中国語のメジャーな検定試験であるHSKについて、今は1〜6級制で、6級が最高級ですが、これが2022年からは1〜9級制で、9級が最高級になります。
一体なぜ、いつから、どのように変わるのでしょうか?HSKの始まりから、今後どうなっていくのかという点を、今わかる範囲で紹介していきます。
HSK3.0対応の単語リストをアプリで学べる“カレタン”についてはこちらをご覧ください。
HSKの始まり
HSKとは汉语水平考试(Hànyǔ Shuǐpíng Kǎoshì)、つまり「中国語レベルテスト」の中国語読みの頭文字をとったもので、Wikipediaによると、始まったのは1992年からのようです。
1984年にHSKは北京言語学院(今の北京語言大学)で開発が始められ、1992年に中国国内で正式に国家レベルのテストとして実施された
Wikipediaより引用
始まった当初の等級は1級〜11級で、今のように1〜6級になったのは2010年のリニューアル後からです。リニューアル後のHSKを、それ以前の1級〜11級のHSKと分けるために新HSKと呼ぶこともあります。
つまり、今のHSK=新HSKです。
また、2021年から再度リニューアルされることを受けて、現行のHSKは「HSK2.0」、今後変わる予定のものを「HSK3.0」と呼ぶことがあります。
新HSK(HSK2.0)へ変わった経緯
なぜ1~11級のHSK(旧HSK)はわざわざ6段階のHSK(HSK2.0)に変えられたのでしょうか?
一番わかりやすい理由としては、世界中の異なる言語の能力を同じものさしで測ることができる6段階のCEFR(セファール)という基準に合わせたためです。
英語の試験であるTOEICやTOEFLと比較することも可能で、それぞれの公式サイトの内容などをまとめると以下のようになります。
TOEIC&CEFRの比較の出典:こちら
TOEFL&CEFRの比較の出典:こちら
表を見ていただくと、HSKの6段階はCEFR(セファール)の基準とピッタリ合うように設計されていることがわかります。
実は、HSK6級が本当にC2レベルなのかどうかという点は少し問題になっています。私の個人的な感覚値としてもHSK6級はCEFRでいうとだいたいB2~C1くらいかなという感覚です。ただ、合っているかどうかは別として、合わせるように設計したということはわかりますね。
HSK3.0(9級制)になるのは本当か?
以下の通りHSK公式から発表があったので、HSK2.0(6級制)がHSK3.0(9級制)に変わることは間違いなさそうです。
そして、1〜6級は級を選択して、級別に受験し、7〜9級は級別ではなく、受験した結果何級になるかが決まるというイメージです。
1〜6級はHSK2.0の1〜6級と同じレベル感かどうかはこの表では触れらていないので、情報待ちとなりそうです。
HSK is about to be reformed. #HSK In 2020, the Chinese Proficiency Standards will usher in a new change: a hybrid paradigm of “Three Stages and Nine Levels” characterized by integration and all-in-one.
— HSK Official (@HSKTestOfficial) May 21, 2020
For more information, please check:https://t.co/L6jtLXnxRd pic.twitter.com/kLgsWmUFnR
HSK3.0(9級制)についてまとめて掲載されているソースは「HSK将变成9级!汉语水平考试3.0时代即将来临」(発信している企業の情報はこちら)という記事のみでしたが、2021年3月24日に『国際中文教育中文水平等級標準』が発表され、この中でも9級制度について、各級の単語リスト含め詳細が記載されています。
HSK3.0(9級制)になるのは、いつから?どう変わる?
前述の『HSK将变成9级!汉语水平考试3.0时代即将来临』や『国際中文教育中文水平等級標準』に書かれていることが正しかったと仮定し、記事の内容を大まかに「 」の通り翻訳・要約しながらHSK3.0(9級制)の概要について説明していきます。
全体的な話をすると「これまで1.0の開始時期と2.0の改革時期があり、今度3.0改革、つまり新々HSK(9級制)への変更がある」というものです。
【HSK3.0(9級制)になるとしたら、いつから、どのように変わるのか】という点をメインに見ていくので、その他の余計な箇所は省略していますが、もし気になるようでしたら原文を確認してみてください。このページを見ていただくだけで把握できるように書いていきます。
記事の冒頭部分で新々HSK(9級制)になると明言
今年,HSK已经到了而立之年。而HSK也将进行第二次改革。
https://mp.weixin.qq.com/s/48yDq48T_WzCjfD9uT4laA
「今年HSKができてから、すでに30年がたち、これから第2次改革を行うことになります。」と言い切っています。
HSK有什么用呢?类似托福雅思,外国学生申请中国的大学时是需要HSK成绩的,教育部规定,来华留学生需要在校期间获取相对应的HSK成绩。很多日韩企业也需要员工有HSK成绩。HSK成绩不单单是一个汉语水平的能力说明,更关系到留学、奖学金、找工作。
https://mp.weixin.qq.com/s/48yDq48T_WzCjfD9uT4laA
「HSKは、TOEFLやIELTSのように、中国以外の学生が中国の大学に入学したい時に必要になる。また、日本や韓国の企業でも求められることがある。つまり、HSKのレベルはただの成績ではなく、留学や奨学金、そして就職など、そうしたことに繋がるものです。」
つまりここでは「HSKは大切な試験です」ということを言っています。
【1.0】で旧HSK(11級制)について説明
1997年,确立了HSK(基础)、HSK(初、中等)和HSK(高等)3等11级考试结构。1992年,《中国汉语水平考试(HSK)办法》发布,规定汉语水平考试是测试母语非汉语者的汉语水平而设立的标准考试。汉语水平考试汉语拼音han yu shui ping kao shi,首字母缩写为HSK。这样就确立了HSK作为中国国家级考试的地位和HSK的品牌。截至2003年,HSK考试在海外29个国家设立了46个考点,考生人数达2.6万人。
https://mp.weixin.qq.com/s/48yDq48T_WzCjfD9uT4laA
「1997年、HSK(基礎)、HSK(初、中等)、HSK(上等)の3等級で、全部で11級のテストが確立された。(1~3:基礎、3~8:初中等、9~11:上等)1992年には「中国汉语水平考试(HSK)办法」が発布され、HSKは中国語を母国語としない人の中国語能力を測るための基準になり、中国での国家試験としてのブランドを確立した。 2003年現在、HSKは海外29カ国46カ所で実施、受験者数は26,000人に達している。」
つまり、ここではいわゆる旧HSK(11級制)の概要を説明していて、気になる新々HSKについては触れられていません。
【2.0】改革で現行のHSK2.0(6級制)について説明
新HSK的变化主要有四点:一是确立了以学习者为中心的理念,坚持“考教结合、以考促学、以考促教”原则;二是将考试级别从3等11级变为6级,让跨度更和缓。并对词汇量进行了调整,特别是针对初学者,将HSK1级汉语词汇量要求调整为150词;三是引入先进的主题式、任务式“教”“学”方法,使汉语学习更加贴近真实语境。2014年陆续出版的《HSK标准教程》受到广泛欢迎,全球使用者已超过150万人;四是考试服务水平大幅提升。网上咨询、报名和查询成绩早已是家常便饭,网络考试覆盖率超过40%,同时还陆续推出了基于大规模题库和人工智能的自适应考试、居家考试、汉语水平智能诊断分析等服务。改革10年来,HSK考试发展迅速,截至2019年底,在全球150个国家设立了1229个HSK考点,2019年考生人数达80万人。
https://mp.weixin.qq.com/s/48yDq48T_WzCjfD9uT4laA
「新HSKのメインとなる変更点は4つあります。
①学習者中心の考え方に基づき、試験とその指導を組み合わせ、試験を目標にした学習がしやすく、教えやすくする。
②レベルを3等級11級から6級制に変え、級の間のレベル差をより緩やかにする。
③中国語学習を、より実際の文脈に即したものにするため、先進的なテーマ・課題別の教授法・学習法を導入する。
④試験のサービスレベルを大幅に向上し、ネットでの問い合わせが〜〜〜省略」
これも、いわゆるHSK2.0(6級制)の概要を説明していて、まだHSK3.0(9級制)の話は出てきません。
【3.0】新々HSK(9級制)になるとしたらどんな試験になるの?
随着海外中文教育的发展,以及以《欧洲语言共同参考框架》(CEFR)和《美国外语教学委员会量表》(ACTFL)为代表的国际语言标准新理念,越来越多人意识到,通过顶层设计,建设研发一套超越HSK考试本身,用以指导国际中文学习、教学、考试与评估的汉语水平等级标准,刻不容缓。
https://mp.weixin.qq.com/s/48yDq48T_WzCjfD9uT4laA
「中国語教育の発展に伴い、CEFRなどを代表とする国際言語基準の理念に基づき、最高レベルでの設計をしないといけないと考える人が増えた…省略」
ここは中国語教育も発展しているので、HSKもより国際基準に基づき改善をしていく必要があるという背景の話ですね。いよいよここから具体的に新々HSK(9級制)の話になります。
2015年起,孔子学院总部在数十名中外专家学者和中国国家语委的支持下,开始了新的标准研发。经过5年的努力,新的《汉语水平等级标准》诞生了,主要有三方面突破:一是体现汉语独特性,确定音节、汉字、词汇、语法的四维语言量化指标体系,以准确锚定学习者的汉语水平;二是根据汉语教学和学习进阶分为“初、中、高”的惯例,以及CEFR、ACTFL等国际语言标准分为初级、中级和高级三个阶段的习惯,结合海外学习者和HSK考试现状,将新的标准分为三等九级(如表1)。与HSK的考试要求相比,不仅增加了音节、汉字的项目要求,而且对词汇量,特别是高等7-9级的词汇要求有较大提高;三是借鉴广受认同的语言学习理论,特别是巴赫曼等的交际语言能力模型,结合汉语特点,对各等、级,采用语言量化指标、言语交际能力和话题任务内容3个语言水平维度和听、说、读、写、译5个技能维度,即“3+5”的新路径对学习者的汉语水平进行全方位、立体系统地描述(如图1)。
https://mp.weixin.qq.com/s/48yDq48T_WzCjfD9uT4laA
「2015年から孔子学院本部は、数10人の中国内外の専門家や学者、中国国家言語委員会の支援のもと、新基準の開発を開始した。そして、5年の努力の末、新しい《汉语水平等级标准》が誕生した。これには主に3つのブレークスルーがある。
- 学習者の習熟度を正確に測るために、中国語の独自性を反映し、音節、文字、語彙、文法、4つの言語分野を定量化するシステムを体現。
- 教育・学習の進捗状況を「初級・中級・上級」に分ける慣例、また、CEFRやACTFLなどの国際言語基準でも初級・中級・上級の3段階に分けているという慣例に基づき、海外の学習者やHSK試験の現状と合わせて、新基準は3等級、9級に分けられている(表1)。HSK試験の要求事項と比較して、音節と漢字の項目要求事項が増加しただけでなく、語彙の要求事項、特に上位7~9レベルの語彙の要求事項が大幅に増加しています。
- 広く受け入れられている言語学習の理論、特に巴赫曼(バッハマン?)などの国際言語能力モデルに基づき、中国語の特性を組み合わせた「3+5」の新ルートは、言語量指数、国際言語能力、話題内容の3つの言語レベルと、聞く、話す、読む、書く、翻訳の5技能を用いて、学習者の中国語能力を各レベル、各学年ごとに包括的、立体的、体系的に表す。」
もちろん細かい出題形式については触れられていませんが、ここでハッキリと新々HSK(9級制)の概要が出てきました。以下の通りの9級制になるとのこと。そして今後は「言語量指数、国際言語能力、話題内容」と「聞く、話す、読む、書く、翻訳」の3+5技能という多方面から実力を測ることで、より正確・立体的に中国語レベルを測定できるようになるということですね。もしかしたら今のHSKのように筆記とスピーキングが別れているものも、統合されるかもしれません。また、求められるものが増えることで、難易度は相対的に上がると思われます。ただ、今の最高級である6級の上に3つの級を加えるという設計ではなさそうですね。
【3.0】HSK3.0(9級制)になるとしたらいつから変わるの?
では、いつからHSK3.0(9級制)に変わるのかということですが、これは情報元の記事には記載がありませんでしたが、公式Twitterが2020年4月に以下のように書いています。
内容としては、「7~9級は2022年3月からを予定。でも1~6級はすぐ変わることはない。」
很多考生看到2021年7月1日《标准》开始正式实施,以为这是HSK开始调整的时间,但依据《标准》科学研制HSK7-9级需要一个过程,目前计划于2021年12月试考,2022年3月正式推出考试。HSK7-9级考试将采用“一卷三级”形式,即一张试卷,根据成绩确定级别。
— HSK Official (@HSKTestOfficial) April 22, 2021
现行的HSK1-6级考试近期不会调整。 https://t.co/RVibBOl2H6
ただ、2022年のHSKの実施スケジュールはすでに発表になっていて、その中に7~9級の記載はないため、やはりまだ本当に2022年3月に実施されるかはわからないという状況です。
動画でも解説
こちらの動画でも今回の変化について説明しています。その他の動画も中国語学習に役立つものばかりですので、ぜひ併せてご覧ください。
最後に〜今できることは?〜
今までTOEICなどの英語の試験も形式を変えることがありました。その大きな目的の一つとして挙げられるのが、より正確に実力を測れる試験にするというものです。今回のHSKの改革も(記事の内容が正しければですが)より正確に中国語の実力を測れるようにするというものです。
よく「試験では高得点をとれるけれど、実際にはあまり話せないんだよね。」ということを聞きます。こうしたことがあまり多いと、検定試験としての信頼性が失われてしまうので、今回もこの実際の力と検定のギャップを少しでもなくそうという動きです。
これは簡単にいうと、テスト対策だけの勉強では高得点が取りにくくなる、ということです。
語学の試験は「実力」&「試験対策」の両輪が必要です。その比重がやや変わってくるかもしれないですね。ただ、私たちに今できるのは、中国語の実力を焦らず弛まず高め続けるということです。もし本当に新々HSK(9級制)になるとしたら、その具体的な出題内容が明らかになったタイミングで「試験対策」をすれば良いです。試験が変わる!と聞くと少しドキドキしますが、私たちは私たちに変えられることに目を向け、淡々と努力を続けていきましょう。
迷わず、挫折せずに中国語を学びたいという方は、自分にあった学習方法をプロの中国語学習コーチに相談することがとても有効です。無料カウンセリングを実施していますので、ぜひ一度相談してみてください。
無料学習相談受付中
無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。
無料学習相談受付中
無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。
例えば、フランス語を勉強してるAさんと、イタリア語を勉強しているBさんがいたとすると、その2人の学んでいるそれぞれの言葉のレベルはどちらが高いか、判断がつきにくいです。でも、CEFR(セファール)があれば「僕のフランス語はCEFR(セファール)のB2だよ」「俺のイタリア語はCEFR(セファール)でC1さ、俺のイタリア語の方が君のフランス語よりもレベルが高いね。」とすぐにわかるというものです。