この記事ではマンダリンの意味やマンダリン(普通话)とカントニーズ(広東語)の違い、更には学習方法を紹介していきます。
マンダリンの意味
マンダリンは何を意味するのか?歴史的背景と共に紹介していきます。
マンダリンとは「標準中国語」
マンダリンは英語ではMandarineと表記し、「標準中国語(C:现代标准汉语 E:Standard Chinese)」のを指しています。現在は中国や台湾、シンガポールの公用語として用いられているほか、世界各国の華僑・華人たちの間でも共通言語として話されています。
また、マンダリンは中国では「普通话(pǔtōnghuà)」、台湾では「国語(guó yǔ)」、シンガポールやマレーシアでは華語(huáyǔ)と呼ばれています。中国や台湾では、「中文(zhōng wén)とも呼ばれていますね。
日本国内をはじめ、世界中で学ばれている、いわゆる「中国語」はこのマンダリンを意味しています。
今後「マンダリンを勉強しているの?」と聞かれたら正々堂々と「マンダリンを勉強しています」と答えて問題ありませんよ。
標準中国語ってなに?
では、マンダリンをより正確に理解するために、マンダリンを意味する「標準中国語」とは一体何なのかを見ていこうと思います。
標準中国語とは、中国語では“现代标准汉语(xiandai biāozhǔn hànyǔ)”と表わされており、現代中国語の口語と書き言葉の標準を意味します。現在では公的文書、教育、メディアなどの標準用語として、中国、台湾はもちろん、東南アジア及び他の海外華人に広く使用されています。
標準中国語の歴史は1923年にまで遡ります。当時、中華民国の教育部が、北京官話(北京を中心とする華北の官僚や上流社会に用いられていた標準語)の口語文の文法と北京の発音を基礎とする「現代標準中国語」を制定し、これを「国語」として定めました。その後、1932年この標準中国語を中国の正式な公用語としました。
1949年に中華人民共和国が成立すると、中国国内では標準中国語は「普通话(pǔtōnghuà)」と呼ばれるようになります。中華民国期に使われていた「国語(guóyǔ)」という呼び方は、そのまま台湾に持ち出され、現在も台湾で使われています。
そして1953年、中国政府は河北省承徳市滦平県の発音を標準とすることを決定、1955年に全国に普及させました。つまり、最も標準的な中国語の発音は、法制上は河北省というとこになりますね。
2000年10月31日に「中华人民共和国国家通用语言文字法」を発布し、マンダリン(普通话)を公用語とすることを正式に決定しました。現在、マンダリンは世界一話者の多い言語(約13.7億人)となり、国連で定める6つのオフィシャル言語にもなっています。
ちなみに中国の標準語を「北京語」と称している記事などをたまに目にしますが、これまで見てきた通り、中国の標準語は北京語ではありません。北京語も中国の方言の一つですので、「北京語=マンダリン」とはなりませんのでご注意ください。
マンダリンの語源
マンダリンという言葉は、元々はポルトガル語の「命令者」や「大臣」を意味する語である「mandarin」(現在は「mandarim」と表記)に由来しています。さらに遡るとサンスクリット語の「指導者」を意味する「mantri(マントリ)」語源があるといわれています。もともとは、マラッカ王国の建国の功臣の子孫である貴族階層を「mantri(マントリ)」と呼んでいたものが、ポルトガル語に取り入れられたものだそうです。
中国でマンダリンが「標準語」という意味で使われ始めたのは、17世紀の清朝時代以降。キリスト教の布教のため中国にやって来たポルトガル人宣教師たちが使い始めたと言われています。ポルトガル人宣教師は、布教活動で当時中国の官吏(役人)と接していく中で、彼らが土着の人々と異なる言語を話していることに気づきました。
そこで、官僚たちが話す言葉の「官話」を土着の言葉と区別して「マンダリン(Mandarin)が話す言葉」と表すようになったのが、マンダリンの由来と言われています。
私は、清朝を興した満州族(マンジュ)がマンダリンの語源だと思っていたので、とても意外でした。おもしろいですね。
マンダリン(普通话)とカントニーズ(広東語)の違い
マンダリン(普通话)に次ぐ代表的な中国語と言えば、カントニーズ(広東語:Cantonese)があげられます。マンダリンとの違いを説明していきますね。
カントニーズとは?
カントニーズ(広東語)は中国広州一帯の方言を基盤にして成立した言語で、現在も香港、マカオや広東省一帯、世界各国の華僑、華人の間で使われています。ジャッキー・チェンが主演する香港映画などで、カントニーズ(広東語)を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
文部科学省のデータによると、現在広東語を母国語とする人口は5.5千万人。世界的にも上位20位に入る母国語人口の多い言語となっています。ちなみにマンダリンは世界第1位で約8.9億人です。
【参考】文部科学省「(1)世界の母語人口(上位20言語)」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/attach/1379956.htm(参照 2021-12-01)
マンダリンとカントニーズの具体的な違い
同じ中国語と表現されてもマンダリンとカントニーズは、全く違う言語と言ってもいいほど違いがあります。大きな違いとしては以下の3点が挙げられます。
- 発音:同じ漢字でも全く読みか方違います。
- 声調:マンダリンの声調4声ですが、広東語は9声あります。
- 文字:マンダリンは簡体字を使用しますが、カントニーズは繁体字を使用します。
特に声調は難しく、広東語の発音はその土地に生まれた人でなければ、正しく発音ができないと言われるほど難易度が高いと言われたことがあります。
具体的に違いをまとめてみました。
日本語 | 中国語(マンダリン) | 広東語(カントニーズ) |
こんにちは | 你好 nǐ hǎo ニイハオ | 你好 nei5 hou2 ネイホウ |
さようなら | 再见zài jiàn ツァイチェン | 再見 zoi3、gin3 ゾイギン |
ありがとう | 谢谢xiè xieシェシェ | 多謝 do1 ze6ドージェ |
香港 | 香港 xiāng gangシァンガン | 香港 hoeng1 gong2 ヘォンゴン |
私は日本人です | 我是日本人 wǒ shì rìběnrén. ウォーシィーリーべンレン | 我係日本人 ngo5 hai6 jat6 bun2 jan4 ンゴーハイヤップンヤン |
マンダリンの「是(shì)」は、カントニーズでは「係」と表現していますが、文法や語彙の違いも多いです。
ちなみに、日本語の「はい」はカントニーズの「係(hai6)」から、北京(ペキン)という読み方はカントニーズの「パッキン(bak1 ging1)」から来ています。意外と広東語ルーツの日本語もあるんですよ。
マンダリン、カントニーズ以外の種類
中国は国土が広く多民族国家です。これまで見てきたマンダリン、カントニーズ以外にも上海語、福建語など、数多くの方言があります。
詳しくは以下の記事をご参照ください。
マンダリンの学習方法
マンダリンは中国の公用語です。そのためより多くの人が習得できるように文法のルールをしっかり覚えれば、外国人でもある程度は話せるようになってきます。
マンダリンの読み書き
中国語の文法の特徴としては、欧米言語のような時制や格変化がなく、日本語の「て、に、を、は」にあたる助詞がありません。また日本語と同じように主語の省略もできますし、平叙文に疑問符を付けると疑問文になるところはよく似ています。
例)
日本語:「見ました」→「見ましたか?」
中国語:“看了” → ”看了吗?”
日本国内で販売されている中国語の教材は、基本的にマンダリンの教材ですので、独学でも初級レベルの知識は身につけることは可能です。
文法の基礎をしっかりかためて、伝わりやすい中国語を身につけたい!そんな人にはこちらの記事で、中国語文法のおすすめ参考書をレベル別に紹介しております!
ぜひ参考にしてください。
マンダリンの発音練習
中国語学習の肝と言えば発音です。中国語の発音は難しいと言われていますが、正しく発音できないと意味が全く通じないことも多いため、正しい発音を習得することは学習を進めるうえでも非常に大切です。
発音を習得するには、漢字のフリガナともいえる「ピンイン(拼音)」と音の上げ下げである「声調」を一つ一つ覚えていく必要があります。
発音についてのおすすめ本やマスターするコツを詳しく知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。
ピンインを読み方・覚え方のコツについては、こちらの記事に詳しく説明しています。
マンダリンのリスニングの学習方法
中国語学習において「聴く・読む・書く」の中でも、「聴く」を苦手としている人は多いのではないでしょうか?
特に日本人の場合、漢字を見ればだいたいの意味は見当がついてしまうので、漢字に頼ってしまい耳の練習がおろそかになってしまう傾向があると思います。中検やHSKでも筆記問題や文法問題は点数が取れるけど、リスニングの点数がなかなか伸びないという話もよく聞きます。
聴き取れない!そんな悩みを解決したい方は、以下の記事をご覧ください。
現状打破のヒントが隠されているかもしれません。
まずは標準語であるマンダリンをマスターしてみよう
今回は中国語を「マンダリン」と呼ぶ理由をみてきました。日本国内の中国語を学ばれている人の多くもマンダリンを学習されているのではないでしょうか?
中国にはたくさんの方言がありますが、中国語の標準語であるマンダリンを学べば、中国はもとより台湾や東南アジア、世界各国にいる華人や華僑など、中華圏の人たちとコミュニケーションを取ることができるようになります。広東語を母国語とする香港やマカオでも、20年前に比べれば、マンダリンを話せる人も増えていますよ。
どの中国語を学べばいいのか迷っている人は、まずは標準語であるマンダリンをマスターしましょう!
迷わず、挫折せずに中国語を学びたいという方は、自分にあった学習方法をプロの中国語学習コーチに相談することがとても有効です。無料カウンセリングを実施していますので、ぜひ一度相談してみてください。
無料学習相談受付中
無理な勧誘など一切ございませんので、是非一度コーチとお話しください。
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「中国語を勉強している」というと、特に欧米系の人たちからは「Do you study mandarin?(マンダリン勉強しているの?)」と聞かれることがよくあります。最初の頃は、中国語を勉強しているのになんで「マンダリン」っていうの?とパニックになっていました。ネット上でも中国語のことを「マンダリン」と表記している記事もよく見かけるのではないでしょうか?