú
【意味】~本、~つぼ
【対象】コーヒー、紅茶、ポットや急須に入った状態
【用例】两壶茶 liǎng hú chá 急須二杯のお茶
No,18
【量詞】瓶 píng
【意味】~本
【対象】ビールや薬など瓶で数えるもの
【用例】三瓶酒 sān píng jiǔ 三本のお酒
No,19
【量詞】碗 wǎn
【意味】~杯
【対象】ご飯やお茶など、お椀で数えるもの
【用例】三碗饭 sān wǎn fàn 三杯のごはん
No,20
【量詞】顿 dùn
【意味】~回
【対象】食事、朝ごはん、夜ご飯など
【用例】三顿饭 sān dùn fàn 三回の食事
No,21
【量詞】份 fèn
【意味】~式、組、セット
【対象】食事、軽食、お菓子、書類
【用例】三份文件 sān fèn wénjiàn 三セットの書類
No,22
【量詞】粒 lì
【意味】~粒
【対象】種、薬など
【用例】三粒种子 sān lì zhǒngzi 三粒の種
※「粒 lì」は比較的小さいもの「一粒米(yí lì mǐ)一粒のお米」などに使われます。日本語では同じ「ひとつぶ」でも、比較的大きいものに対しては「颗kē」が使われます。例えば、ブドウであれば「一颗葡萄(yì kē pútao)ブドウ一粒」。
No,23
【量詞】枝 zhī
【意味】~本、~つ
【対象】ペン、鉛筆、タバコ。細い棒状のもの
【用例】三枝铅笔 sān zhī qiānbǐ 三本の鉛筆
No,24
【量詞】封 fēng
【意味】~通
【対象】手紙、メール
【用例】三封信 sān fēng xìn 三通の手紙
No,25
【量詞】台 tái
【意味】~台
【対象】パソコン
【用例】三台电脑 sān tái diànnǎo 三台のパソコン
No,26
【量詞】架 jià
【意味】~機、~台
【対象】飛行機、ピアノ、カメラなど
【用例】三架飞机 sān jià fēijī 三機の飛行機
No,27
【量詞】棵 kē
【意味】~本、~個
【対象】木、野菜、穀物、植物など
【用例】三棵树 sān kē shù 三本の木
No,28
【量詞】场 cháng ※声調2
【意味】~回
【対象】雨や雪、災害、病気、戦争など
【用例】三场雪 sān cháng xuě 三回の雪
No,29
【量詞】场 chǎng ※声調3
【意味】~回
【対象】映画や試合など
【用例】三场比赛 sān chǎng bǐsài 三回の試合
No,30
【量詞】所 suǒ
【意味】~軒、~つ
【対象】家や学校や病院など
【用例】三所学校 sān suǒ xuéxiào 三つの学校
No,31
【量詞】家 jiā
【意味】~軒
【対象】商店や工場など
【用例】三家商店 sān jiā shāngdiàn 三軒の店
No,32
【量詞】间 jiān
【意味】~部屋
【対象】部屋
【用例】三间卧室 sān jiān wòshì 三つの寝室
No,33
【量詞】层céng
【意味】~階
【対象】建物の階数
【用例】五层 wǔ céng 五階
No,34
【量詞】位 wèi
【意味】~名様
【対象】お客様や目上の人に対して使用
【用例】三位客人 sān wèi kèrén 三名様
No,35
【量詞】首 shǒu
【意味】~曲
【対象】歌
【用例】三首歌 sān shǒu gē 三曲の歌
小休憩
「个(ge)」は万能??
「个(ge)」で大抵のものはいいのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれません。中国人の中でも無意識に量詞の使いわけが煩わしいと感じて「个 ge」で表現しているケースもあり、方言やその人にもよるところもあります。中国人の中でも曖昧な部分なんですね。
とはいえ、昔から使われてきた量詞のイメージや、長さや重さ体積は「个(ge)」では表現できず、すべてを「个(ge)」で統一するのは難しいようです。例えば「一条路(yì tiáo lù)」=「一本の道」は細長い道という描写が込められていますが、「一个路(yì ge lù)」=「一つの道」ではそれが描写できないためか、あまり使われません。
このように、量詞には描写(イメージ)が含まれているというのが「个(ge)」で統一できない理由なのかもしれません。
量詞を使った文の作り方
ここまでで、何を数えるかによって単位が変わるという事を理解いただけたかと思います。
続いて、文章の中でどのように量詞を使っていくのか見ていきましょう。
基本的な使い方
以下の例の通り、述語の後ろに量詞をもってくるというのが基本的な使い方です。
[例文]
wǒ mǎi yì shuāng xié.
我买一双鞋。
主語+述語+数詞+量詞+名詞
私は靴を一足買います。
指示代詞(この・その・あの)をつける場合
指示代詞(この・その・あの)をつける場合、数詞の直前につけます。
[例文]
wǒ mǎile zhè sān běn shū.
我买了这三本书。
主語+述語+指示代詞+数詞+量詞+名詞
私はこれらの三冊の本を買いました。
一が省略される
そのものが具体的なもので、個別性があるときは省略が可能になります。特定しているという事を考えると英語で言う冠詞の「the」のようなイメージを持つとわかりやすいかもしれません。
学校であればなんでも良くて「一つの学校」と言うのではなく、どれでも良いわけではなく、あくまでも特定のその学校を指している、と言うのが以下の例文です。
[例文]
gōngyuán hòumiàn yǒu (yī)ge xuéxiào.
公园后面有(一)个学校。
公園の後ろに学校があります。
量詞のその他の役割
中国人は量詞が結構好きです。数の単位を表すだけでなくニュアンスを伝える役割として使うケースがあります。続いて量詞のその他の役割をご紹介します。
「ちょっと~しよう」~”打个电话”の”个”って何?~
例えば「打电话(dǎ diànhuà)」と「打个电话(dǎ ge diànhuà)」はどちらも「電話をかける」という意味になりますが、「打电话」は「電話をかける」というそのままの意味になるのに対し、「打个电话」は、「ちょっと電話かけよう」、「ひとつ電話でもをかけよう」という気軽な印象で相手に伝わります。意味は同じですが伝わる印象が異なりますね。
そのほか下記のような表現も、日常会話や中国ドラマでも良くでてきますよ。是非探してみてください^^
[例文]
wǒmen yì qǐ chī ge fàn ba.
我们一起吃个饭吧。
ちょっと一緒に食事をしましょう。
[例文]
zánmen liáo ge tiānr ba.
咱们聊个天儿吧。
少しおしゃべりでもしましょう。
「カテゴライズ」の意味もある
カテゴライズする時にもこの「一+量詞」を使うようで、以下のような使われ方をすることがあります。日本語で「一回の」と訳してしまうと違和感がありますね。
[例文]
Zhè shì yí cì zì yóu fēi xíng rèn wù bú huì zào fǎng guó jì kōng jiān zhàn.
这是一次“自由飞行”任务,不会造访国际空间站。
これは自由飛行というもの(そういうカテゴリーのもの)であり、国際宇宙ステーションには立ち寄らない。
量詞から見える「中国人から見た世界」
私たち日本人は、どの名詞にどの量詞が付くのかを気にしがちですが、そこには中国人の独特な考え方がありますので、形状やイメージで覚えてしまうのがおすすめですよ。いくつか例を挙げてみますので、見てみましょう♪
椅子と傘は同じ単位?!
椅子と傘は全く別のものですが、両方とも「取っ手があり、手でつかむ部分がある」ので「把(bǎ)」を使います。一握りのイメージですね。同じ椅子でも、背もたれがある椅子はその背もたれを掴むイメージから「把(bǎ)」ですが、背もたれがないスツールは「把(bǎ)」を使いません。また、細長いベンチであれば「条(tiáo)」を使います。包丁=「菜刀(càidāo)」も取っ手があるので「把(bǎ)」を使うのもイメージしやすいと思います。
ネクタイもキュウリも道も同じ単位?!
続いて、「条(tiáo)」は「細長いもの」を対象にするので、ネクタイ=「领带(lǐng dài)」もキュウリ=「黄瓜(huáng guā)」も道=「路(lù)」も同じ量詞を使います。ここまで違うものが同じ単位なのであれば…「細長いもの」には「条(tiáo)」を使う!と覚えてしまうのがシンプルかもしれませんね。
顔と床も同じ単位?!
他にもテーブル=「桌子(zhuōzi)」、ベッド=「床(chuáng)」、顔=「脸(liǎn)」は「张(zhāng)」を使いますよ。「平らく広い面をもっているもの」に該当するためです。顔も該当するのが日本人の感覚からすると驚きの発想で面白いなと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は量詞についてまとめてみました。量が多くて難しく感じる方もいるかもしれませんが、ポイントは「量詞がもっている描写(イメージ)」を覚えることです。きっと「中国人から見た世界」が徐々に見えてくると面白くなってきますよ!
よく使うものも限られていますので、少しずつ覚えていけば大丈夫です。基本の量詞を覚えて、新たに出てくる量詞のイメージで異文化を感じながら楽しく覚えていきましょう~♪
みなさんの中国語の勉強がスムーズにいくことを願ってます☆
最後までありがとうございました~^^
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無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。
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無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。