中国語の勉強について、HSKをその目標にする方も多いのではないでしょうか?
今回はHSK5級合格を目指す方のために、今まで700名以上を指導しているプロの中国語コーチが、合格に必要な勉強時間や合格するために最も効率の良い勉強方法をお伝えします。
HSK5級の概要・レベル・合格率
HSKとは?
HSKとは中国政府公認の中国語能力検定試験で、正式名称である「汉语水平考试(Hàn yǔ Shuǐ píng Kǎo shì)」を中国語読みした時の頭文字をとってHSKと呼ばれています。日本語にすると「中国語レベルテスト」という意味です。
HSKの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
HSKの5級のレベル
HSKは1〜6級までありますが、5級はどれくらいのレベルかというと、中国語の基本文法を理解し、まとまった量の中国語を読み聞きできる、自分でも文章を作ることができるレベルと考えると良いです。
そして、HSK5級以上を持っていれば就職や転職でも有利になるので、ぜひ履歴書などにも堂々と記載しましょう。
HSK公式のWebサイトでは以下のように書かれています。
中国語の新聞・雑誌を読んだり、中国語のテレビや映画を鑑賞することができ、中国語を用いて比較的整ったスピーチを行うことができる。
HSK公式サイト(http://www.hskj.jp/)より引用
ここにはスピーチを行うことができるとありますが、実際には「話す」という力はHSKではなくHSKKというスピーキング用の試験が別にあるため、5級に合格したとしても、それを使えるようにするために、会話のトレーニングなどは別で行うことになります。インプットの後にアウトプットの練習をする方が効率が良いですが、5級に合格していれば基礎は十分に身についていると言えるので、安心して会話練習に進むことができます。
HSKKの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
HSK5級の試験内容
5級の試験はリスニング(听力)、リーディング(阅读)はマークシート、作文(书写)は記述式です。
試験の時間や問題数などは以下の通りです。
リスニング(約30分)
パート | 形式 | 問題内容 | 問題数 |
---|---|---|---|
第1部分 | 会話の内容に関する問題 | 2人の短い会話とその内容に関する問いが放送される。問いの答えとして正しいものを4つの選択肢の中から選ぶ。 | 20題 |
第2部分 | 会話や文の内容に関する問題 | まとまった長さの会話や問題文と、その内容に関する問いが放送される。問いの答えとして正しいものを4つの選択肢から選ぶ。 | 25題 |
リーディング(45分)
パート | 形式 | 問題内容 | 問題数 |
---|---|---|---|
第1部分 | 空所補充問題 | 文中の空所部分に、4つの選択肢から適切な単語を1つ補い、意味の通る文を作る。 | 15題 |
第2部分 | 文の内容に関する問題 | 短文が与えられており、その内容と一致するものを4つの選択肢から選ぶ。 | 10題 |
第3部分 | 長文読解問題 | 長文とその内容に関する複数の問いが与えられており、問いの答えとして正しいものをそれぞれ4つの選択肢から選ぶ。 | 20題 |
作文(40分)
パート | 形式 | 問題内容 | 問題数 |
---|---|---|---|
第1部分 | 語句の並べ替え問題 | 与えられた複数の語句を並び替えて正しい中国語文を作る。 | 8題 |
第2部分 | 作文問題 | (1)単語が与えられ、その単語を使って80字程度の中国語文を作る。 (2)写真が与えられ、80字程度で写真に関する中国語文を作る。 | 各1題 |
HSK5級の点数と評価
リスニング(听力)、リーディング(阅读)、作文(书写)の配点はそれぞれ100点、合計300点満点で評価されます。
そして、1〜4級は6割である180点以上のスコアで「合格」になるのですが、5級と6級は「合格不合格」の判定ではなく、成績表に取得した点数が記載されるだけです。ただ、一般的に、5級6級でも180点以上取得していれば「合格」とみなされているので、目指すは6割の180点です。
各パートで6割以上の点数を取る必要はないので、漢字がわかり、リーディングが得意な日本人は、合格を目指すうえではリーディングで満点近くとり、リスニングは6割を下回っても合格できるようにしておくのが安全です。
ただ、正しい学習を積み重ねていれば、試験対策をせずとも全てのパートでしっかり8割以上の点数をとることが可能です。中国語コーチングのthe courage受講生もみんなリスニングでも合格基準に達しています。
HSK5級の合格率は?
HSK5級の合格率について、HSKでは公表されていないので不明なのですが、HSK5級に相当する中検3級・2級の合格率が約30~45%ということは1つの目安になるかと思います。(中検サイトを参照)
会場に行ったら、合格するのはその会場の半分以下というイメージですね。必ずその中に入れるように試験当日までにしっかりと勉強しておきましょう。
HSK4級とHSK5級の違い
ここでは4級と5級の違いについて詳細を説明します。
リスニング
4級は以下のような問題が出題されます。
- 1人の話し手が話す短い文の問題
- 男女の会話文で1往復の問題と2往復の問題
- 1人が少し長め(90〜100字程度)の文章を読むという問題
一方、5級は以下の点で4級と異なります。
- 1人の話し手が話す短い文は出題されない
- 長め(200字程度)の文章が出題される
男女の会話文が出題されるのは共通なので、一番の違いとしては、200字程度、つまり、4級の倍近くある長い文章が出題されるという点です。この長い文章をしっかりと理解し、しかも内容を頭に残しておけるかどうかが5級リスニングのカギになります。
リーディング
リーディングについても、4級では短文の問題のみで、長くても120字程度の文を読むことになりますが、5級では4倍以上も長い500字程度の文章を読ませる問題も出題されます。
この長さの問題を読むときに、自分が理解できない単語や文が出てきてしまうのは仕方がないのですが、それに引きずられて、本来わかる箇所までわからないと思ってしまわないように、長文を読む練習をしておく必要があります。
作文
作文は4級までと一番大きな違いがあると言えるかもしれません。
4級では与えられた単語の並べ替えと、1文(1センテンス)を作るという問題でしたが、5級では80文字の作文をするという、まとまった文章のアウトプットが必要になります。このため、接続詞の使い方などを押さえ、適切な複文を作れる力が求められます。
HSK5級合格までに必要な勉強時間
HSKの公式Webサイトでは勉強時間について以下のように書かれています。
主に週2~4回の授業を2年間以上習い、2,500語程度の常用単語を習得している者を対象としています。
HSK公式Webサイトより引用
簡単に言うと「大学の第二外国語で集中して勉強した場合、2年以上勉強しないといけない。」ということです。
では、実際に勉強して受験している方々はどれくらいの勉強時間で合格しているのでしょうか?
中国語初心者の場合
2年間というのは、相当ゆっくりなペースです。ゆっくり長く挑戦するのも良いのですが、正しい勉強法で、毎日頑張って2〜3時間を継続して確保できれば約半年で合格が可能です。(the courageの受講生は忙しい方が多いですが、みなさんこうした方法を選択しています。)
既にHSK4級をしている場合
既にHSK4級に合格している場合は、そこから約3〜4ヶ月あれば合格が可能です。実力養成を気にせずに、本当にただ合格することだけを狙うのであれば、最短2ヶ月での合格実績も多数あります。
HSK5級合格のための具体的な勉強法
ここからは5級合格のためにどのような勉強をすれば良いのか、その勉強方法を説明します。
合格のポイントは単語・作文対策・過去問
HSKの構成として、基本的な文法事項は4級までに出てくるので、5級から知らない新たな文法を多く学ばなければいけないということはありません。
では何が重要になってくるのかというと、単語量を増やすこと、そして、5級の特徴でもある80文字作文というアウトプットの練習を行うこと・更には長い文章などに慣れるためにも過去問を何度も繰り返し解くことです。
1つずつ詳しい勉強方法を説明していきます。
単語の勉強方法
単語については勉強方法が変わるわけではありませんが、覚えるべき単語量は約1300単語と、4級の600単語と比べて2倍以上です。その分より効率を意識した覚え方が必要です。
単語暗記のポイントは、大量の単語を一気に覚える、そして、見てわかるかどうかではなく、聞いてわかるかどうかに多くの時間を割くことです。
一気に大量に覚えたらすぐ忘れてしまうのでは?と思うかもしれませんが、少しずつ覚えていっても、触れない時間が長いと完全に忘れてしまうので、覚えても覚えても、同時に忘れていってしまうという非効率な勉強になってしまいます。
大量に覚えたら、それが文中で出て来たら印象に残して定着させるという方法が効率的です。
具体的な目安量としては、2週間で200〜300単語を目安に覚えて行くと良いです。
最初の1週間で200〜300単語を見てわかるように仕上げ、次の1週間では漢字を見ないで「聞いただけでわかる」状態に仕上げていきます。5級で必要な1600単語を約3ヶ月で完成させるペースです。
また、HSK5級合格を目指す場合、ゼロから始めるときはHSK1級レベルから、既に4級合格している方は復習も兼ねてHSK4級レベルの単語からはじめましょう。
単語暗記の詳細についてはこちらの記事もご覧ください。
作文の対策
作文については過去問のトレーニングが一番有効です。
過去問の問題を使って自分で作文し、そのうえで模範解答(解答例)と比較して、自分の作った文には何が足りないんだろうと分析し、次回の作文ではその改善点を意識して作文をすることでブラッシュアップができます。
以下は実際にthe courageの受講生が分析した内容の一部です。
- 〜するために、という目的を表す「为」を使う
- 理由を表す「由于/因为」を使うことでロジックをはっきりさせる
- 常常,有时,不常など頻度を表す言葉は使えそう
- 副詞のレパートリーが重要(楽しく=开心地)
- 時制を意識して書くために「了」や「过」の使う位置を復習する
ここまでしっかり分析ができれば、次に作文をする時の完成度は上がっていはずですよね。そして、これらができたらまた新しい気づきも出てくるので、少しずつ上達させていきましょう。
もしコーチや先生がいるのであれば、自分で作った作文を添削してもらうと良いです。
本当に独学の場合は、無料でネイティブが添削をしてくれるHelloTalk(ハロートーク)というアプリなどもあるので、こうしたアプリに投稿してみましょう。
HelloTalk(ハロートーク)についての詳細はこちらをご覧ください。
過去問を何回も解く
HSK5級に合格するためには必ず過去問を何回も解くようにしてください。
過去問を何度も解く目的は問題形式や時間配分に慣れるためです。
問題形式を確認しながら、時間をはかって何度も解き直しましょう。リスニング30分、リーディング45分、作文40分と試験本番と同じ時間配分で、途中で止めてトイレに行ったりせずに解くことで、5級の時間配分に慣れることができます。
読解の勉強方法
読解(リーディング)についても過去問を使うと良いです。
一度力試しで解いた後、まず最初に知らない単語を調べ、不明な文構造があれば調べてわかる状態にします。その後、黙読で良いので何度も読み込みましょう。
この時に注意すべきことが2つあります。
- 読み流しにならないように、前から読み、暗記ではなく、単語が入れ替わっても意味が捉えられることを確認しながら読む
- 毎回時間をはかることで、自分のリーディングスピードが上がっていることを確認する
この2つを意識して取り組むことで、正確に速く読める文が増えていき、リーディングの実力がつきます。
リスニングの勉強方法
リスニングもリーディングと同じように、過去問などを使い勉強を進めていきます。
まずは不明な単語や文構造をわかる状態にしたうえで、音を認識できるようにするために、音読を繰り返します。その後、感情を込めて音読を行い、音源のスピードよりも速いスピードで発話できるようになれば完成です。少しずつスピードを上げていき、音源の1.2倍速以上での音読を目指しましょう。
リスニングトレーニングの詳細はこちらもご覧ください。
HSK5級のおすすめのテキスト
HSK5級合格のためのおすすめのテキストを各分野ごとに紹介します。
単語
HSKに出題される単語は決まっているので、テキスト内の単語をしっかりと覚えておきましょう。
読解
合格奪取! 新HSK 5級 トレーニングブック [読解・作文問題編]
こちらのトレーニングブックは過去問を解く前にやると効果的です。
今までの文法事項を整理できるのと同時に、HSK5級の問題形式に慣れることもできるとても良いテキストです。かなりボリュームがあるので、しっかり計画を立てて進めるようにしましょう。
リスニング
合格奪取! 新HSK5級トレーニングブック [リスニング問題編]
リスニングについては過去問だけでも十分ですが、もしもう少し事前に慣れてから過去問をやりたいという方はこちらのテキストを使ってみてください。
作文
改訂新版 口を鍛える中国語作文-語順習得メソッド【初級編】[音声DL]
作文も過去問でのトレーニングが一番良いのですが、そもそも短い文章も作るのが苦手という方もいるので、その場合はこの「口を鍛える中国語作文」シリーズを使い、語順を意識して文章を組み立てる練習をしておきましょう。
過去問題集
過去問については解説もついているこちらが1番良いです。
試験前に何度も繰り返し解くだけでなく、過去問の内容については全てハッキリわかるという状態に仕上げることで、試験に合格するだけでなく、しっかり実力をつけることもできます。
アプリ
HSK合格のための単語アプリであればこのアプリ1択と言えます。
「見てわかる」「聞いてわかる」とモードを変えられるだけでなく、苦手マークをつけた単語のみ再生が可能だったり、全ての単語に音声付きの例文がついていたりと、とても充実しています。
HSK5級の過去問 問題例
リスニング(听力)
第1部分(20題)
2人の短い会話とその内容に関する問いが放送される。問いの答えとして正しいものを4つの選択肢の中から選ぶ。
第2部分(25題)
まとまった長さの会話や問題文と、その内容に関する問いが放送される。問いの答えとして正しいものを4つの選択肢から選ぶ。
リーディング(阅读)
第1部分(15題)
文中の空所部分に、4つの選択肢から適切な単語を1つ補い、意味の通る文を作る。
第2部分(10題)
短文が与えられており、その内容と一致するものを4つの選択肢から選ぶ。
第3部分(20題)
長文とその内容に関する複数の問いが与えられており、問いの答えとして正しいものをそれぞれ4つの選択肢から選ぶ。
作文(书写)
第1部分(8題)
与えられた複数の語句を並び替えて正しい中国語文を作る。
第2部分(各1題)
(1)単語が与えられ、その単語を使って80字程度の中国語文を作る。
(2)写真が与えられ、80字程度で写真に関する中国語文を作る。
サンプル問題全体とその解答はこちらからご覧いただけます。HSKを主催している国家汉办の公式サイト(中国語サイト)で配布されているものです。
HSK5級は難しい。モチベーションを維持するためには?
ここまでHSK5級の概要や、合格のための勉強時間・やるべき勉強方法について説明してきました。
合格のため、そして中国語力を上げるために必要なのは、こうした正しい学習方法を知ることに加えて、「学習時間を確保」して、それを「継続」することです。
ただ、語学学習は孤独になりがちで、モチベーションの維持が難しいというのも事実です。
ここではモチベーション維持のポイントを3つ紹介します。
目的と目標を文言化する
勉強を続けてると「何のために勉強をしているのか」を見失ってしまうことがあります。
そうなるとモチベーションはどんどん落ちてしまうので、自分が何のために勉強しているのか、HSK3級に合格した時にはどんな気持ちになるのか、周囲の人はどんな表情で自分にどんな言葉をかけてくれるのか、鮮明にイメージして書き出しておきましょう。ちょっと辛いなあ、やる気が出ないなあと感じた時に、それを見るだけでモチベーションを取り戻す(思い出す)ことができます。
メルマガなどを利用する
モチベーションが落ちてしまいそうな時、定期的に来る応援メールのようなメルマガを利用するのも一つの方法です。本サイトでも無料のNews letter(メルマガ)があり、学習のポイントやサイトの更新情報などを無料で発信しているので、是非活用してみてください。無料購読はこちらから。
モチベーションに頼らない仕組み化
実はこれが本当に大切です。モチベーションに頼ってしまうとなかなか自分でコントロールが難しいので、いつ・どこで・何をするのかを決めて習慣化してしまうと良いです。息するように中国語学習ができれば、もうモチベーションなんて言葉は忘れてしまうかもしれませんね。
独学で中国語を勉強するのが難しい方へ
勉強の仕方が分かっても、独学では不安という方は是非コーチをつけて学習してみてください。
ここでは中国語のコーチングスクール「the courage」をご紹介させていただきます。
the courageとは?
the courage(カレッジ)は、いわゆる中国語教室ではありません。
本気で中国語力を伸ばしたい人のための中国語コーチングサービスです。
the courageは中国語を教えません。
受講生が目標に最短距離で到達するために「何を・どれくらい・どうやって」取り組めば良いかを全てお伝えし、自習で生じる悩み・挫折に対して、自ら苦労して中国語を学んだ経験のあるコーチが、適切なコーチングで徹底サポートすることで圧倒的な成果を出し続けています(HSK合格率100%)
一般的な中国語教室は、週に一度ネイティブ講師とのレッスンで、学習時間は月約4時間ですが、the courageでは月に80時間という学習時間を確保することで、短期間で中国語力を伸ばします。
数回のセッションを買うのではなく、目標達成のために必要な数ヶ月を買うと考えるとコストパフォーマンスは非常に良いです。
the courageのメリットは?
- 圧倒的実績に基づいた効果的なカリキュラム
700名以上の指導経験があるコーチが最も効率的なカリキュラムを設計。 - コーチングだから継続できる
適切なコーチング&日々の学習モニタリングが学習の継続を可能にします。 - 指導実績豊富なコーチ陣
高品質な語学コーチングを提供するという理念に基づき、在籍コーチは全員指導経験豊富で優秀なコーチです。
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カウンセリングは無料、無理な勧誘も一切ありませんので、ぜひ一度直接コーチに相談して見てください。
無料学習相談受付中
無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。