中国語の勉強をし始めると、検定試験に興味がでてくる方もいるかと思います。中国語の検定試験はいくつか種類があるので、どれを受けた方がいいのか、わからないですよね。
この記事では
- 中国語の検定試験にはどんな種類があるの?
- 初心者が受けるべき資格試験はどれ?
- 中検とHSKを徹底比較!
- 中検とHSKの問題、具体的な違いは何?
- 中国語初心者が目指すべき級は?
- 就職で有利になるのは何級から?
について紹介しています。
中国語の検定試験にはどんな種類があるの?
中国語の勉強をしていると気になるのが検定試験ですが、中国語の検定試験にはどんな種類があるのでしょうか?ここではまず、日本で受験可能な6つの試験を紹介します。
中国語検定試験
民間の中国語検定として最も長い歴史と実績を誇る試験です。
漢字文化圏に暮らす日本人は、中国語の漢字や漢語の理解に初めからアドバンテージがあるので、これを十分に考慮し、正確に日本人の中国語能力を判定しようとするのが中検の最大の特徴です。
試験は上級にいくほど読解能力を重んじるスタイルで、以下の通り日本語と中国語の相互翻訳能力が問われます。
「読む」「聞く」「話す」「書く」の四技能は,いずれも「訳す」能力を必要とするのです。「中検」は,学習者の外国語能力をより正確に測るため,特にこの「訳す」能力を重視し,それを測ることに力を入れています。
中検公式Webサイトより引用
また、準1級と1級の一次試験合格者には、二次試験で口頭試験も課されます。
広く「中検」と呼ばれているのがこの試験ですね!
中検公式サイト:http://www.chuken.gr.jp/
HSK (漢語水平考試)
中国政府公認の中国語能力検定試験です。
世界で最も認知されている中国語試験で、受験者数も世界最多です。
日本でもここ数年で受験者数を着実に伸ばしており、最新情報では年間の受験者数は30,000人を超えているなど、その存在感を増しつつあります。
試験は中国語のコミュニケーションによる運用能力を重視しており、問題はすべて中国語で書かれています。
「世界共通の検定」なので、問題文や選択肢、リスニングの質問などは全て中国語で出題されます。初級の段階から「中国語でのコミュニケーション能力」が問われる検定と言えるでしょう。HSKにチャレンジすることで、自然とネイティブに通じる実用的な中国語力が身につきます。
HSK紙試験公式Webサイトより引用
以前は1級から11級までありましたが、CEFR(欧州共通言語枠)の世界標準規格に準拠し、近年1級~6級へと改編されました。
紙の問題用紙での受験以外に、パソコンを使用して回答するネット試験もあります。
ヨーロッパで開発された言語の共通指標。言語レベルを初級(A1・A2)、中級(B1・B2)、上級(C1・C2)の6階級で判定します。例えば「私のフランス語レベルはB2で、中国語レベルはC1です」などと、他の言語検定と正当に比較することができます。
HSKネット試験について詳細を知りたい方はこちらをご覧ください!
HSK紙試験公式サイト:http://www.hskj.jp/
HSKネット試験公式サイト:https://www.hskibt.jp/
TECC(中国語コミュニケーション能力検定)
中国語のコミュニケーション能力を測る検定試験です。
中検やHSKと違い、受験者全員が同じ問題を解き、そのスコアに応じてレベルを判定します。
ちょうど英語のTOEICのようなスタイルですね。
TECCはHSKよりもさらに生活に根差した具体的で実践的な問題が多いのが特徴です。
テスト分析の世界基準となりつつある「項目応答理論」に基づいた統計処理で、採点を正確に算出しています。
試験後に送付される成績分析が非常に緻密で、自分が受験者の中でどのあたりのレベルなのかを正確に知ることができます。
TECC公式サイト:http://www.tecc.jpn.com/
TOCFL(華語文能力測験)
台湾の公式中国語(台湾華語)検定試験です。
最近人気が高まっている「台湾華語」は、ごく一部の語彙や表現を除いて実質的には大陸の標準語である「普通話」とほとんど変わりありません。
近年、中国語の能力を証明する新しい指標として認知度も高まってきています。
出題内容は日常生活の場面を想定したもので、実生活に近い内容となっています。
本検定試験の目的は台湾華語学習者の日常生活における言語使用能力を測ることにあり、特定の教材に基づいての出題は行っていません。試験内容は様々な日常生活の場面を想定して出題されて、題材は実生活に近く、そして多元的です。
TOCFL公式Webサイトより引用
特徴として上級の問題の難度が高く、HSKよりCEFR(欧州共通言語枠)の規格に準拠しているとされています。
問題は繁体字を使用していますが、記述問題はなくすべてマークシートでの解答です。
TOCFL公式サイト:http://tocfl.tecc.jpn.com/
C.TEST(実用中国語レベル認定試験)
北京語言大学が実施する中国語試験で、筆記試験と会話試験の2種類があります。
現在は会話試験を年3回実施予定で、インターネットのテレビ会議システムを使用して面接官と実際に会話をするというユニークな試験です。
筆記試験は現在休止しており、再開は2021年予定となっています。
HSKよりもさらに実践的で、ビジネスに寄せた内容となっていることが特徴です。
C.TESTは北京語言大学漢語試験研究センターが新たに開発した試験で、留学以外の目的で中国語を学んでいる人のために実践的な中国語能力を測定する試験として開発されました。主催は北京語言大学漢語試験研究センターです。(中国教育部が主催する試験ではありません)(英語のTOEFLに相当するのがHSKで、TOEICに相当するのがC.TESTといえます。)
C.TEST公式サイトより引用
C.TEST公式サイト:https://www.c-test.jp/
全国通訳案内士試験
国内の中国語系の検定試験では唯一の国家試験です。
初回試験からすでに70年を越え、実施年数は国内ナンバーワンです。
観光ガイドや通訳を目指す人の登龍門となる試験で、試験科目は中国語(外国語)の他に、日本地理、日本歴史、一般常識の3科目で幅広い知識が問われます。
中国語の問題は簡体字版と繁体字版のいずれかを選択できます。
二次試験は個別面接の形式で、逐次通訳および観光知識を中国語でプレゼンテーションする試験が行われます。
なお中検1級取得者またはHSK6級180点以上取得者は、申請すれば外国語の試験が免除となります。
全国通訳案内士概要:https://www.jnto.go.jp/jpn/projects/visitor_support/interpreter_guide_exams/about.html
初心者が受けるべき資格試験はどれ?
ここまで6つの試験を紹介しましたが、中国語初心者はいったいどの試験を受ければ良いのでしょうか?
どれを受けてもOK!
語学の検定試験というのはそれぞれに特徴があり、さまざまは評価の切り口があります。ですので「これだけ受けておけばベスト!」というナンバーワンの検定試験はありません。
さまざまな試験をどんどん受けることで、多様な角度から自分の語学スキルは磨かれていくので、今必要な力を身につけるのにベストなものを選択しましょう。
通訳案内士試験に限っては語学力以外の力も多く求められ、明らかに初心者向けではありませんので、将来に温めておくことをおすすめします。
まずは中検かHSKを受けましょう!
初心者が通るべき王道は、なんと言っても中検とHSKです。
どちらも中国語の検定試験としては一定の知名度とノウハウがあり、信頼性の高い検定試験です。
また試験対策本や参考書も充実していますので、学習法をいろいろと選択しやすいメリットもあります。
初心者のうちに両方の試験を受けることで、比較的バランスよく中国語力を高めていくことができます。
中検とHSKを徹底比較!
ここからは、初心者が受験すべき王道の試験である中検とHSKについて比較分析していきます。
中検の受験対象
級 | 学習時間 | 対象 | 語彙 |
準4級 | 60~120時間 | 大学の第二外国語第一年度前期修了、中国語学校半年受講程度基礎知識と簡単な挨拶 | 約500語 |
4級 | 120~200時間 | 大学の第二外国語第一年度履修程度平易な中国語を聞き話せる | 約1000語 |
3級 | 200~300時間 | 大学の第二外国語第二年度履修程度基本文法事項の修了簡単な日常会話 | 約2000語 |
2級 | ー | やや高度な読解力3級程度の文章の作文力 | |
準1級 | ー | やや難度の高い中国語の翻訳簡単な逐次通訳およびスピーチ | 熟語 慣用語 |
1級 | ー | 難度の高い中国語の翻訳難度の高い逐次通訳 | 熟語 慣用語 |
HSKの受験対象
級 | 学習時間 | 対象 | 語彙 |
1級 | 週2~3回の授業を半年 | 大学の第二外国語第一年度前期修了程度平易なやりとり | 150語 |
2級 | 週2~3回の授業を1年 | 大学の第二外国語第一年度履修程度簡単な日常会話 | 300語 |
3級 | 週2~3回の授業を1年半 | 大学の第二外国語第二年度履修程度初歩的なコミュニケーション基礎的な旅行会話 | 600語 |
4級 | 週2~3回の授業を2年 | 比較的幅広い話題についての対話比較的流暢なコミュニケーション | 1200語 |
5級 | 週2~3回の授業を2年以上 | 新聞講読、映画鑑賞比較的整ったスピーチ | 2500語 |
6級 | ー | 情報のスムーズな聞き取り口語または書面語によるスムーズな表現 | 5000語 |
中検・HSKのレベル比較
性質の異なる試験ですので単純な比較はできませんが、中検のサイトによると、以下のようなレベル対応になります。実際に受験をした感覚値とも概ね合致しているので、こちらの表を参考にして問題ありません。また、オンラインでレベルチェックができますので、自分で実際に試してみるとよいでしょう。
中検・HSKの受験者数
中検とHSKの受験者数は以下の通り推移しています。
それぞれ約3万人の受験者がいるという状況ですが、HSKの受験者の伸びが顕著です。
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | |
中検 | 31718人 | 33061人 | 31431人 | 29935人 |
HSK | 23426人 | 25904人 | 28643人 | 34018人 |
長く中検が受験者総数のトップを独走してきましたが、近年HSKの受験者が増加し、2018年に逆転して入れ替わりました。確かに私の肌感覚でもHSK受験者は年々増えていますね。
中検・HSKの受験会場
中検のほうが国内外で手広くカバーしています。全国各地の試験会場で受験することができ、海外にも受験会場を設置しています。
HSKの公開会場は中検ほど多くありませんが、準会場が設置される場合もあります。準会場とは、会社や団体などが独自に設置する会場のことです。原則非公開で行われますが、一般受験者の受け入れが可能の時のみ、HSK公式サイトより申し込みが可能となるので、公式サイトをこまめにチェックしておきましょう。
中検・HSKの日程・年間試験回数
HSKは毎月実施、中検は年に3回の実施です。
HSKは準会場を含めると毎月実施しています。
ただし、受験会場はそれほど多くなく、毎回固定しているわけではありませんので、公式サイトでよく確認しておく必要があります。
HSK(紙試験)は毎年10月の公開試験時に「HSK留学・就職フェア」も同時開催し、中国から多くの大学や企業を招致して専用ブースを設けるなど、受験者のニーズに沿ったイベントも開催しています。
中検は伝統的に年3回のみの実施ですが、著名な講師による級別講習会や通信添削講座を定期的に設けていて、試験非実施期間の受験希望者へのバックアップが非常に充実しています。
中検・HSKの申し込み方法と受験費用
ともにインターネットもしくは郵送での申し込みです。
受験費用は全体的にHSKの方が中検よりやや高めです。ネット申し込みの際は、どちらもクレジットカードやコンビニ決済が可能です。
中検はネット申し込みのほうがさらに安い設定となっており、ゆうちょ銀行払いにも対応しています。HSKはクレジットカード決済にすると、キャッシュレス・消費者還元事業の5%還元対象になります。
<HSK受験料>
レベル | 料金 |
---|---|
1級 | 3,740円(税込) |
2級 | 4,950円(税込) |
3級 | 6,160円(税込) |
4級 | 7,370円(税込) |
5級 | 8,580円(税込) |
6級 | 9,790円(税込) |
<中検受験料>
級 | インターネット申込 | 郵送申込 |
準4級 | 3,000円 | 3,200円 |
4 級 | 4,000円 | 4,200円 |
3 級 | 5,000円 | 5,200円 |
2 級 | 7,000円 | 7,200円 |
準1級 | 8,500円 | 8,700円 |
1 級 | 9,500円 | 9,700円 |
最新の情報はそれぞれの公式サイトをご確認ください。
中検・HSKの合否発表時期
中検・HSK紙試験は約1ヶ月、HSKネット試験は約2週間で結果が確認できます。
中検の結果発表について、公式サイトでは「試験実施後1か月以内に発送します」となっています。
ただし、準1級と1級は二次試験があるため、最終合否結果までは筆記試験日からおよそ1カ月半ほどかかります。
HSK紙試験は発表までにちょうど1カ月かかり、春節を挟む時期は1カ月をやや超えます。
HSKネット試験は試験後2週間で結果が確認可能です。
中検は後日郵送されるDMはがきでの成績通知ですが、HSKはサイトでの照会時に獲得点数と合否状況を確認できます。成績証の郵送には2カ月ほどかかります。
HSK証書には合否についての明確な文言の記載はなく、獲得点数のみの通知ですので注意しましょう!
中検・HSKの有効期限
両方の試験ともに有効期限(能力保証期間)を過ぎても、合格が取り消されることはありません。あくまで合格証書の効力期限です。
中検とHSKの問題、具体的な違いは何?
では、中検とHSKの問題の具体的な違いについても説明をしていきます。
翻訳問題があるか無いかの違い
中検には日文中訳や中文日訳の翻訳問題があります。
中検が「訳す能力」を重視しているのは、学習者が「母語の経験をもとに外国語を学習するため」としています。「話す・聞く・読む・書く」という外国語の4技能は、すべて「訳す能力」と深くかかわっています。その「訳す能力」を測ることで、受験者の中国語レベルを総合的かつ科学的に判定しようとするのが中検のスタンスです。
HSKには翻訳問題はありません。
その代わり、出題は会話・物語・故事・コラム・論述など多岐にわたっています。作文問題では、写真をもとに自由に文章を書いたり、読み取った内容を制限字数以内で書き直す問題も出されます。受験者が中国語を使ってどれくらい正確にコミュニケーションしたり、的確に情報を処理できるかという運用能力の判定に主眼をおいているのがHSKです。
国内基準か国際標準かの違い
・中検は、漢字に慣れ親しんでいる日本人に特化した試験です。
日本語話者にありがちな誤用や弱点に光を当てているので、日本人・日本語話者の中国語能力の判定に有効とされています。国内での社会的認知度も高いので、国内企業で就職を希望する場合は堂々とアピールできます。
・HSKは、全世界で受けられている試験です。
漢字文化圏・非漢字文化圏の人たちが一斉に同じ試験を受けます。CEFR(セファール:欧州言語共通枠)という語学試験の世界基準に沿っているため、言語や国の枠を越えて中国語の運用レベルを証明できるとされています。中国留学やグローバル企業への就職を目標にする人にとっては有利な資格です。
問題量が多いか、少ないかの違い
リスニング試験・読解試験ともに、中検は問題量が比較的少なめ、HSKは比較的多めです。よって、中検は深い読解能力、HSKはスピーディーな情報処理能力が問われます。
中検は問題用紙を持ち帰ることでき、当日発表される解答例で自己採点がある程度可能です。HSKの問題は持ち帰ることができず、解答例も公表されません。
中国語初心者が目指すべき級は?
中検・HSKともにまずは3級合格をめざしましょう!
どちらも基本文法事項を学び終えた学習者に対応しています。
中国語圏への旅行で最低限のコミュニケーションが取れるのもこのレベルとされています。
中国語学習の基礎となる級ですので、必ず合格できるように頑張りましょう!
就職で有利になるのは何級から?
海外出張や中国語を使った一般業務の能力をアピールするなら、中検では2級から、HSKでは4級からが目安です。
ただ、中検とHSKはそれぞれ性格の異なる試験ですので、両方の資格があるとより確かな中国語能力の裏付けとなります。
国内での販売接客ならば、中検3級・HSK3級があれば、商品の値段を伝えたり、欲しいものを尋ねたりなど、基本的な対応は可能でしょう。
近年中国では外国人労働者を点数で“格付け”して居住を制限する動きがあります。その際用いられる指数の一つがHSKの獲得級です。5級以上で最高の10点、4級で8点、3級で6点と続きます。中国で就労する場合は、できるだけ上の級を獲得して点数を稼ぐ必要があります。
中検とHSKは性質の異なる検定試験
今回は、中国語の検定試験の中から、中検とHSKについて比較しながら見てきました。
中検は読解能力の比重が高く、HSKは運用能力の比重が高いという特徴があります。
私がおすすめするのは、計画を立ててどちらも受験することです。
性質の異なる試験だからこそ、中国語のスキルをバランスよく立体的に高めていくことができます。頑張ってください!
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・中国語を身につけるのに何をどれくらいやれば良いのかがわからない
・HSKや中検などの資格試験を受けた方が良いのか迷っている
・今の勉強方法で良いのか不安
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